箱根駅伝のTV中継で見たBMWの電動バイク ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.80~
レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、箱根駅伝のTV中継を見てまたひとつ新年の楽しみが増えたと言います。どういうことなのでしょうか?
日本の伝統的イベント、箱根駅伝にBMWのバイクが……
新春恒例の「大学箱根駅伝」は、はもはや国民的行事と言ってもいい、昨年度の上位10大学と、予選会を勝ち進んだ10大学と、混成チームである学生連合の21チームが2日間にわたって健脚を競う。

2021年は往路を創価大学が制し、復路で逆転した駒沢大学が総合優勝に輝いた。その感動の駅伝をテレビ観戦した方も多かろうと思う。今年は沿道の応援も制限されていたこともあり、テレビ視聴率は伸びたのかもしれない。
かくいう僕(筆者:木下隆之)も、テレビにかじりついて学生の走りを見つめていた……。
とはいうものの、駅伝に携わるバイクやクルマにも目が引き寄せられた。走るのは大学陸上部の学生である。彼らが主役であることに疑いはない。だが、白バイが前のめりで警護しているのも見所だし、テレビ局の撮影バイクも気になる。選手に追走するクルマも興味の対象だ。いかにも大会関係者が乗っています的なVIPカーも気になって仕方がないのである。
そして今年の先導バイクの中には、なんとBMW Motorrad「C evolution(シー・エヴォリューション)」の姿もあったのだ。日本の伝統的イベントなのだからてっきりホンダかヤマハであろうと決め付けていたら、あろうことか欧州メーカーのBMWが大役を仰せつかっていた。「C evolution」は、ビッグスクーターではあるものの電動バイクなのである。
すでに僕もこのバイクには試乗済みである。とてつもなく速い。ベースは650ccのスクーターであり、そこにリチウムイオン電池を搭載。モーターパワーは強烈だ。航続可能距離は公式サイトによると最長160kmだという。

しかし気になったのは“電欠”しないかだった。箱根駅伝は、東京読売新聞社(東京都千代田区)をスタートして神奈川県の箱根・芦ノ湖までの往路が107.5km、復路が109.6kmの合計217.1kmで競われる。復路は下りが多いから回生ブレーキが働くが、往路は上りがある。とくに小田原中継所から20.8kmの5区は、ほとんどが上りなのである。そこで電欠したりして……などと、なかば期待していたのである。
とはいうものの、もちろん電欠するはずもない。事前にシミュレーションしているはずだし、複数台が交代で先導をするのだろう。
ともあれ、先導を終えて警察に戻り、せっせせっせと夜間電力で充電しているかもしれない姿を想像すると、なんだか笑える。
またひとつ、新年の楽しみができました。
【了】
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。