日本の『オート三輪』がカタチを変え、生き続ける タイ・バンコクを走る『トゥクトゥク』とは?

タイの首都、バンコクでは日本でかつて見られたオート三輪がルーツとなる「トゥクトゥク」を目にすることがあります。いったいどのような乗り物なのでしょうか。

日本のオート三輪をルーツに持つ「トゥクトゥク」

 都市圏の人口が1600万人を超え、世界有数の大都市圏を形成しているといわれるタイ王国の首都、バンコクですが、その街中を見ると時折、一風変わった乗り物を目にすることがしばしばあります。

バンコクの街中を走る『トゥクトゥク』は、どちらかというと日本の浅草などで見られる人力車のように観光タクシー的な位置づけ。街中を走るスピードは想像より速く、排気音も中々、大きめです

 ここ日本でも多くの人が「タイの乗り物」と聞かれて連想するであろう『トゥクトゥク』がまさにソレなのですが、どうやら色々と調べてみると、もともとは日本の「オート三輪」がルーツ。

 1972年に生産中止されるまでダイハツ・ミゼットが製造終了までに累計33万6534台が生産され、その約半分が東南アジア方面に輸出されたそうですが、それらが今も残り、現地の「タクシー」として活躍しているとのことです。
 
 日本では遥か昔に消え去ってしまった「オート三輪」がなぜ、タイの地で生き残り、今も街中を走り続けているのかは、まったくもって謎な現象なのですが、どうやらベースとなったのはダイハツ・ミゼットのステーションワゴン。その車両をベースに現地で改造を重ね、今の時代まで生きながらえているそうです。

 ちなみにドアを持たない外観やドライバー(ライダー)が跨って運転する操作性、ハンドルがバイクのようなバーハンドルとなっている部分などからミゼットDKモデルが原型であると考えられます。
 
 もちろん、空冷2ストロークの250ccエンジンを搭載する『DK』がそのまま生きながらえているというワケではなく、現在は同じくダイハツの軽自動車に採用されるEF型エンジンとなっており、排気量も660ccにスープアップ。バンコクの街中を見ていると「ギョッとする」くらいの速度で駆け抜ける「トゥクトゥク」を見ることが出来ます。

「トゥクトゥク」という名称の由来は?

 ちなみにこの「トゥクトゥク」という名は2ストエンジンを搭載していた時代、外国人観光客たちが、その排気音を指して呼び始めたそうなのですが、現在のソレは想像するよりも爆音。夜の街中を「ブオーン」という排気音と共に、かなりのスピードで走り去っていく乗り物を目で追うと、それが「トゥクトゥク」だったりします。

 おそらくは軽自動車用のダイハツ製SOHC3気筒エンジンに現地生産のハンドメイドマフラーなどが装着されている為、そんな「爆音仕様」になっているのでしょうが、確かに車体を見ると「バイク的なマフラー」を装着したものが多数。中にはレーシーな感じのものもあります。
 
 その「トゥクトゥク」なのですが、現地在住の人間はあまり乗ることがなく、あくまでも観光客がメインで利用するようです。

 筆者(渡辺まこと)の友人であり、バンコクホットロッドショーを主催するBomb氏に「トゥクトゥク」の料金について聞いたところ「ドライバーが計算して料金を決めるので交渉が非常に難しい」とのことで、目安はだいたい3~5kmで30~50バーツ。1バーツが日本円で3.32円(2020年4月6日現在)ということを考えると、かなり安いのですが、やはり観光客相手のぼったくりや指定した場所に行ってくれないトラブルもあるそうです。利用するには現地語が話せて、しっかり交渉出来る人と一緒の方がベターのようです。
 
 とはいえ、バンコクを訪れた際に一度は乗ってみたい乗り物が、この「トゥクトゥク」であることは間違いありません。フロントフォークを持つ車体構成やバイクのようなハンドル、そして跨って運転する部分などは、自動車というよりバイクに近く、不思議な親近感を覚えます。

 今の日本では旧い車やバイクが初度登録から13年を経過すると自動車税が115%、自動車重量税も13年を経過すると139%、18年を超えると154%に増加する重課税がありますが、個人的には旧いミゼットが基となる「トゥクトゥク」が走り続ける光景の方が、よっぽど「エコ」に感じるのが正直なところです。

「ものを大切にする」という昭和の美徳は今、日本よりタイに残り続けているのかもしれません。

【了】

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Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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