2スト戦国時代へ ヤマハの秘策は市販レーサーと同時開発

狂乱の時代は収束へ、ヤマハの2スト魂は未だ消えず

 RZに始まり、TZRで終わったヤマハの2ストロークマシンですが、そのDNAは様々なモデルへと派生していきました。あまりに破天荒なスタイルが話題を呼んだTDR250(1988年)はある意味アドベンチャーモデルのはしりと言えますし、RZのスタイルを新しく解釈し直したR1-Z(1990年)は、今で言うところのネオクラシックにカテゴライズしても差しつかえないかもしれません。

右2本出しチャンバーが目を引いたR1-Z(1990年)

 また、排気量を少し下げても同様です。その過激さと軽さによって「峠最速」とも評されたRZ125は後にTZR125へ進化したに留まらず、そのエンジンをスケールアップすることによって、SDR(1987年)という斬新なモデルを生み出すことになりました。

 メッキが施された美しいトラスフレーム、1人乗りに割り切ったスリムなボディ、乾燥重量105kgの車体が生み出す俊敏なハンドリングなど、それらは現代でもまったく古さを感じさせず、独創性に富んだもの。

「デザインのヤマハ」、「ハンドリングのヤマハ」、「2ストロークのヤマハ」のすべてが詰まった忘れ難きマシンとして、今なお熱狂的なファンに支持されています。ビジネスとしては大きな成功を収められなかったものの、時が経つほど評価を高めることになった稀有な1台と言えるでしょう。

ヤマハ モトクロス競技車両「YZ250」(2018)

 現在、ヤマハは一部の競技用マシン(YZシリーズ)にのみ2ストロークをラインナップしていますが、これはなんとか生き長らえさせている、といった消極的な姿勢ではありません。

 パワーとトルクを両立したフレキシブルなエンジン特性、軽さを活かした一体感の高いハンドリング、ランニングコストの低さ。そういうメリットに十分な価値があるからこそ、開発を継続してくれているのです。

 かつてのRZがそうだったように、なんらかのきっかけがあれば公道用の2ストロークモデルが送り出される可能性もゼロではないでしょう。海外では、すでにいくつかのメーカーが2ストロークのインジェクション化と、それにともなう排ガスの低減を実現していますから、その復権に期待しています。

 今でも購入可能なヤマハの250cc 2ストローク車両「YZ250」の価格は、72万3600円(税込)です。YZ各シリーズは競技車両のため公道での走行は禁止されています。

【了】

提供:くるまのニュース

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Writer: 伊丹孝裕

二輪専門誌「クラブマン」編集長を務めた後にフリーランスとなり、二輪誌を中心に編集・ライター、マシンやパーツのインプレッションを伝えるライダーとして活躍。鈴鹿8耐、マン島TT、パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムといった国内外のレースにも参戦するなど、精力的に活動を続けている。

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