ホンダ「モンキー125」は快適なロングツアラーだった! 結局1000km走って解ったこと
新エンジンを搭載して2019年に発売されたホンダ「モンキー125」は従来型からどのような進化を遂げたのでしょうか。結局1000km走って解ったこととは。
小さいからこそ壮大な旅に、ようやくファイナル
ホンダ「モンキー125」でガッツリ走ってみたらどう感じるのか。普通にツーリングしたらどこまでカタログ燃費値に近づけるのか。寒波が覆う関東地方、千葉県をぐるりと巡りながら検証を開始したのはいいものの、なかなか燃費データの安定性が出ません。走った距離を給油したガソリンの量で割る「満タン法」計測だからです。

取扱説明書にある、燃料タンク内のレベルプレートより上に入れないで下さい、という基準面がありますが、そこまで給油したガソリンの油面が、その前に給油した時と全く同じとは言えない。問題はそこでした。
そもそも燃費性能に優れた「モンキー125」は、ちょっと走っただけではガソリンが減りません。今まで100km程度走行しては給油する「継ぎ足し」でレベルプレートまでの補給を満タンとしていましたが、その「満タン自己基準」に安定感がありません。
そこで、トリセツとレベルプレートには目をつむってもらい、燃料キャップを閉じても溢れない程度までを満タンとした解釈で、満タン給油から1日走り、継ぎ足しせずの一発勝負をすることにしました。
「モンキー125」の燃料タンク容量は5.6リットルです。リザーブ容量は1.8リットルとのことなので、3.2リットル以上は走る計算になります。
再び「モンキー125」と、晴天なれど気温の低い路上へ走り出しました。じつはすでに、最南端である野島崎、道路上からもっとも近い最西端である館山市洲崎には、最北端の関宿町、最東端の君ヶ浜を巡った日と同じ給油方法で走ってきました。計測の結果は同様に不安定なもの……。
そこまで確実に解れば答えはひとつ。イッパツ計測でフル満タンでいくしかありません。

今回は房総半島の太平洋側、九十九里を目指し、海岸線沿いに南下。鴨川市から県道34号で東京湾、浦賀水道側の鋸南町保田へと移動。そこから対岸の神奈川県横須賀市へ渡る東京湾フェリーの金谷港乗り場へと向かい、フェリーでワープ、久里浜港から都内に戻るというルートを設定しました。
結局、これで「モンキー125」とは3度目の遠出となります。5速ミッションが持つ加速のつながりの良さ、上り坂でシフトダウンした時の回り過ぎないエンジン回転、ほどよい力が取り出せる「ちょうど良さ感」も相まって、小柄な車体に似合わず「モンキー125」は快適なロングツアラーなのです。それには1日中走っていてもお尻が痛くならないシートの良さ、サスペンションの性能の良さもあると思います。

九十九里の砂浜沿いの駐車場で、風に運ばれた砂を砂漠に見立て記念撮影。そして勝浦担々麺のカンバンに誘われながらも、その先の行程を考えると止まる選択肢はありません。途中、灯台に寄り道し、遠望できる太平洋を眺め、「モンキー125」は走り続けます。
房総半島を東西に横断する鴨川市から鋸南町保田までは、アップダウンが続く区間をたくましく走るエンジンのお陰で、余裕でクルマの流れについて行けます。しかし低い山しかないハズの房総半島ながら、内陸に入ると途端に寒い。再びキラキラした海が現れます。保田海岸周辺に着いたら、金谷港はすぐそこです。
海沿いの国道を進むと、ちょうど埠頭にフェリーが着岸しているではないですか。乗船パーキングに「モンキー125」を滑り込ませると、係の方が「乗船希望されますか? チケットすぐに買って下さい。あと3分で出航です」と。「はい、買います、乗ります」と慌てて125ccクラスの乗船券を購入。車両デッキに最後に滑り込む幸運を得たのです。
金谷港乗り場から横須賀市の久里浜港までは約40分の船旅ですが、すでに200km近くのライディングで冷え切った体に、船内はまさに天国です。お風呂に浸かっているような暖かさ。「あー、このまま家までお願い」と思ったのが偽らざる気持ちです。

ウインタージャケットの中に船内の暖かさを蓄え、いざ三浦半島を北上開始。3回に分けたとはいえ、房総半島の東西南北、道路で近づけるそれぞれの端っこ(極点)を巡る旅は想像以上に壮大でした。いつものようにどっぷり日が暮れて寒さが増す中、横浜、川崎、そして東京へと戻ります。
しかし、問題は安定感のなかった満タン法での燃費計測に答えが出るのか、です。都内に戻りガソリンスタンドへ。その結果は次の通りです。
■給油5(4回目までは継ぎ足し給油で計測してきたがアテにならず)
走行距離:260.2km
給油量:3.76リットル
燃費:69.2km/l
正直、10cc単位の誤差はあったでしょう。しかし、「モンキー125」が持つ燃費性能、60km/h定地燃費値(1名乗車時)の70.5km/l、WMTCモード値クラス1の70.0km/lに迫ることができました。流れに合わせたペースで走り、エコランはしていません。

実走燃費計測は、走り方で大きく変わるのが当たり前。ひとつのサンプルですが、1000kmに及ぶ真冬の実証実験に付き合ってくれた「モンキー125」、ありがとう、アナタは良いバイクです!
Writer: 松井勉
モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。