“新”GS登場!! BMW Motorrad「GS」シリーズの末弟「F 450 GS」試乗 クラッチレバーあるけど操作は不要!? 新装備「ERC」の操作感とは?

BMW Motorrad新型「F 450 GS」は、排気量420ccクラスの並列2気筒エンジンを搭載するアドベンチャーモデルです。いったいどのような乗り味なのでしょうか。海外で行われた試乗会に参加した、松井勉さんのリポートです。

並列2気筒搭載の新「GS」の末弟、誕生

 2024年にプロトタイプが各地のモーターサイクルショーで話題となったBMW Motorrad「F 450 GS」。市販モデルとして準備が整い、メディア試乗会がイタリアのシシリア島で開催されました。会場には「F 450 GS」がズラリと並び、まるで「R 1300 GS」のようなスタイルに、すでに気分が上がっています。

「GS」シリーズの末弟だった単気筒エンジン搭載の「G 310 GS」の後を継ぐかたちで投入され、エンジンは排気量420ccの水冷並列2気筒DOHC。最高出力は35kW/8750rpm、最大トルクは43N.m/6750rpmを発揮。「G 310 GS」のそれと比較すると、10kWと15N.mアップしています。

 特徴的なのは並列2気筒のクランクシャフト位相角度を135度としていること。180度、360度、270度はポピュラーですが、135度は初めて体験するものです。

 270度位相からも180度位相からも45度ずらしたもので、個性的な音、振動特性の良さを狙って決めたとのこと。

 燃費はWMTCクラス3で26.3km/l(指定ガソリンはハイオク)をマーク。さすがに「G 310 GS」の28.6km/l(レギュラーガソリン)とは実質燃料代の差がありますが、日本での実走ならさらに燃費が伸びそうな予感です。

BMW Motorrad新型「F 450 GS」に試乗する筆者(松井勉)
BMW Motorrad新型「F 450 GS」に試乗する筆者(松井勉)

 フレームはフロント、リアともスチールチューブフレームでエンジン本体も剛性メンバーとして活用した設計。ホイールサイズはフロント19/リア17インチで、前後共に180mmのホイールトライベルを確保しています。

 車重は178kgで「G 310 GS」から3kgアップに留めています。最低地上高は220mmを確保し、オフロードでの走破性もしっかり持たせています。

 BMWモトラッドジャパンによれば、日本に導入されるのは3グレード。エクスクルーシブ(クラシックブラック)、スポーツ(レーシングレッド)、GSトロフィー(レーシングブルーメタリック)です。スポーツとGSトロフィーには圧側、伸び側それぞれの減衰圧調整を装備するスポーツサスペンションを装備しています。

 また、GSトロフィー仕様には遠心クラッチを用いた「イージー・ライド・クラッチ」(以下、ERC)を標準装備なのも注目。このERC仕様にはクラッチレバーも装備されています。

 ホンダの「E-Clutch」のようにクラッチレバーを操作すると機能の優先権がクラッチレバーを操作したMTモデルのようになるのとは異なり、「F 450 GS」のクラッチレバーはあくまでもウイリーやアクセルターン、ギャップを越える際にフロントホイールをホップアップするために存在するものだそうです。AT免許では運転できないものの、これは面白そう!

新型「F 450 GS」は3つのグレードを国内導入予定。左から「Exclusive」「Sport」「GS Trophy」
新型「F 450 GS」は3つのグレードを国内導入予定。左から「Exclusive」「Sport」「GS Trophy」

 ルックスは上級モデル、「R 1300 GS」を思わせるもの。ノーズのヘッドライト、ラジエターカバーのシルバーの部分は犬歯(というより牙的な精悍さ)のような存在で、流れるボディラインに印象的なアクセントを与えています。

