海外メーカーのクルマもバイクも、やはり本国仕様にこだわりたい ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.186~
レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、バイクはクルマと違って海外メーカーでもほぼ本国仕様で乗れるから羨ましいと言います。どういうことなのでしょうか?
バイクには海外メーカーのクルマのような左右の概念が無い
僕(筆者:木下隆之)はクルマの「左ハンドル」がステイタスの象徴だった時代が懐かしく思います。かつて輸入店は本国の仕様をそのまま日本に持ち込んでいたこともあり、必然的に、日本と同様に左側通行のイギリス等を例外とするならば、「外車=左ハンドル」が浸透していたのです。ステイタスの源はそこにあります。

しかし最近は、日本の交通環境を配慮して輸入車とて右ハンドル仕様が増えました。GMを例外とするならば、ほとんどの輸入車が右ハンドルになってしまいました。もはや「左ハンドル神話」は消えたに等しいのです。
日本にとって「右が良いのか、左が良いのか」の議論はのちに譲りますが、僕はやはり本来の姿、つまり本国仕様にこだわりたいところです。
料金所や駐車場でチケットを引き抜く場合には、確かに右ハンドルの方が都合が良いです。とは言うものの、左から右へハンドルを移し変えることは簡単ではありません。ペダルのレイアウトは世界共通なので足元の空間に違和感が残り、左右の重量配分も異なり、インパネなどの操作系も不自然になります。
その点で、バイクには左右の概念は無いようで、乗車はまたがるものなので着座点に右だの左だの概念も無く、輸入された海外メーカーのバイクも本国仕様との違いはほとんどありません。
駆動方式(チェーンかドライブシャフト)の違いにもよるものの、マフラーは多くが右側に配置され、ハンドル周辺ではクルマのようにウインカースイッチが右か左かの違いもありません。
決定的なのはサイドスタンドです。古今東西、決まってサイドスタンドは車体の左側です。世界共通なのです。

そこで思い出されるのは、普通自動二輪の運転免許を取得する際の教習所での教えです。ギアをニュートラルからロー(1速)へ、シフトペダルを左足で操作する際には右足を地面に下ろし、バイクを支えます。
教官には「車道側へ足を下ろすことになるので、背後から来るかもしれないクルマに対して必ず後方確認してください」と教わります。
右足をわずかに交通量の多い右側に張り出すことが危険との解釈なのです。右足で支えると言っても、ほんのわずかですが、後方確認をしなければ厳しく叱られます。
しかしそれで言うならば、右側通行の国々では交通量の激しい側にバイクを傾けて停めることになります。バイクに跨るのもバイクから降りるのも、より危険なような気がするのです。
日本のような左側通行の国では車体を左側に傾けるサイドスタンドは安全ですが、右側通行の国では車体の右側にサイドスタンドをつける必要があるのではないか……と、難癖をつけているような気がしますが、教官の指導が厳しくあればあるほど、そんな風に考えてしまいました。
ともあれ、輸入バイクは日本でも本国仕様をそのまま跨ることができます。ハーレー・ダビッドソンもBMWモトラッドも、本国そのままの仕様を走らせることができるのは幸せなことです。
Writer: 木下隆之
1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。






