検証、電動バイクの取りまわし 内燃機関のバイクとはどう違う?
電動バイクは内燃機関のバイクとは搭載するコンポーネンツが異なります。車体の重量バランスや、とくにバイクから降りた状態で車体を動かす感覚もまた変わるのでしょうか? 5機種の電動バイクで検証してみました。
電動バイクの車体は取りまわしに影響するのか?
電動バイクは内燃機関のバイクとは搭載するコンポーネンツが異なります。車体の重量バランスや、とくにバイクから降りた状態で車体を動かす感覚もまた変わるのでしょうか? 5機種の電動バイクで検証してみました。
比較したのは複数の電動バイクブランドを扱う「XEAM(ジーム)」のラインナップから、SUPER SOCO「CUmini+」(原付1種)、SUPER SOCO「CUX」(原付1種)、niu「NQi GT」(原付2種)、SUPER SOCO「TC MAX」(軽2輪)の5モデルです。
まずは原付1種(排気量50cc以下相当)の電動スクーターです。「CUmini+」は車体重量約55kgとかなり軽量で、かつ車体もコンパクト。「CUmini+」の兄貴分である「CUX」は車体サイズが少し大きく、車体重量は76kgとなっています。
この2モデルについては、取りまわしでもその軽さを感じられました。モーターの抵抗を感じることもなく、動きを妨げることもありません。センタースタンドをかける際も楽々です。どちらも取りまわしが容易で、内燃機関の原付スクーター(排気量50cc)より楽に動かせる印象です。
原付2種(排気量125cc以下相当)の電動スクーターである「NQi GT」になると、この印象が少し変わります。車体重量は約109kgで車体サイズも「CUmini+」や「CUX」よりもひと回りほど大きくなります。
「NQi GT」ではバッテリーを2個搭載しており、1個はシート下、もう1個はフラットステップ(フロアボード)下に収納されています。筆者(伊藤英里)は身長153cm、体重40kgなのですが、ハンドルを持って動かそうとすると、ちょっと重いな、という印象です。上り坂だったら気合いが必要でしょう。とくに車体の後方に重さを感じるので、後ろの重さを引っ張って動かしていく、というイメージでしょうか。
こうした重さの感覚は、電動スクーターらしいと言えるのかもしれません。と言っても、取りまわしに四苦八苦するほどではなく、ハンドルの位置によって力を入れづらいということもありませんでした。
最後はネイキッドタイプの電動バイク「TC MAX」です。車体重量は約103.5kgと、スクータータイプの「NQi GT」よりも約5.5kgほど軽く、取りまわしは数字以上に楽ちんでした。動き出しはもちろん、取りまわし中も軽々と動く印象です。
筆者は小柄で筋力も少ないため、内燃機関のバイクの場合、取りまわしには力が必要と感じることが多いのですが、「TC MAX」は驚くほど取りまわしが容易で、重さや大きさを苦に感じることはありませんでした。バッテリーやモーターといった重いコンポーネンツが中央に集まっているため、重さを感じにくいのかもしれません。
また、試乗したときに少し広いと感じたハンドル幅も、取りまわしのときは問題なし。完全にハンドルを切っても、腕が突っ張ることもありません。バッテリーが収納されている部分の横幅がスリムになっているので、体からハンドルまでの距離があまり遠くならないというメリットもあるようです。これなら筋力に自信がないライダーでも、取りまわしの点で不安を感じることはないでしょう。
総じて、今回取りまわしを検証した電動バイクはなかなかの好印象でした。車体から降りた後の心配はしなくて済みそうです。
【了】
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。