MotoEライダー 大久保 光のレースレポート「ワールドスーパーバイク欠場の経緯とは」
日本人初のMotoE(FIM Enel MotoE World Cup)ライダーとして、2021年シーズンを戦うことになった大久保 光 選手のレースレポート第11弾! 今回は、スーパースポーツ世界選手権(WSS)第8戦に代役参戦をした様子をレポートしてくれました。
ドクターストップによる無念の欠場
こんにちは。大久保光です。私は現在、再びアンドラで生活をしています。
9月上旬ではありますが、やはり山の中にある国なので、朝晩は肌寒く、日中も日差しがなければ長袖が欲しくなるような気候です。
2021年も残り3か月ちょっととなりましたが、レースはまだまだ続きます。しっかりと気を引き締めて行きたいといいたいところですが、実は怪我をしてしまいリハビリができるところに通っている状況です。

今回は、再び代役参戦することになったスーパースポーツ世界選手権、フランスラウンドについて書きたいと思っていたのですが、金曜日のフリープラクティスで他車と接触し、転倒してしまったことで右足を負傷。そのまま、今回のレースはドクターストップとなってしまったため、欠場を余儀なくされました。
このような報告になってしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいですが、まずはしっかりと体を治していきたいと思います。
さて、今回はそんな訳で、レースウィークで転倒をしてしまった後、どのような処置が世界選手権ではおこなわれ、ドクターストップとなったのかという経緯や、レースウィーク後の診察、リハビリ等の流れをお伝えします。
まず、走行中に転倒した際は、その付近で待機をしているオフィシャルが、ライダーに大丈夫か大丈夫ではないかを確認してくれます。
私の場合は、右足に大きなダメージを負っていたため、立つことができませんでしたが意識はあったため、その場でオフシャルに対して自分で動けないことを伝えました。
その後、タンカーや救急車をすぐに手配してもらい、そのままタンカーで運ばれて救急車に乗せてもらい、サーキット内にある医務室に運ばれます。
医務室にはキチンと医師が待機しており、その場で診察がスタート。右足が痛くて立てないということを伝えると、骨折の疑いがあるとして、その場でレントゲンを撮りました。
幸い、骨折箇所はなかったものの筋肉へのダメージが大きく、その日の残りの走行はドクターストップ(UNFIT)となりましたが、病院に行くという判断にはならず、そのまま様子を見ることとなりました。

次の日の朝、予選前に再び医務室で診断を受けましたが、やはり筋肉へのダメージが大きく、一晩経っても歩行が困難だったこともあり、医師による診断の結果、レースに出場させることができないとの判断となり、そのまま欠場が決定します。
ここでUNFITという判断を受けると、後日しっかりとした医療機関で精密検査を受けなければならず、そこで改めて病院での医師の診察がないかぎり、次のレースに参戦することができなくなります。
私の場合は、そのままアンドラに帰る予定だったので、アンドラにある病院を紹介してもらい、後日診察を受けにいきました。
アンドラの病院ではMRIを使って足を改めて診察してもらい、骨に異常がないこと、そして後遺症が残るような怪我ではないという内容の、診断書を書いてもらうことができました。

これで、次戦のレースウィークの金曜日のフリー走行前となる木曜日に、改めて出走できるかどうかのメディカルチェックをサーキット内の医務室で受け、出走許可がもらえればレースに参戦することができます。
ちなみに、後日受けた診察の診察費は自己負担となりますが、FIMライセンスを取得する際には、レースに適応した傷害保険に加入することが義務付けられており、今回の診察費は保険でカバーしてもらえるようです。
また、スーパーバイク世界選手権のパドックでは、クリニカモビルというリハビリやマッサージを受けることができるトレーラーが常に用意されています。そして、アンドラにはその本部があるため、医師の指示のもと、そのままアンドラにあるクリニカモビルに行き、リハビリを現在進行形で受ける形となりました。
今ではだいぶ足の調子も良くなり、次戦のMotoE最終戦までにはしっかりと治すことができそうです。

一昔前までは、その辺りの判断が緩く、少しの怪我等なら走ることができましたが、近年はそれが問題となり、厳しくなっています。
これは、ライダーの後の人生を守る為にも、とても大事なことだと個人的には思います。
やはりライダーの気持ちとしては、少しぐらいの怪我や痛みなら、レースに参戦したいものです。しかし、それで他のライダーを巻き込んだ重大な事故を引き起こしてしまったり、今後の人生に影響するような後遺症を残す怪我を負ってしまう可能性も十分に考えられるため、このような判断を、第三者からしてもらえることは、有り難いと感じました。
今回は、少しレースとは脱線した話となってしまいましたが、次戦に向けてしっかりと体を治すので、引き続き応援よろしくお願いします!
【了】





