ビールケースもラクラク積める!! ホンダの原付3輪スクーター「ジャイロ・アップ」で売り上げアップ!?
1985年に登場したホンダの原付3輪スクーター「GYRO UP(ジャイロ・アップ)」は、荷崩れしにくい大型リアデッキの装備で重い荷物も楽々載せて運べる、3輪ならではの安定感で商店街や市場で活躍する人気モデルです。
後ろの2輪上部に地面と水平な低床大型デッキを装備
排気量50ccクラスの原付バイクには、ホンダ「スーパーカブ」をはじめとする働くバイクがラインナップされています。それら商用車の中で、荷物の運搬に特化した一際個性を放つ原付バイクが、ホンダ「GYRO UP(ジャイロ・アップ)」(1985年)です。

ホンダの50cc原付3輪商用車である「ジャイロ」シリーズは、商用車の中でも荷物を運ぶことに特化したモデルです。屋根付きの「ジャイロ・キャノピー」(1990年)は最もお馴染みで、宅配ピザなどで見かけたことがあるでしょう。
一方、商店街や市場などでビールケース等の箱型の重たい荷物を運搬する原付3輪車が「ジャイロ・アップ」です。「ジャイロ」シリーズの「ジャイロ・エックス」(1982年)や「ジャイロ・キャノピー」はスイングする車体の後部に積載スペースを配置していますが、「ジャイロ・アップ」は後ろの2輪の上に大型のリアデッキを設けており、これにより常に荷物を地面と水平に保ち、荷崩れしにくく安定した走行を実現しています。
リアデッキのスペースは幅57cm×奥行45cmで、標準的なビールケース(大瓶20本用)を楽々積める大型サイズとなっています。
さらに地面からデッキまでの高さが46cmと、重たい荷物の積み下ろしが容易な低床設計です(50cc原付の道路交通法での積載物の重量は30kg以下に制限されています)。

駐車時に車体を自立させるスタンドは無く、代わりにワンタッチ・パーキング機構を採用しています。ハンドルの中央部にあるレバー操作により、スイング停止と駐車ブレーキが同時に作動します。
エンジンはスクーター同様の無断変速Vマチックなので操作は簡単、また独特な後ろ2輪の駆動部分は左右の回転差を自動調整する、4輪車と同様のディファレンシャルギア機構を初採用しています。
これらにより誰でも簡単に小荷物配達業務を行うことができる、使い勝手の良い働く原付バイクでした。
1985年の登場以来15年以上販売され、その間にエンジン出力の向上や汚れが目立ちにくいカラーリングの採用、シートのデザインや肉厚変更、さらに2000年には排ガス対策なども施しました。
その後、宅配業務の主役を「ジャイロ・キャノピー」に譲り一度はラインナップから外れましたが、2021年にビジネスバイクシリーズが電動化された際に、「GYRO e:(ジャイロ・イー)」という名称で「ジャイロ・アップ」型EVが登場しています。
ホンダ「ジャイロ・アップ」(1985年型)の当時の販売価格は24万9000円です。
■ホンダ「GYRO UP」(1985年型)主要諸元
エンジン種類:空冷2ストローク単気筒
総排気量:49cc
最高出力:5.1PS/6500rpm
最大トルク:0.60kg-m/5500rpm
全長×全幅×全高:1760×685×1010mm
始動方式:キック/セル併用
燃料タンク容量:5L
車両重量:99kg
タイヤサイズ(F):3.25-10-2PR
タイヤサイズ(R):5.4-6-4PR
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員







