燃料タンク内の汚れを落とすとピンホールから穴へ……溶接部分に起こりやすいサビ穴を板金ハンダで修理!!
乗らなくなってしまったバイクに起こりがちなのが「ガソリンタンク問題」です。普段は乗っていたのにある日突然乗らなくなってしまうと、タンク内にはガソリンが残ることになります。長期不動車の復活メンテナンス時には、この残ガソリンが、大きな問題となることがよくあります。しばらく乗らないと決めたバイクの場合、残っているガソリンは、どのようにしたら良いのでしょう……。
昔のガソリンと現代のガソリンは、添加物に違いがある
排気量に関わらず、しばらく走らせていなかったバイクや車検切れだったバイクのメンテナンス時には、エンジンの始動に苦労することが多くあります。放置期間にガソリンの劣化が進んでしまい、爆発燃焼しにくい状況は、決して珍しくありません。
タンク内からガソリンを抜き取った時には、においを嗅いで異臭の有無を確認することが多いと思いますが、指先や手で触れることで、揮発性の有無やその強弱を感覚的に知ることもできます。
ガソリンが劣化して腐敗が進むと異臭を放ちますが、実は、その前段階では揮発性が低下して、爆発燃焼しにくくなってしまう例が多いです。

キャブレターのフロートチャンバーを取り外して内部確認すると、ネチョネチョに劣化したガソリンで「チャンバー内が汚れていないからラッキー」と思い、エンジン始動に取り掛かると、なかなか始動できないケースがあります。チョークを引いてセルボタンを押し続けても、ポポッ、ポポポッ、となるだけです。そんな経験、ありませんか?
このようなパターンは、多かれ少なかれ、ガソリンの劣化が進んでいると考えられます。タンク内から古いガソリンを抜き取り、フレッシュなガソリンを給油してみましょう。
燃料ホースを接続して、キャブレターにガソリンを流し入れたら、念のためにチャンバードレンを緩めて、フレッシュなガソリンが流れていることを目視確認します(1980年代後半以降のモデルでは、環境問題の関係でフロートチャンバードレンが廃止されている例もあります)。
このような段取りを行うことで、エンジンの始動性は確実に良くなります。ちなみに、FI(フューエルインジェクション)車の場合は、燃料ポンプの固着や噴射ノズルの詰まりなど、キャブレターとはまた違った洗浄清掃が必要で、キャブレター清掃以上に大変なことが多いです。
ガソリンが半分以上残っていたガソリンタンク
公道復帰に向けて整備中のモトグッツィ「ルマンIII」のタンク内からは、腐敗劣化したガソリンが5Lほど出てきました。30年以上、ガレージ内とは言え放置されていたので、乗らなくなった段階で10Lは残っていたと思われます。

ガソリンの一部はすでに固形化していて、ドロ水のような見た目でもありました。ガソリンには環境問題の関係で、メタノールやアルコール系添加物が配合されています。その含有量は年々増えているそうです。また、それらの添加物には、水分を寄せやすい特徴もあります。
現代のガソリンは、以前のガソリンと比べて「劣化スピードも早くなっている」との意見も多く聞かれますが、そんな状況を鑑みても、しばらく乗らないバイクの場合は「ガソリンタンクは空にしておくのが良い」です。
さらにタンク内部を乾燥維持できれば最善です。ぼく(筆者:たぐちかつみ)の場合は、タンクを空にして、タンクキャップを半開けもしくは外して、ウエスを挟んだり、ウエスで栓をしたり「通気状況を保つ」ように心掛けています。湿気の量など保管環境の違いもありますが、これまでにある程度の効果は得られてきたと思います。
ピンホール周辺は先が尖った検査ハンマーで軽く叩いたことで、2カ所の穴はつながり大きな穴になりました。こうなってしまうと単純なスポットハンダだけでは補修不可能です。
そこで、真鍮ネットをバインダー代わりに補強として利用して、穴埋め板金することにしました。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。


















