せっかくのツーリングで“どん底の気分”は味わいたくない!? 道幅が広くても“上り坂でUターン”は絶対に避ける!!

ツーリング中に道を間違えた時や、止まるべきポイントを通り過ぎてしまった時に余儀なくされる「Uターン」ですが、広めのパーキングなどがあれば良いものの、無ければ道路上でUターンするしかありません。そんな時、絶対に避けるべきシチュエーションがあります。

苦手なUターン、できればやりたくないけれど……

 キャリアの浅いライダーだけでなく、じつはベテランでも(秘かに)Uターンが苦手な人は少なくありません。とくにシート位置が高く、足着きに難があると、Uターンは「立ちゴケ」の危険が大きいので、やりたくないのが人情です。

 もちろんリスクを冒してまで練習したいとは思わないので、いつまでも苦手なままのライダーが多いのではないでしょうか。

 それはともかく、道を間違えたり、来た道を戻りたければ、街中ならUターンではなく、次の交差点を左折→左折→左折→右折で復帰、のような手法を取れるし、実践しているライダーも多いでしょう。

峠道でUターンしたい時は、とにかく上り坂でUターンするのは止めよう
峠道でUターンしたい時は、とにかく上り坂でUターンするのは止めよう

 しかしツーリング先にありがちな、山中の「峠の一本道」だとその手が使えません。どうしようかと思案しながらUターンしやすい広めのパーキングなどを探しながらしばらく走っても、そんな時に限ってなかなかありません……。

 そうなるといつまでも走り続けるワケにはいかないので、意を決して道路上でUターン、というパターンになります。そこで絶対に避けるべきなのが、「上り坂でのUターン」です。

愛車の最小回転半径、知ってますか?

 少し話は戻りますが、バイクは個々に「最小回転半径」が決まっています(バイクメーカーによってスペック表に表記の有無アリ)。

 たとえばカワサキの「エリミネーター」は最小回転半径3.0mですが、これは車体を直立させ、ハンドルをいっぱいに切った状態で1周回った時の半径を表しています。

バイクの最小回転半径よりも道幅が狭かったら、基本的に一発でUターンするのは無理。愛車の最小回転半径を知っていると便利
バイクの最小回転半径よりも道幅が狭かったら、基本的に一発でUターンするのは無理。愛車の最小回転半径を知っていると便利

 じつは車体を傾けると最小回転半径は少し小さくなりますが、極低速のUターン時に車体を深く傾けるのは相当スキルが高くないと無理なので、この最小回転半径がUターンできる道幅の目安になります。

 日本の場合、1車線の道幅は道路構造令で細かく定められており、ザックリ言うと、センターラインのある道路の場合は2.75m、3m、3.25m、3.5mの4種類になります(一般的な国道や高速道路は3.5mが多い)。

 そのため、もし道幅が2.75mだとしたら、「エリミネーター」だと一発でUターンするのは無理、というコトになります。

 もちろん、Uターンする前にその都度道幅を測るワケにも行きませんが、マージンを考えたら3.25mか3.5mはないと難しいと考えられます。

上り坂はキケン! 下り坂なら安心!?

 それでは話を戻して、Uターンを決意して道幅も十分と判断できた時でも「上り坂でのUターン」を避けるべき理由ですが、それはシンプルに「足が路面に届かない」からです。

 スキルが高く、足を着かずにクルリとUターンできるライダーはともかく、Uターンに自信が無くて足着きにも不安があるライダーが、Uターンの最中に足を着こうと思っても、上り坂だと内側の右足は「谷側」になるため、地面が遠くなります。

 この状態で頑張って足を着いても車体が大きく傾くため、支えきれずに立ちゴケする危険が高いのです。

上り坂だとUターン中に右足を着こうとしたときに、路面の傾斜によって足が届かず立ちゴケの危険「大」!
上り坂だとUターン中に右足を着こうとしたときに、路面の傾斜によって足が届かず立ちゴケの危険「大」!

「それなら山側の左足を着けば良いのでは?」という考え方もありますが、Uターンに対して外側になる左足を着こうとすると、車体も少し左側に傾くため(直立させると谷側に倒れそうですごく怖い)、前述した最小回転半径が大きくなります。そして思った以上に大きくなるため、道幅が十分あるにもかかわらず、一発で回り切れなくなる場合があります。

 ともあれ、なんとしても立ちゴケの危険を回避するために、上り坂でUターンするのは避けましょう。ちなみに上り坂Uターンで立ちゴケすると、バイクの上面が坂の下を向き、タイヤが坂の上を向く形になることが多いです。しかもある程度の急坂だと、タイヤが路面から浮いてしまうこともあります。もし中型以上のバイクでその状態になると、屈強な男性でも1人でバイクを起こすのは相当に困難です。

 というワケで、もし峠の一本道でUターンをするなら、下り坂で行うのがオススメです。理由は簡単、上り坂とは逆で「足が路面に届きやすい」からです。相応に道幅が広ければ、下り坂なら不安なく右足を着いて、しっかりと車体を支えることができます。

回り切れないときは「スイッチバック」

 上り坂でのUターンは避けるにしても、なかなか道幅が広い場所が無い……ということもあり、それでもUターンしたい時はあります。そんな場合は、Uターンを初めて道路の中央まで来たときに、このまま回り切れるのか、それとも曲がり切れないのかを判断しましょう。

 道路の中央で車体の向きが90度以上変わっていれば、ハンドルをフルロックに切ってそのまま態勢を崩さずにいれば、最後まで回り切れる可能性が大きいです。

 しかし、道路の中央で90度まで車体の向きが変わっていなければ、絶対に回り切れません! そんな時は無理に道路の端まで進んでしまって往生するより、迷わず「スイッチバック」するのが得策です。

回り切れないと感じたら、すぐに「スイッチバック」に移行する。つま先ツンツンでバックするより、いったんバイクから降りて押し下げたほうが安全で確実
回り切れないと感じたら、すぐに「スイッチバック」に移行する。つま先ツンツンでバックするより、いったんバイクから降りて押し下げたほうが安全で確実

 平坦もしくは下り坂で、かつ足着きに不安が無ければ跨ったままでもOKですが、ツンツンと地面を蹴ってバックするのは相応に時間がかかるし立ちゴケの危険もあるので、いったんバイクから降りて、車体の向きがしっかり変わるところまで押し下げるのがオススメです。それから跨って再スタートすれば、無理なく来た方向に戻れます。

 オマケですが、たまに反対車線に出て左回りでUターンするパターンを見かけます。これは軸足の関係で左回りの方が得意だったり、足を着くときは内側の左足を着くので、外側になる右足はリアブレーキの操作ができる、といった理由からだと思いますが、これだと車線を逆走する形になり、交通違反になる可能性がります。

 足を着かずに不安なくクルリとUターンできるのは理想ですが、これは安全な場所で何度も練習してこそ成し得る技。「そのうちできるようになる」というモノではないでしょう。

 何度も足を着いてUターンしたり、いったんバイクから降りてスイッチバックすることは決して恥ずかしいことではありません。何よりも不安なく、立ちゴケしないことを最優先でUターンして、その日のツーリングを楽しみたいものです。

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Writer: 伊藤康司

二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。

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