対向6気筒エンジン搭載!!「他のバイクと比べるのは意味がない」排気量1520ccのホンダ「ワルキューレ」がアメリカンカスタムの頂点に
ホンダのアメリカ工場で生産された「ゴールドウイング(GL1500)」のエンジンを流用したクルーザー「ワルキューレ」は、排気量1520ccの水平対向6気筒エンジンにホットロッド流のチューニングを盛り込み1996年から日本国内で発売されました。
アメリカンカスタムの最高峰に君臨
ホンダは1988年に「ゴールドウイング」(1975年~)の第4世代となる「GL1500」をデビューさせました。そのエンジンは排気量1520ccというとてつもない大きさで、水平対向6気筒という他には類を見ない形式でした。
一方、1993年にアメリカンスタイルの「MAGNA(マグナ)」の発表と同時に、「SPIRIT OF THE PHOENIX(スピリット・オブ・フェニックス)」と銘打った新世代のアメリカンカスタム車の基本指針を提案しました。
当時のプレスインフォメーションでは「迫力と存在感のある高品位なエンジンを搭載し、カスタムバイクの基本形であるティアドロップタンクなどの部品が高いクオリティで構成されているもの」と、紹介されています。

その後にラインナップされたバイクはいずれも堂々としたロー&ロングなプロポーションと、ゆったりとしたホースライドフィーリングが味わえるライディングポジションでした。
この「スピリット・オブ・フェニックス」のフラッグシップとして、1996年にホンダのアメリカンカスタムモデルの頂点に立ったのが「VALKYLIE(ワルキューレ)」です。
「GL1500」に使用された、当時量産バイク最大排気量で水平対向6気筒エンジンを搭載しています。排気量は1520ccのままですが、多くの部分に手を加えられてホットロッドカスタム的なスタイルと乗り味を目指しました。
吸気側ではオーバーラップのある高速バルブタイミングを採用し、最高出力100psを「GL1500」よりも1000rpmも高い回転数で発揮しています。高回転化に伴いバルブスプリングやロッカーアームも新設計です。
その他、新型軽量ピストンや新開発の28mm径3連×2列キャブレター、一新されたエアクリーナーボックスなど、エンジン流用とは思えない新作部品のオンパレードです。
ホイールマスを縮小し、点火時期特性やギアレシオ変更により豊かなフラットトルクと鋭いレスポンスを獲得しています。
左右シリンダー上に2つ並んだ3連キャブレターから美しいラインを描くエキゾーストパイプは、そのまま後方のスラッシュカットサイレンサーに繋がりますが、その中を独立して後端まで伸びる6 into 6システムを採用しています。
のんびり走るヘビークルーザーと思いきや、ホットロッドカスタムを名乗るだけあり、アメリカ国内で放映されたプロモーションビデオでは、AMAのプロライダーが強烈なドリフト走行を披露しています。

1996年から日本国内でも発売された「ワルキューレ」は、ホンダのアメリカ工場で生産された輸入車でした。翌1997年には高級感のあるワインレッドとアイボリーのツートーンカラーを採用します。
1999年モデルでは排気ガス浄化システムのエアインジェクションと、リバース(後進)システムを新たに採用し、この年から大型のウインドシールドとサドルバッグを装備した「ワルキューレ・ツアラー」を追加します。
2000年モデルでは車体色を初期型イメージのブラックのモノトーンへ変更するとともに、燃料タンクのエンブレムは女神をモチーフにしたデザインに変更しています。
最終型となる2001年型では、ホイールを鏡面仕上げにするなど質感を高めています。
翌2002年にはベース車両となる「ゴールドウイング」シリーズが「GL1800」となり、「GL1500」とともに「ワルキューレ」も生産を終了しました。
ちなみに車名の「ワルキューレ」は、古代北欧神話に登場する女神の名前「VALKYRIE」のドイツ語読みで、アメリカでは「バルキリー」と呼ばれています。
ホンダ「ワルキューレ」(1996年型)の当時の販売価格は145万円です。
■ホンダ「VALKYRIE」(1996年型)主要諸元
エンジン種類:水冷4ストローク水平対向6気筒SOHC
総排気量:1520cc
最高出力:100PS/6000rpm
最大トルク:13.5kg-m/4500rpm
全長×全幅×全高:2555×980×1185mm
シート高:740mm
始動方式:セルフ式
燃料タンク容量:20L
車両重量:333kg
フレーム形式:ダイヤモンド
タイヤサイズ(前):150/80R 17 72H
タイヤサイズ(後):180/70R 16 77H
【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員











