【現地】2023年「マン島TTレース」 本番までにどれだけ走れるか!? 予選2日目の様子
現存する世界最古のバイクレースとして知られる「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」が、2023年5月29日~6月10日の日程で始まりました。予選2日日の模様をお伝えします。
1周約60kmのTTマウンテンコース、どれだけ周回できるのか!?
2023年5月29日に開幕した現存する世界最古のバイクレースとして知られる「マン島TTレース(Isle of Man TT Races)」(以下、TTレース)、雲ひとつない好天に恵まれた5月30日の火曜日に、クオリファイ(予選)2日目が現地時刻18時20分から行なわれました。

最初のセッションは「スーパーバイク」と「スーパーストック」(4ストローク4気筒1000ccがメイン)、続いて「スーパースポーツ」(4ストローク4気筒600ccがメイン)と「スーパーツイン」(4ストローク2気筒650ccがメイン)、最後に「サイドカー」(4ストローク4気筒600ccがメイン)が行なわれる予定でした。
しかし、エンジントラブルを起こしたマシンからオイル漏れが発生し、バリガローからカークマイケルまで約2kmの広範囲にわたり路上にオイルが流出したため、スーパースポーツとスーパーツインのセッションは中止。この影響で、この2クラスのみに参戦している日本人ライダー・山中正之選手は走行することが叶いませんでした。
TTレースのレギュレーションでは、TT経験ライダーは予選終了日までに5周(サイドカーは3周)、各カテゴリーそれぞれ2周以上を完走することとなっています。
TTマウンテンコースは1周約60kmで17分から20分かかるので、1日の予選で走れる周回数は2周から3周です。山中選手は予選1日目で転倒を喫しているので、完走周回数はまだ1周となっています。このあと、水・木・金の3日間でどれだけ周回を重ねられるかも注目です。

路上のオイル処理を施し、サイドカーのセッションは20時10分からの予定より少し遅れて20時25分にスタートしました。このため、2周できたチームはほんの数チームとなり、こちらも予選通過条件の周回数に影響が出る可能性があるため、5月31日に改めてスーパーストックとスーパーツインも含めて予選のスケジュールを見直すとの発表がありました。
予選2日目の結果は、スーパーバイククラスは昨年の覇者ピーター・ヒックマン選手(BMW M 1000 RR)が平均時速132.079マイル(211.326km/h)で最速ラップとなりました。
スーパーストッククラスは1日目に引き続き、マイケル・ダンロップ選手(Honda CBR1000RR-R Fireblade)が平均時速131.843マイル(210.949km/h)のトップタイムを記録。
サイドカークラスは世界王者でもある兄弟チーム、ベン&トム・バーチャル選手チーム(Honda LCR)が平均時速118.316マイル(189.306km/h)記録してこの日最速となりました。

ところで、TTレースにおける予選は、実際にはさほどレースの行方に影響がありません。
一般的なレース専用サーキットのレースは、マス・スタート(一斉スタート)方式なので、予選で決まるスタートグリッドの位置が重要です。これに対して、TTレースは1台ずつ10秒ごとにスタートするタイムトライアル方式であり、また、ひとつのレースの所要時間は1時間以上かかるためセミ耐久レース的であり、グリッドの位置はそれほど重要ではありません。
加えて、レギュレーションによってトップライダーに対する指定ゼッケン20番まで(サイドカーは10番まで)は予選の結果に関わらず、ゼッケン順のスタートとなります。これは、タイムトライアル方式だと着順がわかりにくいので、観戦客に対してよりわかりやすくする措置です(例:ゼッケン1番と2番が同時にゴールした場合、2番が10秒あとにスタートしているので2番の方が早い)。

21番以降は予選順のスタートとなりますが、これはライダーによるタイム差や、レース後半で差が大きくなるTTレースなので、できるだけ混戦を避けるための安全上のレギュレーションです。
このため、予選は通過条件の周回数を重ねる目的もさることながら、1周60kmのコースに慣れ、セッティングを出していくという貴重な「プラクティス(練習走行)」の場でもあるのです。
予選3日目は5月31日、水曜日の18時20分(日本時間:午前2時20分)から始まります。
Writer: 小林ゆき(モーターサイクルジャーナリスト)
モーターサイクルジャーナリスト・ライダーとして、メディアへの出演や寄稿など精力的に活動中。バイクで日本一周、海外ツーリング経験も豊富。二輪専門誌「クラブマン」元編集部員。レースはライダーのほか、鈴鹿8耐ではチーム監督として参戦経験も。世界最古の公道バイクレース・マン島TTレースへは1996年から通い続けている。








