「あ、インディアンだ」“ディープフェンダー”で往年の姿を再現しながら動きの“軽快さ”に磨きをかけた代表格「チーフ・ヴィンテージ」の特徴とは?
排気量1890ccの空冷49度VツインOHV2バルブエンジンを搭載するインディアンモーターサイクル「Chief Vintage(チーフ・ヴィンテージ)」(2026年モデル)に試乗しました。いったいどんな乗り味なのでしょうか。
濃厚なインディアンらしさ
「あ、インディアンだ」文字にするとなんだかマヌケですが、今回の試乗でインディアンモーターサイクルの最新作となる「Chief Vintage(チーフ・ヴィンテージ)」と初めて対面した私(筆者:中村友彦)は、そんな印象を抱きました。
もっとも既存の同社のバイクに対して、インディアンらしさを感じなかったわけではありません。
とはいえ「チーフ・ヴィンテージ」を間近で見た私は、前後輪の約半分を覆うスチール製のディープフェンダー、フロントフェンダー上部に備わるヘッドドレス、サドルタイプのソロシート、専用設計のカラーリングでシリンダーヘッドカバーとプッシュロッドチューブの存在感を強調したパワーユニットなどが、自分にとってはインディアンを象徴するパーツだったのだなあ……と、実感したのです。

ちなみに、「チーフ」は大昔からインディアンを代表するモデルで、初代は1922年に登場していますが、私自身が最大の特徴と認識していたディープフェンダーの導入は1940年からです。
そして2000年代以降のインディアンは、ディープフェンダーを備えるチーフを何度か生産しているのですが、往年のスタイルの再現という意味では、今回の「チーフ・ヴィンテージ」が一番でしょう。
既存の「チーフ」と多くの部品を共有
さて、まずはルックスの話から始めてみましたが、2026年の新作としてデビューした「チーフ・ヴィンテージ」は、2021年から展開が始まった現行「チーフ」シリーズの一員で、「サンダーストローク116」と命名した排気量1890ccの空冷OHV2バルブ49度Vツインや、流麗なラインを描くスチール製ダブルクレードルフレーム、多種多様な電子デバイス、タッチパネル式のTFTディスプレイなど、基本設計の多くを既存のモデルと共有しています。

その特徴は何かと言うと、前述したサドルタイプのソロシート(現在のインディアンの中では、シート高は高めの686mm)、高くて幅広でタレ角が強めのハンドル、近年の大排気量クルーザーの基準では細身となる150/80B16のリアタイヤくらいで(他のチーフシリーズは180/65B16)、ディメンションや前後サスペンションの設定のなどは、前後16インチタイヤを採用する他の「チーフ」シリーズに準じているようです。
コスプレモデルではない?
ここまでの文章を読んでいただければわかるように、「チーフ・ヴィンテージ」はルックスを重視して開発されています。だから私は、乗り味には特に期待していなかったのですが、実際のこのモデルは、既存の「チーフ」シリーズとは似て非なるキャラクターを構築していました。

その事情を説明する前に、まずは大前提の話として、重厚な外観とは裏腹に押し引きもエンジンの吹け上がりもハンドリングも軽い、というのが近年の「チーフ」シリーズに対する私の印象です。
と言っても車重は300kg以上で軸間距離は1600mm以上ですから、一般的な2輪の基準では重厚です。しかし大排気量クルーザーと思って接すれば、体感的には意外なほど軽いのです。
そして「チーフ・ヴィンテージ」は、軽さにさらに磨きをかけていました。その最大の原因は細身のリアタイヤですが、ライダー込みの重心が高くて前方に座りやすいシートと、乗り手がきっかけを作りやすいハンドル形状も、体感的な軽さには一役買っているのでしょう。
もっとも、運動性という見方をするなら、倒立式フロントフォークやダブルディスクのフロントブレーキ、ピギーバックタイプのリアショックなどを採用する「スポーツ・チーフ」の方が確実に上です。
とはいえ今回の試乗で、私が「チーフ・ヴィンテージ」の足まわり(フロントフォークは正立式、フロントブレーキはシングルディスク、リアショックはリザーブタンク無し)に不満を感じたかと言うと、まったくそんなことはありませんでした。
既存のツーリングモデルと同じ価格
「チーフ・ヴィンテージ」の価格(消費税10%込み)は、メーカー創設125周年を記念する限定車のみが388万円で、標準モデルは338万円からです。

ちなみに標準モデルの設定は、ウインドシールドとサドルバッグ、タンデムシートを装備する「スーパー・チーフ・リミテッド」と「スーパー・チーフ・ダークホース」も同じですから、人によっては「チーフ・ヴィンテージ」の価格に違和感を抱くかもしれません。
とはいえ実際にこのモデルと対面して、1940~1950年代の雰囲気を現代の技術で再現したルックス、中でもディープフェンダーの造形美を認識したら、価格に異論を述べようという気持ちにはなれない気がします。
Writer: 中村友彦
二輪専門誌『バイカーズステーション』(1996年から2003年)に在籍し、以後はフリーランスとして活動中。年式や国籍、排気量を問わず、ありとあらゆるバイクが興味の対象で、メカいじりやレースも大好き。バイク関連で最も好きなことはツーリングで、どんなに仕事が忙しくても月に1度以上は必ず、愛車を駆ってロングランに出かけている。

























