「良い工具は一生モノ」って、ホント!? そんなに長く使えるの? 中には「消耗品」もアリ

バイクの整備やカスタムを自分でやるなら、当然ながら「工具」が必要です。そして「良い工具は一生モノ」と言われますが、本当なのでしょうか?

相応に高額だから、できるだけ長く使いたい

 バイクライフの楽しみひとつに「自分でバイクをイジる(メンテナンスやカスタムなど)」があり、そのためには工具が必要です。

 そんな時、工具セットを購入するにしても単品で揃えるにしても、かなり「価格に幅」があることに気づきます。

 もちろん「高いほど良い」というワケではないかもしれませんが、ベテランなどに相談すると「良い工具は一生モノだから、少し高くてもそっちの方が良い」と言われることもあります。

 バイクを乗り換えても、大抵の工具は同じモノが使えるので、名の通ったメーカーの工具を買った方が良いのは解りますが、本当に「一生使える」のでしょうか。

店舗の陳列スペースにズラリと並ぶ多種多様なTONEの工具(ハンドツール)。昔から「良い工具は一生モノ」と言われる
店舗の陳列スペースにズラリと並ぶ多種多様なTONEの工具(ハンドツール)。昔から「良い工具は一生モノ」と言われる

 ここではあくまで、筆者(伊藤康司)の経験を元にそのあたりを解説しますので、ご了承ください。

 ちなみに筆者はかつて、バイク誌編集部時代から現在に至るまで、誌面のメンテナンス企画やイベントレースのメカニック、また愛車をイジるために自分の工具を使っており、趣味のサンデーメカニックのレベルとしては、工具の使用頻度は比較的高い方だと思います。

 そして主に、日本の老舗工具メーカーであるKTCの工具を使っていますが、じつは30年以上も昔に手に入れたKTCのバイク用工具セットを主体に、買い足したり買い替えたりしています。

スパナやメガネは一生モノ!

 まず工具の代表格(?)とも言える、六角ボルトやナットを回す「スパナ」と「メガネレンチ」ですが、使用頻度の高い10~17mmくらいのサイズはバイク用工具セットのモノを30年以上使用していますが、現在も全く問題なく使っています。

スパナは多少キズが入ったりしていますが、対象物のボルトやナットを傷めることはなく、ガタつきが無く剛性感も変わりません。なのでこれらは「一生モノ」レベルだと思います。

「30年モノ」のKTCのスパナとメガネレンチの先端。細かな傷はあるが、ガタつきは皆無で剛性感もバッチリ
「30年モノ」のKTCのスパナとメガネレンチの先端。細かな傷はあるが、ガタつきは皆無で剛性感もバッチリ

 またソケットレンチの「六角ソケット」も、主要サイズはやはり30年モノを使っています。若干サビが浮いたりしていますが、こちらもガタつきなどなく問題ありません。

 そしてソケットを差し込んで使うラチェットハンドルですが、こちらは一度買い替えています。ラチェットハンドルが壊れたりしたワケではなく、サイズ的に大きくて使いにくく感じたため、進化してコンパクト化したハンドルが欲しかったからです。ちなみに筆者が昔購入したバイク用工具セットのソケットは差込角9.5mmです。

 ラチェットハンドルはKTCの他に、MAC TOOLのハンドルも2本持っており、どれも20年以上使っていますが、ラチェットが空回りするようなトラブルはありません。

 MAC TOOLのフレックスタイプは、ヘッドの折れ曲がり部分が若干緩くなったように感じますが、使用上の問題はありません。

 ちなみにKTCではラチェットハンドルのラチェット部のリペアパーツを用意しています。さすがに筆者が使っているタイプは古過ぎてリペアパーツも廃番になっていますが、20年近く前の製品でもリペアパーツが揃っているので、かなり長く使えるのは間違いありません。

ヘキサゴンレンチは、思いのほか摩耗する!?

 バイクは1990年代頃から六角穴付きボルト、いわゆる「キャップスクリュー」が多く使われるようになってきました。

 そこで個人的には、ソケットレンチの「ヘキサゴンビット」を頻繁に使っています。……が、ヘキサゴンビットの先端は思いのほか摩耗します。そして使用感も少しずつですがガタつきが大きくなります。

10年以上使用した六角棒レンチのソケットビットの先端。少しだが摩耗している
10年以上使用した六角棒レンチのソケットビットの先端。少しだが摩耗している

 そして細めの4mm穴(呼び径6mm)のキャップスクリューなどは、ボルトの材質や締め付け具合によっては、ボルトの頭の六角穴がナメてしまう危険があります。

 そのため筆者は、10~15年に一度くらいヘキサゴンビットを買い替えています。

 そして「ナメる」と言えば、「+」ネジです。1960~70年代の旧車はエンジンカバー類を+ネジで留めている車両もありますが、1980年代以降はめっきり少なくなりました。

 とはいえ現在もハンドル左右のスイッチボックスや、レトロ系の丸型ヘッドライトの取り付けなどに+ネジが使われています。

 そこでネジを回すドライバーですが、こちらも先端が思いのほか摩耗します。そして摩耗した+ドライバーを締め付けがキツいネジに使うと、けっこうな確率で頭をナメてしまいます。

 ちなみに「-」ネジは現行バイクだとほとんど見かけませんが、先端が摩耗したドライバーを使うと、ネジ頭をナメやすいだけでなく、ネジからドライバーの先端がツルっと外れて周囲をキズ付けたり、作業者がケガをする危険があります。

 なのでドライバーに関しては、一生モノではなく消耗品と考えた方が良いかもしれません。そのためか、有名メーカーの製品でも他の工具と比べるとドライバーは比較的安価に感じます。

サンデーメカなら、大抵の工具が「一生モノ」

 繰り返しになりますが、ここでは筆者の経験や使用感で工具のライフ(寿命)をお伝えしています。プロのメカニックが毎日整備に使ったらもっと寿命が短いかもしれませんし、反対に、プロが正しく工具を使うことでもっと長持ちするのかもしれません。

ナメてしまった4mm穴(呼び径6mm)の鉄製のキャップスクリュー。緩める際に摩耗した六角ソケットビットを使った例
ナメてしまった4mm穴(呼び径6mm)の鉄製のキャップスクリュー。緩める際に摩耗した六角ソケットビットを使った例

 とは言え、趣味のサンデーメカニックなら名の通った工具メーカーの製品はスパナやメガネレンチ、六角ソケットやラチェットハンドルは「ほぼ一生モノ」だと思います。

 またキャップスクリューを回すヘキサゴンビットも、一生モノではないかもしれませんが、かなり長持ちします。

 そして何より、「良い工具」はボルトやネジなど作業の対象物を傷めにくく、剛性が高く力が入るので、固く締まったボルト類を緩めやすいのも大きなメリットです。

 また、作業時に対象物から外れて作業者がケガをする危険も少ないと言えます。それでいて長く使えるのですから、やはり高価でも良い工具を入手することをオススメします。

【画像】30年モノでもスゴイ!! 実際に使い続けてきた工具を画像で見る(15枚)

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Writer: 伊藤康司

二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。

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