 シートはライダー、パッセンジャー用それぞれに段差をもたせ、足つき性、居住性を上げたものです。

 燃料タンク周りとライダー用シートのエリアはスリムで、845mmのシート高をあまり意識させない足つき性の良さがあります。

 シート形状は先端パートが細身で中盤から後方はしっかりと体重を受け止めてくれる幅があります。快適さと足つきの良さもあって、取り回しでのマイナス点は見当たりません。

 エンジンを始動すると、いわゆる270度クランクの並列2気筒のようなパルス感ある排気音。少し乾いた感じなのが135度クランクの特徴なのか、マフラーの特性なのか判別がつきませんが、ヒトコトで言ってイイ音です。

 舗装路メインの試乗はレーシングレッドのスポーツに乗って出かけます。シフト操作はスムーズ。クラッチの繋がりに突発的な部分がありません。しかもアクセル操作に対しエンジンの反応は煮つめられたもの。過去に乗ったハーレーやCF-MOTOの並列2気筒と比較して、扱いやすさは斜め上を行っています。

 他機種で感じたギア比の低さに起因するドンツキ感はなく、イメージ通りに走れます。サスペンションの吸収性、ブレーキのタッチや制動力の引き出し方が上質。まるで「R 1300 GS」に乗っているみたい。

高速道路やワインディングなど、舗装路の長距離移動が得意なのは「GS」シリーズに共通する特徴
高速道路やワインディングなど、舗装路の長距離移動が得意なのは「GS」シリーズに共通する特徴

 高速道路では130km/h巡航から追い越しも難なくこなし、直進安定感も充分。想像どおりにパワーが出るエンジンと車体の組合せは安心して走れるのです。

 当日、セミウエットの路面にもかかわらず、ワインディングでも楽しむコトができました。マキシス製のタイヤもウエット路面で容易に滑ることがありません。

 鋭すぎずマイルド過ぎずない飽きのこないハンドリングとパワー特性。「F 450 GS」には舗装路パートも得意な「GSワールド」がしっかりと封入されています。

 最後にオフロードでの走りを報告します。日本の林道のように続く尾根道をGSトロフィー仕様で走りました。段差のない一体成形のラリーシート、スポークホイールなどのオプションを装備していた試乗車。シートの厚みがあり、シート高は20mm上がって865mmとなりますが、足つき感は悪くありません。厚めになったシートフォームで乗り心地はさらに上質。

 肝心の遠心クラッチは、2700rpmで繋がるようにセッティングされていて、タコメーターを見ると3000rpmあたりでグっと駆動力が強まります。

 渋滞の多い日本の市街地では少々煩わしいような気もしますが、ユーロ5+のテストサイクルにあるエンジンが冷えた状態から走り出す計測では、早期に触媒を温める必要性からファーストアイドルが高いのが最新モデルの特徴です。

 その時、1速にシフトしても車体が発進して飛び出さないようあえて少々高めでエンゲージするよう設定されています。

 それに慣れると、ERCの良さが解ります。まず発進時の緊張感が大いに緩和されます。ダート路での坂道発進も同様。アクセル操作だけに集中すればスムーズに蹴り出し、バイクを進めてくれます。

「ERC」を装備する「F 450 GS」GS Trophyでは、クラッチレバーを使わなくてもフロントを浮かせることができる
「ERC」を装備する「F 450 GS」GS Trophyでは、クラッチレバーを使わなくてもフロントを浮かせることができる

 クラッチレバーをあえて使わずとも、ライダーのボディアクションでフロントを軽く浮かせ、ギャップや水たまりの上空をフロントタイヤが通過するのも簡単。パワー特性と車体の良さ、サスペンションの減衰特性がマッチ。ふわっと浮かせられるのです。

 自信を持って走れることが解ればこちらのモノ。ペースを上げてダートでスポーツライディングを楽しみました。

「本当に180mm?」と思わせるほどサスペンションの吸収力が高く、底付きを体験することがありません。安心して楽しめます。

 結論を言えば、「F 450 GS」はこの1台であらゆる場面を楽しめるパッケージになっています。それは排気量を上げた上級シリーズへの入口でもあり、すでに大型GSに乗っている人すら楽しませる、難しいミッションをこなす実に優れたモデルだったのです。

 つまり「GS沼の入口」、見参。どうやらそういうことのようです。

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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