進化を続けるクルマやバイクの電子技術、それは自転車の世界も同じだった!?

コーナリングABSや電子制御サスペンション、トラクションコントロールなど、最新のバイク(モーターサイクル)のハイテク化には驚かされるばかりですが、じつは自転車でも電子化が進んでいます。そのいくつかを紹介しましょう。

電動変速システム

 ロードバイクやMTBをはじめとするスポーツ用自転車には多段ギアが搭載されています。こうしたスポーツ自転車の多くは「ディレイラー」と呼ばれる部品が歯数の異なるギアにチェーンを掛け替えることで変速を行います。

シマノの電動変速システム「アルテグラ R8050 DI2」

 従来はレバーを操作し、ワイヤーを引っ張ったり緩めたりすることでディレイラーを作動させていましたが、2010年ごろから、モーターとバッテリーを用い、スイッチ操作と電気信号によって変速を行う「電動変速」システムが登場しました。

 軽い操作力で正確かつ素早く変速できるため、ロードレースの世界では圧倒的なシェアを獲得。写真のシマノの「アルテグラ R8050 DI2」は電動変速システムの中では比較的リーズナブルな価格設定であることから、アスリートではない、中級サイクリストにも広く愛用されています。

加速度センサー付きライト

 自転車は、道路交通法では「車両」と定められているため、車道走行が原則です。そのため車からの視認性を高めるライト類はマストアイテム。とくにリアライトは夜間走行の安全性を確保するために欠かせないものです。

後続のクルマやバイクからの被視認性を高めることで安全性も高まる

 最新のものでは高輝度LED+USB充電式のリチウムイオンバッテリーに加えて、加速度センサーを内蔵した製品も登場しています。これは加速度センサーが減速を感知し、自動で点灯することで追突事故のリスクを減らすというもの。

 ブレーキと機械的につながっているわけではないので、バイク(モーターサイクル)のブレーキランプに比べると連動は完璧ではないものの、後ろから自転車の挙動がある程度把握できる画期的なアイテムといえると思います。

GPS付きサイクリングコンピューター

 最新のバイクではTFTディスプレイに様々な情報を集約し、ナビやインカムといったアクセサリーの操作まで可能になりましたが、自転車も負けてはいません。

GPS付き高機能サイクリングコンピューター

 ロードバイクユーザーの間で広く普及しているGPS付き高機能サイクリングコンピューターは、各種センサーと組み合わせることで速度や距離、気温、標高、勾配、ギアポジション、出力といった情報の表示が可能です。さらにスマホとの同期や走行ログ(走行軌跡)の記録、ルートナビ機能まで搭載し、サイクリングの楽しさをさらに奥深いものにしてくれます。

 ここ数年で低価格化が進み、現在ではルートナビ機能付きのものでも2万5000円ぐらいから手に入れることができます。

バーチャル空間でライドが楽しめる「ZWIFT(ズイフト)」

 屋内でもスポーツライドが楽しめたらいいですよね? じつはロードバイクの世界ではあるんです。

屋内でさまざまなシーンのライドが楽しめる「ZWIFT(ズイフト)」

「ZWIFT(ズイフト)」は3DCGの仮想空間でサイクリングを楽しめるオンラインゲームです。コントローラーではなく、モニターを見つつ、実車にまたがってプレイする点が大きな特徴です。

 速度やケイデンス(クランクの回転数)、パワーなどが計測できる「スマートトレーナー」という機器を自転車にセットすれば、プレイヤーの能力が忠実にゲーム画面へと再現されます。

 また、画面に表示されるコースに応じて脚への負荷も変動するのがこのスマートトレーナーの凄いところ。つまり、映像に登り坂が現れると実際にペダルが重くなり、下り坂だと軽くなるわけです。有名なプロ選手も参加するライドイベントやレースなどがオンライン上で定期的に開催されており、世界的な人気となっています。

※ ※ ※

 クルマやバイクなどは、それを操作する人間の能力を補う、また安全性を高めるために電子制御が発達してきましたが、自転車の世界も電子化が進み、よりきめ細かい部分でサイクリストをサポートしているようです。

【了】

自転車の世界で進む電子化、その楽しみ方とは?

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Writer: 佐藤旅宇(ライター)

オートバイ専門誌『MOTONAVI』、自転車専門誌『BICYCLE NAVI』の編集記者を経てフリーライターに。クルマ、バイク、自転車、アウトドアのメディアを中心に活動中。バイクは16歳のときに購入したヤマハRZ50(1HK)を皮切りに現在まで20台以上乗り継ぐ。自身のサイト『GoGo-GaGa!』も運営する1978年生まれ。

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