一体どうすれば? 自分で愛車のメンテやカスタムしたい どんな工具を揃えればいい?
バイクに乗り始めて「愛車のメンテナンスやカスタムを自分でやってみたい」と感じるライダーは多いようです。そこで必要になるのが「工具」ですが、いったいどんな工具を揃えれば良いのでしょうか? そこが最初のハードルかもしれません。
理想はバイク整備用のツールセットだが……
バイクの大がかりな整備や修理はプロにお任せするとして、日常的な整備やちょっとしたカスタムは自分でやりたいと考えるライダーは少なくありません。そこで必要になるのが「工具」ですが、どんなモノを揃えれば良いのでしょうか?

かつてのバイク(2000年代初頭くらい?)には「車載工具」が付属していましたが、車載工具はあくまで非常用なので、精度や強度的にも整備作業に使わない方が無難です(ボルトやナットを傷めたり、作業者がケガをする危険もアリ)。
また近年は車載工具が付属しなかったり、シート裏側に六角棒レンチが1~2本だけハマっているバイクも多く、やはり整備作業には向きません。
したがってメンテナンスやカスタムを自分で行うには、自分自身で工具を揃える必要があります。しかしどんな工具を、何から揃えれば良いのでしょうか?
まず理想で言えば、名の通った工具メーカーの「ツールセット」を手に入れるのが良いでしょう。「バイク整備用」と銘打ったツールセットなら、ひと通りの種類の工具が入っているので色々な整備作業に対応できます……が、いくつか問題点もあります。
まずは価格で、有名メーカー品だと10万円前後、安価なタイプでも4~5万円ほどになります。ちなみに「50点入りで2980円!」みたいなモノは精度や強度的に疑問があるので、とくに整備ビギナーにはオススメできません。
またツールセットの場合、愛車の整備には使わない種類やサイズの工具が含まれている場合があります。無駄と言ってはナンですが、もったいないのも事実です。また逆に、愛車の整備に必要な工具が含まれていない場合もあります。
必要な工具を「単品で揃える」手もある
それではツールセットではなく、単品で工具を揃えるにはどうすれば良いのでしょうか。まずは愛車に使われているボルト類の形状をよく見るのが第1歩です。
国産車の場合、いわゆる旧車(1980年代くらいまで)は六角ボルトが主流で、ボルトの頭やナットの二面幅=工具のサイズは8/10/12/14/17mmくらいが多く使われています。
ちなみに、純正のボルト・ナットだと13mmは滅多に使われませんが、汎用のボルト・ナットは13mmがメジャー(12mmはあまり使われない)なので、カスタムパーツの取り付けなどには13mmサイズの工具が必要な場合も多いでしょう。
そして1990年代頃からは六角穴付きボルト、いわゆる「キャップスクリュー」が増えてきました。こちらはボルトの頭の六角穴の二面幅=工具のサイズは4/5/6/8/10mmくらいが多く使われています。ただしカウリングなどの外装パーツには3mmが使われる場合もあります。
さらに近年は「ヘックスローブ(へクスローブ)」と呼ばれる花びらのような穴の開いたボルトも増えつつあります。BMWやハーレーダビッドソンなどに使われ、国産車もヤマハ車に見られます。
ちなみに、このボルト穴形状を開発したアメリカのメーカーの商標から「トルクス」と呼ばれることが多いようです。
また、トルクスには盗難抑止のために穴の真ん中に突起を設けた「イジリ止めトルクスボルト」があり、工具も通常のトルクスとは別のモノが必要です。
トルクスのサイズは「T20」や「T25」のように、「T●●」で表記しますが、現状ではまだどのサイズがメジャーと言えるほど普及していないように感じます。
というわけで、車両が新しくなるほど使われるボルトの種類が増えているため、工具の種類もたくさん必要になります。整備するうえでは非効率的に感じなくもないですが、こればかりはメーカーの設計思想も関わるので、いかんともしがたい部分です。
なお、ハーレーダビッドソンの六角ボルトとキャップスクリューは、基本的に「インチ」サイズなのでインチ工具が必要になり、前述したようにトルクス(これは共通規格)も使われます。そして部分的には「ミリ」サイズの箇所もあるので、工具の種類もさることながら、使用するボルトやナットの種類(インチとミリ)を間違えないよう注意が必要です。
どんなタイプの工具が必要?
工具としてはスパナやメガネレンチがメジャーですが、奥まった場所のボルトやナットを回すなら、ソケットレンチ(ハンドルとエクステンションバー、該当するサイズのソケット)が便利です。またパーツによってはボルトとナットで組み立てられる箇所もあるので、同じサイズの工具が2つ必要になる場合もあります。

というワケで、愛車に使われるボルトの種類の次に意識すべきは、整備やカスタムなどやりたい作業の種類です。
たとえばミラーのナットの締め付けなら片口スパナが必要です。またカスタムでマフラー交換したいなら、エキゾーストパイプのフランジを外すために奥まった場所にあるナットを回すには、ソケットレンチでないと難しいでしょう。
キャップスクリューを回すヘキサゴンレンチですが、作業頻度が高かったりクラッチカバーやエンジンカバーのように着脱するボルトの数が多い場合は、ソケットレンチ(Tハンドルやラチェットハンドルを使用)が便利です。しかし作業の頻度が少なく、カウルなど締め付けトルクの小さな外装パーツをたまに着脱するだけなら、六角棒レンチをセットで購入した方がコストもかからずサイズも各種揃うのでラクでしょう。
ヘックスローブを回すトルクスレンチも、外装パーツ系の着脱がメインなら、やはり棒レンチのセットの方がサイズ選びで迷わない(その都度ボルトに当てがって最適なサイズを選べる)ので良いかもしれません。
工具がバイクライフを豊かにする……かも?
ここまでボルトやナットを回すための工具を紹介しましたが、整備やカスタム作業には他にもドライバー(+-各サイズ)やプライヤー(いわゆるペンチ)、ニッパーなども必要になります。
これらをすべて揃えると、それなりにコストがかかるでしょう。もしくは最初にツールセットを購入して、足りない分を買い足した方が、可能な作業の幅が広がったり、手間がかからず効率が良いかもしれません。
が、こればかりは実際にどれくらい自分でメンテナンスやカスタムをやるのか、その頻度の高さなどで工具の価値が変わってくるでしょう。
ともあれ「自分の手で愛車をイジる」ことでバイクライフがより奥深いものになるのなら、工具の入手を考えてはいかがでしょうか。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。















