バイク版「冒険王」の完成形 Vツインエンジンを搭載するホンダ「アフリカツイン」は高速道路から砂漠まで快適に走破する
バイクに「アドベンチャースポーツ」というカテゴリーを普及させたホンダ「アフリカツイン」は、「パリダカ」のロマンと本物の装備を持って1988年に新登場しました。750ccエンジンとしては最終モデルとなる2000年までの軌跡を振り返ります。
「パリダカ」レプリカから大型ツーリングバイクへ
1988年にデビューしたホンダの初代「Africa Twin(アフリカツイン)」は、アドベンチャースポーツという新しいコンセプトのバイクでした。大きなカウリングにビッグタンクと呼ばれた大容量の燃料タンク、さらに排気量632ccのV型2気筒エンジンと、既存のオフロードバイクとは大きく異なる構成でした。
これらは総走行距離1万kmを走破する過酷なアドベンチャーラリー「パリ-ダカール・ラリー」(パリダカ)のHRC参戦から得られたスタイルで、広大な砂漠を走破するパリダカのロマンを「アフリカツイン」に投影し、欧州のオフロードツーリングライダーを中心に人気が高まっていきました。

1990年には改良を施した2代目となる「アフリカツイン」を発売します。1気筒あたり3バルブのVツインエンジンは、排気量を632ccから742ccにアップし、最高出力は57psへ向上、オイルクーラーを新設しました。
またフロントブレーキのダブルディスク化と、カウリング上部の形状を変更しています。ヘッドライトはより明るい60/55Wとなりました。
1992年モデルではスピードメーターの上部に多機能型デジタルトリップメーターを配置するなど、アドベンチャーバイクらしい便利な装備が追加されています。
そうして1993年にフレームや外装部品を一新してフルモデルチェンジし、ここに紹介する3代目の「アフリカツイン」が登場します。
軽量化と低重心化しつつ剛性が高められた新設計の角型断面フレームを採用し、シートは20mm厚くしながらシート高を865mmに抑えています。
大容量の燃料タンクも形状を変更し、エアクリーナーボックスを燃料タンク前部に配置し、大容量化しつつメンテナンス性を向上しました。
後輪にラジアルタイヤを装着して舗装路での適性を高める一方、リアのホイールトラベルを220mmと10mm増やして悪路走破性を高めています。
この3代目では1995年のマイナーチェンジで再びカウリング上部とシールド形状を変更しており、さらにシートクッションを増やし、2人乗りでのツーリングの快適性を向上させています。
また点火方式をフルトランジスタ式バッテリー点火にあらため、サイレンサーの大型化と合わせ最高出力を58psへ向上させています。

世代ごとに何度もオフロードの走行性能と長距離ツーリングでの快適性向上をねらった見直しを図っており、それらは現代のアドベンチャーバイクのベースとなる装備や機能の探求だったとも言えます。
1988年から始まったVツインエンジンを搭載する「アフリカツイン」は2000年型で最終モデルとなり、2001年までに7万3000台が生産され、世界中のライダーにアドベンチャーバイクで旅する楽しさを提供しました。
ご存じの通り「アフリカツイン」はこれで終わりではなく、15年後の2016年に現行モデルにつながる「CRF1000Lアフリカツイン」がデビューし、そのストーリーは続いています。
ホンダ「アフリカツイン」(1993年)の当時の販売価格は89万円です。
■ホンダ「Africa Twin」(1993年型)主要諸元
エンジン種類:水冷4ストロークV型2気筒SOHC6バルブ(1気筒あたり3バルブ)
総排気量:742cc
最高出力:57PS/7500rpm
最大トルク:6.1kg-m/6000rpm
全長×全幅×全高:2320×905×1430mm
シート高:865mm
始動方式:セルフ式
燃料タンク容量:23L
車両重量:234kg
フレーム形式:セミダブルクレードル
タイヤサイズ(F):90/90-21 54H
タイヤサイズ(R):140/80R17 69H
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員










