正念場の高速道路「二輪定率割引」議論 国交省道路局・松本参事官が語る 来年の通行料金割引
なぜ、同じ観光振興目的なのに、バイクだけに距離制限があるのか?
――バイクの割引制度は、いまだにバイクがどのぐらい走っていて、どういう状況になってる実態がわからないままに議論がなされています。この指摘をどう考えますか。
「データに基づいて利用実態を調べて、割引を適用しながら、いろんな議論をしていくことは、私もすごく重要な話だと思います。実施状況のデータを取って、よく分析をしていきたいと思います。
二輪車が全体としてどのくらい利用いただいているのか、なかなか把握しにくいところがありますが、データに基づいていろいろな議論をさせていただくことはおっしゃる通りだと」
――そこで、お尋ねしたいのが、現在のバイク定率割引に存在する「距離」、「曜日」、「事前登録」という制限です。改めて、なぜ必要なのでしょうか。
「2022年から定率割引を導入しているわけですが、より広域的な観光振興を想定して、100キロという要件を導入しています。(曜日の制限については)平日より土日祝日に、より広域的に観光していただくという傾向があると聞いております」
――登録をしなければならない理由は何でしょうか。
「通常とは違う料金をお支払いいただくことになるので、事前に登録をいただき、そこをしっかり分けて、料金の精算をしていく。また、初年度から調査をやっていますが、どういう動機でお使いになられたのですか? など、利用車の声を走行後にちょっとアンケート的なことを回収させていただく観点から導入しています」

――100キロ以上という距離制限の話をもう一度したいのですが、ツーリングは高速道路移動するだけでは終わりません。「往復200キロ」+「一般道」を走破することを割引で課しているという話になると、日帰りでは体力的に持たない。ツーリングプランとは違う観光を振興することになるのでしょうか。
「実際、高速道路使って土日祝日に観光に出かけているというのは事実かと思います。100キロというのは先ほど申し上げましたが、より広域の観光で効果を出したいという政策的な流れを示しています。通勤など日常の移動距離を考えると、それよりさらに超えてという意味合いを持つと思います。
ただ、東京から沼津を超えないと割引対象とならない。その手前のところはどうなのか? みたいな話をいただいているので、そうした声はしっかり踏まえて来年度を考えたいと思います」
――一方で、大型車を除く四輪車も対象となる「土・日・祝日割引」があります。この割引もバイクの定率割引と同じ「観光需要を喚起し、地域活性化を図るため」です。片方は100キロ以上という制限があり、片方には無い。観光振興というのであれば、バイクだけ、より遠くにという話ではなく、四輪車も含めて、100キロ制限をかけたほうが、観光振興に役立ったのではないですか。
「そうですね。二輪車のこの定率割引の件についてはご要望いただいてるとこもありますので、扱いは検討していきたいと思います」
単に利用車を増やすという視点で、割引制度を語ることはできない?
――今後、道路の保守や自動運転などいろんな形で高速道路の支出は増えていくことが見込まれますが、モータリゼーションの時のように爆発的に利用車が増える可能性は低い。何らかの形で利用車を増やす努力が必要です。バイク業界が後押ししている割引制度は、利用車を増やす好事例として、国交省や高速道路会社もベクトルを合わせるべきではないですか。
「二輪車を利用しやすい環境を整備することは重要です。業界の皆様による高速道路の利用促進に向けた取り組みについては敬意を持っており、引き続き一緒に取り組みたいと考えています。
高速道路を運営する上で収入はすごく重要な視点になりますが、一方で公共の財産としての役割、例えば地域経済にとっての重要なインフラとしての側面や、物流や産業、観光を支える側面も総合的に考えていかないといけない。公共の財産としての役割とバランスをとる必要があります」
――高速道路には旅客だけではなく、物流がある分だけ複雑だということですね。
「そうですね。やっぱりいろんなことは考えていかなければならない。単に収入だけではないと思いますが、いろいろな声、要望を頂いているところなので、しっかり考えていきます」
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2024年のバイクの割引はどう変わるのか。その議論に、業界と利用者は注目しています。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。



