開発ベース車は同じだけど!? ハスクバーナ「スヴァルトピレン801」兄弟車とも異なる乗り味が実感できるワケとは

日本では2024年8月より発売となったハスクバーナ新型モデル「Svartpilen 801(スヴァルトピレン801)」は、単気筒エンジンを搭載する先代モデル「Svartpilen 701」の後継機として登場し、排気量799ccの並列2気筒エンジンを搭載するスクランブラースタイルが特徴です。いったいどんな乗り味なのでしょうか。試乗しました。

「PILEN(ピレン)」シリーズの存在意義

 2018年からハスクバーナ・モーターサイクルズ(以下、ハスクバーナ)が展開を開始した「PILEN(ピレン)」シリーズに対して、世の中には「KTMデュークのお下がり」と言う人が存在します。確かに、シリーズ各車のエンジンとシャシーはKTMの「DUKE(デューク)」シリーズの転用ですから、その表現は間違いではありません。

ハスクバーナ「Svartpilen 801」(2024年モデル)に試乗する筆者(中村友彦)
ハスクバーナ「Svartpilen 801」(2024年モデル)に試乗する筆者(中村友彦)

 とはいえ、KTMとハスクバーナ(とGASGAS)が所属するピエラモビリティAGにとって(2025年5月よりBajaj社が主要投資家に)、「ピレン」シリーズは非常に重要なモデルとなりました。

 まずKTMに興味があっても主張が強烈なデザインに馴染めない人には、「ピレン」シリーズは有力な選択肢になるでしょう(ハスクバーナのデザインも主張は強烈ですが)。

 また、一昔前はオフロード好きしか関心を示さなかったハスクバーナの知名度は、このシリーズの登場で大幅に向上しました。

 そういった要素に加えて、私(筆者:中村友彦)がその魅力と感じているのが、一般的なオンロードバイクとしての乗りやすさです(全車に通じる話ではなく、当初は難しさを感じるモデルも存在した)。

 逆に言うなら、開発ベースのKTM「デューク」シリーズは、着座位置が前寄りで前後サスペンションのストロークスピードが早いためか、どことなくスーパーモタード的な雰囲気を感じるのですが、「ピレン」シリーズにその気配は見当たりません。

 もちろん、スーパーモタード的な雰囲気をどう感じるかは乗り手次第ですが、オンロード車がメインのバイクライフを送ってきたライダーにとって、このシリーズの乗り味は馴染みやすいように思います。

ちょっと高級車

 2024年に登場した「Svartpilen 801(スヴァルトピレン801)」と、2025年にデビューした「Vitpilen(ヴィットピレン801)」は、「790デューク」の基本設計を転用して生まれた兄弟車です。この2台はシリーズの慣例に従い、外装やライディングポジション関連部品、足まわり、灯火類などを専用設計しています。

ハスクバーナ「Svartpilen 801」(2024年モデル)
ハスクバーナ「Svartpilen 801」(2024年モデル)

 両車の価格(消費税10%込み)はいずれも145万9000円で、開発ベースになった「790デューク」より19万1000円高いだけではなく、近年のミドルツインの基準で考えても高めの部類になります。

 その事実から推察すると、おそらくハスクバーナにとって2台の「801」は「違いが分かるライダー向けの、ちょっと高級車」という位置付けなのでしょう。

 ちなみに排気量が小さくなる「ピレン」シリーズ(401/250/125)の価格帯は、同「デューク」シリーズ(390/250/125)+2~3万円程度です。

2モデルの棲み分けに感心

 スウェーデン語で「黒い矢」を意味する「スヴァルトピレン」はスクランブラーで、「白い矢」の「ヴィットピレン」は生粋のオンロードモデルです。それが、ハスクバーナが「ピレン」シリーズに定めた決まり事です。

ハスクバーナ「Svartpilen 801」(2024年モデル)に試乗する筆者(中村友彦)
ハスクバーナ「Svartpilen 801」(2024年モデル)に試乗する筆者(中村友彦)

 もっとも、各車の作り分けはモデルによって異なっていて、先代モデルでは「スヴァルトピレン701」がフロント18インチタイヤ、「ヴィットピレン701」がセパレートハンドルを採用していましたが、「801」となってタイヤはいずれも前後17インチ、ハンドルはバー式です。

 では2機種の何が違うのかと言うと、ヘッドライト(スヴァルトピレンはオーソドックスな丸形、ヴィットピレンはBi-LEDプロジェクターレンズ+フローティングポジショニングライトリングという独創的な構成)、ハンドル(スヴァルトピレンはブリッジ付きで、ヴィットピレンと比べるとグリップ位置がやや高い)、タイヤ(スヴァルトピレンはピレリMT60RSで、ヴィットピレンはミシュラン・ロード6)くらいのようで、スペックには大差がありません。

 ところが両モデルは、きっちり差別化を図っていました。具体的な話をするなら、乗り手の操作に対する反応が俊敏で、ブレーキタッチがシャープ、コーナーへの進入時にフロントからグイグイ曲がっていくかのような挙動を示す「ヴィットピレン」に対して、「スヴァルトピレン」のハンドリングは安定指向でブレーキの利きは穏やか、旋回のキレ味は「ヴィットピレン」ほど鋭くありません。

排気量799ccの並列2気筒エンジンを搭載。最高出力105ps、最大トルク87Nmを発揮
排気量799ccの並列2気筒エンジンを搭載。最高出力105ps、最大トルク87Nmを発揮

 だからチョイ乗りだと多くの人が「ヴィットピレン」に好感を抱きそうですが、ツーリング好きの私は今回試乗した「スヴァルトピレン」に惹かれました。

 もっとも2台の基本設計は共通ですから、「ヴィットピレン」でもロングランは可能ですし、「スヴァルトピレン」でもスポーツラインディングは楽しめるでしょう。

 とはいえ現在の私は、「スヴァルトピレン」=スクランブラーと言うよりオールラウンダー、「ヴィットピレン」=ワインディングロードで真価を発揮するスポーツバイク、という印象を抱いているのです。

 なお、285度という独創的なクランク位相角を採用したパラレルツインエンジンは、初採用車となった2018年型「790デューク」の時点では、パワーを徹底的に追求した結果なのでしょうか、時として荒っぽさを感じることがありました。

 でも最新の「スヴァルトピレン801」と「ヴィットピレン801」ではかなりの熟成が進んでいるようで、高回転域の弾けるようなフィーリングを維持しつつも、低中回転域がかなり扱いやすくなっています。

 こういった熟成が、KTMとハスクバーナに通じる要素なのか、ハスクバーナ専用かは何とも言えませんが、今回の試乗で私は改めて、「ピレン」シリーズはKTM「デューク」シリーズの単なるお下がりではない……と感じたのです。

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Writer: 中村友彦

二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。

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