バイアスタイヤのバイクにラジアルタイヤを履くのはアリ? その逆は?

愛車の純正タイヤが「バイアスタイヤ」の場合、「ラジアルタイヤ」に履き替えても大丈夫なのでしょうか? またその逆の場合も、どうなのでしょうか。

高性能なラジアルタイヤを履いてみたい

 バイクのタイヤは車種ごとにサイズや仕様が定められており、交換する際には指定通りのタイヤを装着するのが基本です。そしてタイヤには、大別すると「バイアスタイヤ」と「ラジアルタイヤ」の2種類がありますが、コレも車種ごとのタイヤの仕様に含まれています。

ヤマハ「YZF-R25」(左)はバイアスタイヤ、「YZF-R3」(右)はラジアルタイヤを履く。「MT-25」と「MT-03」も同様
ヤマハ「YZF-R25」(左)はバイアスタイヤ、「YZF-R3」(右)はラジアルタイヤを履く。「MT-25」と「MT-03」も同様

 なんとなくラジアルタイヤの方が高性能なイメージがありますが、例えば純正がバイアスタイヤのバイクに、ラジアルタイヤを履いても良いのでしょうか? またバイアスタイヤの方がラジアルタイヤより安価なので、ラジアル指定のバイクにバイアスを履いても大丈夫なのでしょうか?

タイヤの進化の歴史

 まずはタイヤの進化の歴史と、バイアスとラジアルの構造の違いを簡単に解説します。

 いわゆる「空気入りタイヤ」が発明された20世紀初頭から1980年頃まで、長らくバイアス構造のタイヤしか存在しませんでした。ナイロンなどの繊維にゴムを敷いた布地のような「カーカス」を、タイヤの回転方向に対して斜め(バイアス)にして2枚以上の偶数枚を重ねて貼り、その上に路面に接地するトレッドのゴムを貼った構造です。

バイアス構造。カーカスの繊維の方向がタイヤの回転方向に対して斜め(バイアス)に互い違いに偶数枚貼っている。図では2枚だが、強度を増すために4枚貼っている場合もある
バイアス構造。カーカスの繊維の方向がタイヤの回転方向に対して斜め(バイアス)に互い違いに偶数枚貼っている。図では2枚だが、強度を増すために4枚貼っている場合もある

 しかし1960年代頃からバイクの大排気量化によって車重が増すと同時に、パワーや最高速度が飛躍的にアップしたため、高速走行時に遠心力でタイヤが膨らまないようにバイアス構造で対応すると、重くて硬いタイヤになってしまいます。

 そこで登場したのがラジアルで、柔軟性のあるカーカスを、タイヤの回転方向とラジアル(垂直)に1枚だけ張り、その上にベルトを巻く構造です。このラジアル構造はしなやかに変形することでコーナリング性能を高めることにも寄与します。

バイアスとラジアルの「境い目」

 このように、ラジアルタイヤは大排気量化や車重の増加、高速化やコーナリング性能の向上に合わせて進化して登場したわけです。そのため小排気量で軽量なバイクは、現在もバイアスタイヤが主流です。バイアスとラジアルの「境い目」はおおむね250ccクラスで、車両のジャンルによっても異なります。

タイヤのサイドウォールのサイズ表記の例。扁平率とリム径の間が「-(ハイフン)」なら「バイアス構造」で、「R」ならば「ラジアル構造」
タイヤのサイドウォールのサイズ表記の例。扁平率とリム径の間が「-(ハイフン)」なら「バイアス構造」で、「R」ならば「ラジアル構造」

 たとえばヤマハの「YZF-R25」や「MT-25」の純正タイヤはバイアスですが、「YZF-R3」や「MT-03」はラジアルタイヤを履いています。

 またホンダの「レブル250」はバイアスタイヤですが、ベースを同じとする「CL250」はラジアルタイヤを履いています。ちなみに「GB350」シリーズは、「GB350」と「GB350C」は前後ともバイアスで、「GB350S」は前輪がバイアスで後輪にラジアル(サイズも異なる)を履いています。

 そして車体が軽量で、舗装路での高速走行やコーナリングを行わないオフロードバイクは、市販車も本格的なレース専用車もバイアスタイヤを履いています。

 ちなみにタイヤの外観からバイアスタイヤとラジアルタイヤを見分けるのは困難ですが、サイドウォールのサイズ表記の部分を見れば判別できます。

バイアス車にラジアルを履いても良いの?

 さて、前置きが長くなりましたが純正がバイアスタイヤのバイクにラジアルタイヤを履いても良いのでしょうか? 答えは全然OK! です。

ラジアル構造。タイヤの回転方向に対して、柔軟性のあるカーカスを1枚だけ垂直(ラジアル)に貼って、その上にベルトを巻いている
ラジアル構造。タイヤの回転方向に対して、柔軟性のあるカーカスを1枚だけ垂直(ラジアル)に貼って、その上にベルトを巻いている

 たとえば前出のヤマハ「YZF-R25」と「YZF-R3」を例に考えてみると、R3が純正でラジアルを履いているのはパワーと最高速の違いからです。もちろん一般道や高速道路を法定速度で走る上では、R25のバイアスタイヤでも安全面や強度的には何ら問題ありません。

 しかし高速巡行時の安定性や乗り心地、そして速度レンジの高いサーキットでのスポーツ走行等におけるハンドリングの良さは、ラジアルタイヤの方が優位なのは間違いありません。したがってR25でスポーツ性を高めたければ、ラジアルタイヤを履くのは大いにアリです。

 それでは反対に、純正がラジアルのR3にバイアスタイヤを履いたらどうでしょうか? R3もR25も車重は同じなので、飛ばさずに普通に走る分にはバイアスでも大丈夫……とは思われますが、パワーやトルクは両車でかなり異なります。それを考えるとR3にはやはりラジアルを履くべきで、バイアスはやめた方が良いでしょう。

 ちなみに、大排気量のロードスポーツ車の多くはラジアルタイヤを履いていますが、同様の理由(パワーやトルクが大きい)から、バイアスタイヤへの互換は考えない方が良いでしょう。

 製造工程や製造管理の難易度の違いから、同サイズのタイヤでも価格的にはラジアルタイヤはバイアスタイヤの2倍近く高額ですが、それだけ性能面でのメリットが大きいと言えます。

 愛車が250~400クラスでバイアスタイヤを履いていて、スポーツ性の向上や巡行時の快適性を考えるライダーは、ラジアル化を一考するのもアリではないでしょうか。

 ただし前述したように、バイクは車種ごとにタイヤのサイズや仕様が定められています。純正タイヤと同じサイズや仕様のラジアルタイヤが存在しない場合は、バイアスからの無理な交換(サイズ変更等)は行わないようにしましょう。

【画像】見た目は似てるのに!? 「バイアスタイヤ」と「ラジアルタイヤ」を履くバイクを画像で見る(14枚)

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Writer: 伊藤康司

二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。

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