【現地】2023年「マン島TTレース」いよいよ走行開始 予選初日の様子

現存する世界最古のバイクレースとして知られる「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」が、2023年5月29日~6月10日の日程で始まりました。予選初日の模様をお伝えします。

TTレース予選初日、おおむね順調に終える

 現存する世界最古のバイクレースとして知られる「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」(以下、TTレース)が、2023年5月29日に始まりました。当初設定された10時40分スタートからやや遅れて、11時05分に最初の走行が始まり、おおむね順調に初日のセッションが終わりました。

パドックで走行を待つマシンやライダーたち。奥の白い仮設テントは有力チームのためのもので、それ以外は写真のように屋根のない場所で待機する。このため、ガソリンが温まりすぎないよう傘をさしたりしている(写真/小林ゆき)
パドックで走行を待つマシンやライダーたち。奥の白い仮設テントは有力チームのためのもので、それ以外は写真のように屋根のない場所で待機する。このため、ガソリンが温まりすぎないよう傘をさしたりしている(写真/小林ゆき)

 初日のスケジュールは、プラクティス(タイム計測をしない練習走行)とクオリファイ(予選)の順で開始されました。

 今年はTTレース改革の一環として日程の流れが変更となっており、初めてTTウィークが月曜日始まりとなり、しかもこの日はマン島島民の休日でもあります。「アフタヌーン・プラクティス」として昼からの走行時間が設定されました。

 これまで、プラクティスは学校や仕事に影響がない午後6時からのイブニング・プラクティスが設定されていましたが、初日はできるだけコンディションの良い時間帯に走行させたいという狙いがあると思われます。

走行前のパドック。にこやかに談笑し、記念写真を撮る姿も。オレンジ色のベストはニューカマー(初参戦)に義務づけられている装備(写真/小林ゆき)
走行前のパドック。にこやかに談笑し、記念写真を撮る姿も。オレンジ色のベストはニューカマー(初参戦)に義務づけられている装備(写真/小林ゆき)

 マン島では、この時期の日没時刻は夜の10時前後なので、イブニング・プラクティスの時間帯も十分明るいのですが、夕方から気温がぐっと下がり、路面温度が下がること(昼間の気温は18度程度、夜に向かって10度程度に下がる)、西日がきつく、日なたと日陰の明度の差が大きいこと、そして何らかの事情で走行中断になった場合に時間変更がしにくいこともあり、アフタヌーン・プラクティスから実施されることになりました。

 走行に先立って、ニューカマー(初参戦)のライダーとサイドカーチームの先導走行が実施されました。

 これは、普段はレコードライン(レースでタイムを出すためのアウト・イン・アウトの走行ライン)を走ることが難しい公道ならではの措置で、「ミルキー」のあだ名で知られる地元在住のベテラン元ライダーで現在はライダー・リエゾン(ライダーと主催者の調整役)担当のリチャード・クェールさんや、トラベリング・マーシャル(地元在住の元TTライダーで構成される、バイクで走りながらコースの安全をチェックするオフィシャル)たちの先導で走行が始まりました。

予選初日に全ての2輪クラスでトップタイムを刻んだマイケル・ダンロップ選手。クオリファイは2クラスずつ混走で行なわれる。TTレースは複数クラスにエントリーする選手がほとんどなため、走行途中で乗り換える必要がある。1日の走行で数周しかできないため、セッティング変更などのためにも、より多く走りたいという気迫が感じ取れる(写真/小林ゆき)
予選初日に全ての2輪クラスでトップタイムを刻んだマイケル・ダンロップ選手。クオリファイは2クラスずつ混走で行なわれる。TTレースは複数クラスにエントリーする選手がほとんどなため、走行途中で乗り換える必要がある。1日の走行で数周しかできないため、セッティング変更などのためにも、より多く走りたいという気迫が感じ取れる(写真/小林ゆき)

 初日、絶好調だったのがマイケル・ダンロップ選手です。

 ダンロップ選手は故ロバート・ダンロップ選手の息子で、マン島TTレース最多勝利の故ジョイ・ダンロップ選手の甥でもあります。ゼッケンは今年も彼のアイコンになっている「6」番。走行前は常に先頭を陣取り、ピットに戻ってきてカテゴリー違いのバイクに乗り換えるときは全力で走ってすぐにコースインするなど、気迫を感じさせる走りを見せました。その結果、スーパーツイン、スーパースポーツ、スーパーストック、スーパーバイク全てのカテゴリーでトップタイムを刻み初日を終えました。

ライダー・リエゾン(ライダーと主催者との調整役)担当の「ミルキー」ことリチャード・クェールさん。地元マン島在住の元TTライダーで、今年は新しいデザインのツナギで先導走行に登場した(写真/小林ゆき)
ライダー・リエゾン(ライダーと主催者との調整役)担当の「ミルキー」ことリチャード・クェールさん。地元マン島在住の元TTライダーで、今年は新しいデザインのツナギで先導走行に登場した(写真/小林ゆき)

 サイドカークラスは、昨年2レースともに表彰台に上がったピーター・ファウンズ/ジェバン・ウォムズリー組がトップタイムを刻みました。

 現役最多勝利中で「チーム無限」の「神電」に乗っていたことでも知られるジョン・マクギネス選手は、スーパーバイククラスで4番手のタイムを刻むなどまずまずのスタートでした。51歳のマクギネス選手がどのようにTTに挑むのかも注目です。

 また、日本から唯一の参戦となる山中正之選手は残念ながらローレルバンクで転倒を喫しましたが、マシン・身体ともにさほどダメージはないとのことでした。

 TTレースはこのあと6月2日、金曜日まで予選が続きます。

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Writer: 小林ゆき(モーターサイクルジャーナリスト)

モーターサイクルジャーナリスト・ライダーとして、メディアへの出演や寄稿など精力的に活動中。バイクで日本一周、海外ツーリング経験も豊富。二輪専門誌「クラブマン」元編集部員。レースはライダーのほか、鈴鹿8耐ではチーム監督として参戦経験も。世界最古の公道バイクレース・マン島TTレースへは1996年から通い続けている。

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