電動バイクがぶっちぎり……か!? ついにホンダが実戦で示した「CR ELECTRIC PROTO」の可能性

いよいよ日曜日のヒート1、電気モーター対ガソリンエンジンの決勝レースが始まります。スタートはウィルソン選手がホールショットを奪い、すぐにカナード選手が後ろにつけます。2人は2秒ほどの差をキープしつつ周回を重ね、3位以下を大きく引き離します。この時点ですでに「CRエレクトリックプロト」の性能が、エンジン車に匹敵することは誰の目にも明らかでした。
ウィルソン選手はカナード選手との間合いを計り、その差をキープします。しかしエンジン音がしないので、後方の様子が掴み難い、と後に語っていました。
一方、カナード選手は難しい路面コンディションにも慣れ、終盤の勝負に向けてウィルソン選手の隙を探していました。しかしラスト2周あたりから様子が変わります。「CRエレクトリックプロト」のインジケーターがバッテリー残量が少ないことを示したため、カナード選手は完走を重視し、ペースを落として2位でゴールします。ヒート1は「YZ450F」を駆るウィルソン選手が優勝しました。

ヒート2は「CRエレクトリックプロト」が鮮やかにホールショットを決めて、カナード選手がトップを走ります。ウィルソン選手は若干出遅れましたが猛スピードで順位を上げます。そして2周目に入った大きなジャンプでカナード選手に追いつき、そのまま次のコーナーでインに入り、一気に抜こうと轍に入ってスピード上げました。
しかしその轍は、カナード選手が入った轍とその先で合流しています。速すぎたウィルソン選手の「YZ450F」はカナード選手を避け切れず接触。2人とも倒れてしまいます。
ウィルソン選手が先に再スタートしますが、その際にカナード選手の右手首に掛けられているセーフティ・キルスイッチを後輪に巻きつけてちぎってしまったため、キルスッチが外れた「CRエレクトリックプロト」とカナード選手は再スタートする事ができず、リタイアとなりました。
ヒート2は星野優位選手(ヤマハ)が優勝し、開幕から続いていたウィルソン選手の連勝記録も19で途切れる事になりました。

ヒート3では再びカナード選手がホールショットを決めます。ギアチェンジがなく加速が途切れない電動マシンの特徴が生かされた好スタートを連発します。しかしトップを走るカナード選手は2周目にスリップして前輪を取られ単独転倒。その影響で前輪が回らなくなり、またしてもリタイアとなりました。レースはウィルソン選手が優勝し、ガソリン車に軍配が上がる事になりました。
ウィルソン選手はカナード選手と「CRエレクトリックプロト」について、次のように語っています。
「スタートでのトルクのある途切れない加速は手強く、パワーは自分のYZ450Fと同レベルだと感じました。ただしその先の伸びはあまり感じません。またジャンプなどで前後のウエイトバランスを保つことが難しいように見えました。自分達は走っている時に常にエンジン振動を感じていますが、そこから得られるバイクのインフォメーションもあります。想像ですが、カナード選手のバイクにはそれが無いのも難しさのひとつなのではないでしょうか?」

「CRエレクトリックプロト」で実際にレースを走ったカナード選手は、次のように語っています。
「開発チームが一生懸命頑張ってくれたので、最後まで走れずに終わってしまうのは本当に残念でしたが、それでも今日は素晴らしいパフォーマンスだったと思います。このバイクは非常に強力で信頼できる、そのことに興奮しており、開発をさらに進めるという私たちの目標についても考えています。 観客やファンの人達がそれを見ることができるのは素晴らしいことで、本当に良い機会でした。
電動バイクではバッテリーの消費量などすべてに異なるプロセスがあります。土曜(予選)のコースはとても濡れていて非常に難しい。ラインはアメリカとは大きく異なっていましたが、私もチームも上手く適応できたと思います。
頑張ってくれたみんなにもっと良い成績を残したかったと思っていますが、CRエレクトリックプロトをレースに向けて準備するという目標の一部は達成できたと思うので、嬉しくもあります。
私たちが参戦した理由は、レースの中でしか経験できないことを学ぶためでした。そのためこの24時間で多くのことを学びました。このレースでの学びは今後私たちが向かう方向性を得る非常に良い機会になると思います。
私はとても楽しかったです。それが皆さんに知ってもらいたいことのひとつです。電動バイクに乗ることがどれだけ楽しいか、ということです。人々が電動バイクに乗る機会が増えると思います。 私はそれに興奮しています」
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「CRエレクトリックプロト」の参戦は、レースの中で学ぶという目的でしたが、その性能は初戦にも関わらずエンジン車に匹敵するもので、筆者はその大活躍に胸を熱くしました。
今後、様々な場面で「CRエレクトリックプロト」のパフォーマンスを目にする機会があるでしょうが、可能なら来年の全日本モトクロス選手権にシリーズ参戦して欲しいものです。
Writer: 柴田直行
カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員
















