人気の「ハンターカブ」には50cc原付もあった? 副変速機を装備する登坂力18度のホンダ「CT50」とは
1968年発売のホンダ「CT50」は、国内2輪車で初となる副変速機「スーパートルク」を採用した「ハンターカブ」の仲間です。釣りやキャンプなどのレジャーから、山間部の業務用として活躍しました。
国内仕様50cc「ハンターカブ」が装備する「スーパートルク」とは?
ホンダ「CT125・ハンターカブ」(2020年発売)は原付2種バイクの中でも人気の高いモデルですが、歴代ハンターカブの中には、排気量50ccクラスのモデルもありました。

現行モデル「CT125・ハンターカブ」がオマージュしたのが、1981年発売の「CT110」です。国内販売の期間は2年ほどでしたが、輸出向けモデルは2012年まで生産された名車で、ハンターカブの名前を日本に浸透させたモデルでもあります。
それ以前のハンターカブは、国内販売に関しては長い空白期間があります。日本のレジャーブームの訪れとともに、1968年に国内販売されたのが、50cc原付ハンターカブである「CT50」となります。
「CT50」は輸出向け本格ハンターカブである「CT90 トレール90」の50cc原付版とも言えるバイクで、それゆえハンターカブならではの特徴がたくさん備わっています。
最大の特徴は国内2輪車で初となる副変速機を採用している点でしょう。
通常の「スーパーカブ」は荷物満載時の発進から30km/hや50km/hでの長時間走行までを3速または4速のミッションでカバーしています。
ハンターカブは通常の走行に加え、重たい獲物を荷台に積んで山の斜面を登ることも想定し、より大きなエンジンでパワーアップする方法もありますが、車体が軽いことがハンターカブの美点でもあります。
そこで初期のハンターカブでは、後輪側のスプロケットを大小2枚装備し、山野へ入ったらチェーンを掛け替えてトルクを1.7倍にできる工夫がありました。低速側のスプロケットは最高速が低くなってしまいますが、モトクロスバイクと異なり山の中は歩く様なスピードで走れれば十分なので、まさにハンターカブには有効な装備でした。
課題としては、チェーンの掛け替え作業が面倒な点です。そこでエンジン内にギア全体を低速側に変速させる副変速機を取り付けました。簡単なレバー操作で通常走行ギア(ハイギア)と、山の斜面用低速走行ギア(ローギア)を切り替えることができます。
この副変速機は輸出車には1966年から採用されており、そのメカニズムが「スーパートルク」と名付けられ、国内の50cc原付版「CT50」に採用されました。

エンジン本体もOHVからSOHCとなった新設計の「スーパーカブ」用エンジンを搭載しました。副変速機と新型エンジンのおかげで18度という登坂力を持ちながら、90km/Lという低燃費を両立させています。
さらに「スーパーカブ」でお馴染みのエンスト知らずの自動遠心クラッチは、山野での走行を助けてくれます。
その他にもアップマフラーやクロスバー付きアップハンドル、フレームカバー、エンジンガードなど、ハンターカブならではの装備を採用しています。
ちなみに、車名は「CT50」でハンターカブの名称はありません。
この時期はバイクの高性能化が著しく進んおり、ゆっくり走るトレッキングバイクである「CT50」がヒット作となる事はありませんでした。日本国内でハンターカブシリーズにスポットライトが当たるのは、2020年の現行「CT125・ハンターカブ」からです。
ホンダ「CT50」(1968年)の当時の販売価格は6万5000円です。
■ホンダ「CT50」(1968年型)主要諸元
エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ
総排気量:49cc
最高出力:4.8PS/10000rpm
車両重量:71.5kg(乾燥)
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員








