人気のクロスカントリーレース『JNCC』参加に必要なバイクや装備とは?
オフロードのモータースポーツの中で、近年盛り上がりを見せている「クロスカントリー」があります。参加のためには何が必要なのでしょうか?
もはやニッチなジャンルではなくなってきた?
オフロードバイクの市民マラソンとも言えるクロスカントリーレースの中で、最大人気を誇るイベントが『JNCC(Japan National Cross-country)』です。

そのJNCCに参加するには、どんなバイクと装備を揃えれば参加できるのでしょうか? まず肝心のバイクは、エンデューロ/クロスカントリー専用モデル、モトクロッサー、トレールバイク、ファンバイクなどに分けられます。
なかでもエンデューロ専用モデルはヤマハやホンダ、KTM、ハスクバーナ、BETA(ベータ)など、国内外のメーカーから発売されており、容量の大きな燃料タンクや、細かいギャップを吸収してくれるサスペンション、セルスターターやサイドスタンド、転倒などによる破損から車体を保護するガード類が装備されています。
とくにヤマハは、大人気モデル「YZ250FX」をはじめとする4ストロークモデルや「YZ125X」など2ストロークモデルをラインナップしており、JNCCでのシェアも圧倒的ナンバーワンです。

4ストロークエンジンはピックアップが緩やかで、多少ラフにアクセルを開けてもギクシャクせず、あらゆる路面を一定のリズムで走るのに適しています。
一方、2ストロークエンジンは軽量でレスポンスが良く、アグレッシブな走りに向いています。しかしひと昔前の2ストロークモトクロッサーのような“ピーキー”さはなく、極低回転での粘り(エンストしにくい)で、登坂などに適した性能も持っています。
JNCCでは、4ストロークエンジンと2ストロークエンジンのシェアは二分しています。
またひと昔前までは、ハードに使い込まれた古く傷んだバイクや、古いウエアを着るライダーも多く見られましたが、現在のJNCC会場には、綺麗なパーツでドレスアップされたマシンや、比較的新しいウエアを着るライダーがほとんどです。
ガード類やレバー、ペダルなど、アフターパーツに換装するライダーも多く、市場としては活気があるジャンルと言えます。

タイヤも様々なメーカーから専用品が続々リリースされています。世界的なハードエンデューロ人気を踏まえ、「iRC」から発売された「ix-09W GEKKOTA」から発した「ガミータイヤ」(柔らかいゴムを採用)ブームや、剛性も確保したオールラウンダーなタイプが人気を博しています。
タイヤの空気圧管理も大事な要素です。通常、一般道で走る適性空気圧よりもはるかに低圧で走ります。通常のコンディションで0.5kgf/cm2くらいになります。マディ(泥路面)などのコンディションでは0.1kgf/cm2(ほぼ大気圧状態!)くらいまで空気を抜いて走破することもあります。
パンク防止のため、ビードストッパー(リムとビードのずれを防止する)を、通常1個のところ、2個か3個に増設したり、標準タイプよりも分厚い「ウルトラヘビーチューブ」を使用します。
また、チューブの代わりに発泡体の「ムース」へ変更し、絶対にパンクしない装備にする手段もあります。ムースは穴を開けたり、何度も使用して柔らかくする必要があります。装着にはムース専用のレバーやタイヤチェンジャーを使用するので、初心者にはハードルが高いと言えます。

専用バイクのほか、ライダーの装備としてはモトクロス用のジャージ、パンツ、ブーツ、ヘルメット、ゴーグル(ロールオフというフィルム式が多数派)、水分補給用のハイドレーションパック、ニーガード、ブレストガードなど多岐にわたります。
必要なものは市場に数多く出回っている点からも、市民マラソンのように参加しやすく、人気がある理由かもしれません。
【了】