価格150万円以上でも身近に思える装備の充実度!! 新しくなったBMW Motorrad「F 900 R」の多面的な魅力とは
BMW Motorrad「F 900 R」は、排気量900ccクラスの並列2気筒エンジンを搭載するロードスターモデルです。2025年モデルではホイールの軽量化や電子制御技術のアップデートなど、先代より装備が一層充実しました。いったいどのような乗り味なのでしょうか。試乗しました。
市街地走行でも際立つスポーツ性、充実の装備はお値段以上
BMW Motorradの歴史にあって、2005年に登場した水冷並列2気筒エンジンを搭載する「F」シリーズは、その排気量を800から850、そして900ccへと拡大して同社のミドルレンジを受け持つモデルとして魅力を届けています。

現在「F」シリーズは、「F900GS」、「F800GS」、「F900XR」、そして今回紹介する「F900R」の4本立てが日本に導入されています。
アドベンチャーセグメントの「GS」、スポーツセグメントの「XR」、そしてネイキッドモデルをロードスターと称する彼らによって、2025年モデルの「R」は製品の魅力を増して届けられました。
2025年モデルの特徴は、環境対応のアップグレードによりユーロ5からユーロ5+(プラス)へ、フロントサスペンションが変更され、イニシャルプリロード調整、圧側、伸び側それぞれの減衰圧調整機構を持つフルアジャスタブルタイプとなったこと、また並列4気筒エンジンのリッタースポーツネイキッド「S 1000 R」にも採用される、より軽量な前後ホイールの採用と、電子制御関連のアップグレードなどが行われているのです。
昨今、なにかと物価高、またもや値上げが当たり前なご時世において、「F 900 R」(取材車両はオプション価格のカラーリングでもあるレーシング・ブルー・メタリック+装備充実のツーリングパッケージ)の価格(消費税10%込み)は153万7000円です。標準モデルならば127万9000円からとなっています。日本市場ではこのカラーリングのみがバーエンドミラーを標準装備することも嬉しいニュースです(好みは分かれますが)。
ちょっとお高い追加装備の内容は、ハンズフリーキー、クルーズコントロール、ダイナミックESA(電子制御で走行状態に合わせたダンパー設定とイニシャルプリロード変更まで可能なリアサスペンション)を装備し、またタイヤ空気圧をモニターするセンサーをホイールに装着しているのも特徴です。
すでに標準状態で、シフトアップ/ダウンに対応するクイックシフター、多彩なライディングモード、グリップヒーター、ETC2.0車載器、イモビライザーなども装備する点からも、ひとまず購入時に追加無しで走り出せる印象です。
ほぼ似た装備のカワサキ「Z900」が148万5000円と聞くと、「直列4気筒以外だめ」という人以外、「F 900 R」が途端に身近に思えたのはないでしょうか。

今回は市街地を中心に試乗をしました。ネイキッドスポーツと考えるとちょっと大柄に見えるのは、長いスイングアームで後輪が車体後方に突き出すようなスタイルからくるものかもしれません。
815mmのシート高と意外に後退したステップ位置、そしてバータイプのハンドルながら低く構えたライディングポジションにより、スズキ「GSX-8R」よりひょっとすると前傾強いかも!? と思ったほど。
エンジンは水冷並列2気筒DOHC4バルブの一般的なレイアウトです。クランクシャフトは270°位相の不等間隔爆発を採用しており、多くの直列2気筒エンジンが取るスタイルですが、エンジンのパルス感やトルク感にひと味スパイスが加わります。
排気量や最新の電子制御もあいまって、電子制御スロットルに違和感はなくアイドリング付近から扱いやすい低回転トルクをライダーに提供します。つまり市街地走行がラクラク。軽いシフトタッチもあってスムーズに走り、スポーティなライディングポジションに急かされることもなくゆったりと街中をクルーズ可能です。
大柄と表現しましたが、ハンドリングに鈍なところはありません。ホンダ「CB1300SF」のようなフロントからグッと曲がり出す手応えと少し似た印象を持ちますが、あちらほど重厚感があるのではなく、重量級モデルから乗り換えても違和感が少ない存在感ある走り、と表現するのがピッタリかもしれません。
市街地レベルからブレーキのコントロール性とフロントサスペンションの作動性の良さは、まさにグッドバランス。操作感に高級感のあるフロントブレーキレバーのタッチと相まって上質な走りを楽しめます。
フロントフォークは市街地の荒れた路面を的確に吸収しつつ進みます。これはリアサスペンションも同様で、装備されるダイナミックESAが、路面状況に合わせて自動で調整してくれる仕事ぶりの良さがあってこそ。乗り心地が引き締まった印象にして快適です。
市街地でのハンドリングは、210kg程度の車体らしく低速域では安心感が、ちょっとペースが上がるとスポーツネイキッドらしい手応え感と軽快さの混ざり合った走りをしてくれます。バイパス路にあるような長いカーブではピタッと狙ったラインをトレースする走りが決まります。まるでスーパーバイクで高速コーナーを曲がったかのような充実感。
なんとも、多面的な魅力を持つ「F 900 R」なのです。
余談ですが、市街地では4000rpmもあればパワーもトルクも充分。加速もよく本当に小気味よい走りを楽しめました。
市街地中心に走りましたが、作り込まれたスポーツ性、装備の充実によりアンダー1000ccクラスのスポーツネイキッドの中でも魅力を持っていることが解りました。
TFT6.5インチモニターに表示される様々な情報や設定変更を、マルチコントローラーと呼ばれる左側グリップに装備するホイールで選択&決定が可能なため、コマンドにさえ慣れると本当に便利。さらにスマホ、ヘッドセットが揃えば、およそ思いつくアメニティはもう無いだろうというこのバイク。走りと商品力はさすが、と思わせるものでした。
Writer: 松井勉
モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。




















