ヤマハ「BOLT」で知る、シンプルでスポーティなボバーの神髄 走りまでデザインする完成度の高さ!!

ヤマハ「BOLT(ボルト)」は、シンプルでスポーティなボバースタイルをモチーフとしたVツインエンジンを搭載するクルーザーモデルです。走りまでデザインされた完成度の高さを試乗で実感しました。

“Less is More”を体現したクールボバー

 2013年の登場以来、しっかりと人気が定着したヤマハ「BOLT(ボルト)」ですが(デビュー時のモデル名は「XVS950CU BOLT」でした)、そのデザインモチーフになっている「Bobber(ボバー)」スタイルについて少し触れておきましょう。

ヤマハ「BOLT(ボルト)」(2019年型)に試乗する筆者(松井勉)

 アメリカのバイク創世記から存在した、軽量化でパフォーマンスアップを図る手法として存在したのがこのスタイルです。それはカスタムと言うよりレーサー作りへの道だったそうです。

 フロントフェンダーは取り外し、リアフェンダーも適当な位置で切り落とす。装着されていた装備も軽量化のため取り外し、重心を低くするために車高を落とすこともあったとか。そこから生まれたボバースタイルの語源である、当時の呼び名はボブジョブ。短くする、という意味が含まれます。シンプル、スポーティさのアイコンとして、現代のカスタムにも継承されています。

ヤマハ「BOLT(ボルト)」(2019年型)カラー:ブラックメタリック

 その目線で「BOLT」を眺めると、スポーティさやシンプルさはもちろん、ヤマハ流の美しさまでが伝わってきます。

 クロームなどで輝く加飾はなく、ダークカラーで統一。ハンドルバー、スイッチ、ミラー、エンジン、ホイールのリム、ハブなどを黒で整え、マフラーエンドやヒートプレートなど金属パーツの色調を変えてカウンターとして明るい色を使い、アクセントとする「明暗」作りが絶妙です。

 燃料タンクも容量13リットルと小ぶりにとどめ、タンク下側に溶接の「のりしろ」部分がないフランジレス工法という手間の掛かる造り方を選択。美しさと手作り感を与えています。

 細身のフレームに搭載されるエンジンは、排気量941ccの空冷V型2気筒です。最高出力を5500rpm、最大トルクは3000rpmで発揮するように仕立てた特性を与え、バイクに跨がったライダーから、シートとタンクの間に開けた空間からエンジンのヘッドがはみ出して視覚的にもその存在を主張します。この点は、もっと大きなクルーザーモデル同等だ、と言えるでしょう。

エンジンは排気量941ccの空冷V型2気筒SOHC4バルブ

 そのサウンドも歯切れの良いもので、60度取られたシリンダーのはさみ角により、90度Vツインよりもさらに音の間隔が広く、長く取られたストロークによりドコドコという鼓動も感じられるチューニングの奥に、力強さを直感するのです。

 690mmという低いシート高と、前に足を出すような位置にあるステップ、少しだけグリップが手前に引かれているものの、ワイドなハンドルバーにより造られたライディングポジションは、なるほど、ドレスダウンしたビッグクルーザーを思わせる広々としたもの。身長183cmの私(筆者:松井勉)でも、Uターンなどでは遠ざかる左グリップに腕を伸ばすのが大変。でも、低重心化された車体と持ち前の低速トルクでスルリと転回してくれる「BOLT」に不安はありません。

 車重250kgを超える車体は確かに取り回しでは力を必要とします。しかし、動きだすとソリッド感ある乗り味が全体から伝わり、扱いやすいエンジンによって次第に一体感が生まれるのです。市街地の速度域ですら楽しい走りの世界に浸ります。

 前後のブレーキは、長く低い車体構成によってリアブレーキを主体に制動を掛けると、気持ち良く後ろから引っ張られるように減速していく感じは安心感があり、そこにフロントブレーキを足すようなイメージです。安定感あるブレーキングもこのバイクの美点でしょう。

ゆったりとしたペースを保ち、コーナー立ち上がりで加速重視の走り方が楽しい!

 回転計が無くとも「BOLT」の加速は感覚主体で楽しめます。持ち前のトルクを活かし、音から伝わる低い回転のままアクセルを開けても、地面を蹴るように後輪を回す様はイメージ通り。後輪ドライブにチェーンではなくベルトドライブを使うので駆動ノイズが低く雑味はありません。

 郊外のワインディングを流すように走る時、「BOLT」の魅了は最高潮に。あまり勢いよく車体を傾けるとあっさりステップが接地するので、峠道でのペースは控えめになりますが、コーナリングスピードを抑え、きっちり速度を落としてから曲がり、そこからの立ち上がり加速重視で空冷Vツインの力を使うような乗り方にすると、これがまた楽しい! なるほど、シンプル、スポーティなボバーの真髄を知った思いです。

 高速道路では風を切り裂きながら走ることも簡単ですが、むしろ90km/h程度までに速度を抑え、エンジンがもたらす一発ごとの爆発を感じながら移動するほうが気分が良いかもしれません。自然とゆったりペースになりますが、速度=スポーツだけではない、ということを「BOLT」は教えてくれるのです。

 走りのペースまでスタイルとして完成させているあたり、出来映えはさすが、良いバイクです!

※ ※ ※

 ヤマハ「BOLT(ボルト)」(2019年型)の価格(消費税10%込み)は97万9000円です。また、スポーティなゴールドのリザーバータンク付リアサスペンションと、切削加工を施したキャストホイールを装備する上位機種「BOLT Rスペック」は102万5200円です。

【了】

【画像】ヤマハ「BOLT」(2019年型)の詳細を見る(15枚)

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Writer: 松井勉

モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

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