古いバイクにあったけど今のバイクにはない装備!今、なぜ無くなったのか?
バイクの装備には、時代の変化によって新しく採用されるものもあれば、逆に消えていく装備もあります。では、後者はなぜ消えてしまったのでしょうか。
ヘッドライトのオフ機能にリザーブ…懐かしいワードがずらり
バイクの装備は年々進歩し、ABSやオートクルーズ、スマホとの連携機能など時代と共にさまざまな機能が登場しています。一方で、需要の変化や制度の変更によって無くなっていった装備もあります。
昔のバイクにはあったのに、今のバイクにはついていない……長年バイクに乗ってきたライダーにはいくつか思い当たる装備があるかもしれません。時代の移り変わりの中で、どのような装備が無くなっていったのでしょうか。

まず代表的な例として、ヘッドライトをオフにするスイッチが挙げられます。現在国内で生産されているバイクには、ヘッドライトをオフにする機能がなく、ロービーム(すれ違い用前照灯)とハイビーム(前照灯)を切り替えるスイッチがあるのみです。
これは、1998年4月1日の道路運送車両法の改正により、これ以降に生産されるバイクは、構造的に常時点灯するように義務づけられたためです。
車体が小さいバイクはクルマと比べて視認されにくく、遠くにいるように見えやすいという特徴があります。バイクの常時点灯が義務化された20世紀末はバイク事故が多く、事故の発生件数、死亡者数の減少を目的として昼間でも前照灯の点灯が定められました。

また、昔のバイクについていた燃料タンクの「リザーブ機能」も、現在販売されているバイクのほとんどについていません。そもそもリザーブ機能がどういうものか知らないという人もいるのではないでしょうか。
リザーブ機能は、reserve=予備、蓄えという言葉の通り、ガス欠した場合でも予備のガソリンを使ってある程度の距離を走行できる機能です。燃料供給にキャブレターを使用していた古いバイクには燃料コックがあり、一般的なタイプはオン、オフ、リザーブの3種類の設定がありました。通常、走行する時はオンの位置に設定し、万が一ガス欠してしまったらリザーブに切り替えます。
コックがオンの時は、タンク内のガソリンを使い切れない仕組みになっています。タンクに繋がっている管の位置が高く、底に近い部分のガソリンをエンジンに送ることができません。リザーブに設定した時は、タンクの底に近い部分のガソリンを吸えるよう、より低い位置の管からガソリンを流す仕組みになっています。
このような機能が導入されていた背景には、昔のバイクにはあまり燃料計がついていないという事情がありました。クルマと比べ、バイクのタンク内の形状は複雑で、残量を表示するには高度な技術が必要でした。そのため燃料計をつけるよりリザーブ機能を備え、ガス欠したら予備のガソリンでスタンドまで走れる仕組みにしたのです。
最近のバイクは燃料供給方式がフューエル・インジェクションであり、燃料コックがありません。また、技術の発達により燃料計も装備されており、リザーブ機能は姿を消してしまいました。

その他、現在では原付以外のバイクで見られない装備として、速度警告灯が挙げられます。現在、原付に採用されているものは30キロを超えると点灯するようになっていますが、かつて中型以上のバイクに採用されていたものは、時速80km/hを超えると点灯するようになっていました。また、それに合わせてメーターの80km/h以上の目盛りも赤く表示されていたようです。
では、なぜこのような装備が存在していたのでしょうか。その背景には、高速道路の速度制限があります。
2000年10月に規制が緩和されるまで、高速道路におけるバイクの速度制限は80km/hでした。クルマが100km/hで走れる区域をバイクが同じ速度で走ったらスピード違反の取り締まりの対象になってしまうという制度で、ライダーの不満は大きかったようです。
そんな制限に合わせて装備された速度警告灯ですが、車体のデザインとのミスマッチもあってか、規制緩和の議論が進むと共にやがて目にしなくなるようになりました。
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このように、時代が変わるにつれてさまざまな変化が生まれ、それに合わせて不要になる装備、機能は姿を消していきました。古いバイクを持っている人は、自分のバイクについている装備が最新のバイクにもあるのか、確認してみると面白いかもしれません。