スズキ新型「GSX-S1000GX」の相手は世界。スズキが出したクロスオーバーへの解答
各種モード切り替えでその違いを実感
その「GSX-S1000GX」に乗ってみると、「GSX-S」シリーズはじめ「GSX-R」に搭載されてから磨き続けられているエンジンユニットが高いツーリング適性を持つこと、同時にパワーとトルクで加速の悦び、優れたシャーシにより優れた旋回性の楽しさなどが充分に備わっていることがすぐに解ります。「ああ、やっぱり4気筒っていい」と、何度もヘルメットの中でつぶやきます。

サスペンションのソフトモードを選択した時、道路がまるで舗装したての滑らか路面になったかのような乗り心地の快適さ。タイヤが発するノイズで接地面のザラつきが想像できますが、その接地感はあるのに魔法の絨毯の如き浮遊感なのです。
ミディアムでは普通のサスペンションのようでありながら適度に動き、引き締める部分はダンピングで抑えるような制御で、これまた上質なサスペンションを味わえます。
ハードにシフトすれば車体反応が鋭くなり、乗り心地は相対的に硬くなります。運動性はその分上がる、という解りやすいもの。
高速道路を巡航中、時折、延びたリアサスペンションが戻る時にやや硬く感じる場面がありましたが、気になったのはそんな点ぐらい。結果的にアダプティブダンピングコントロールというハード、ミディアム、ソフト、のデフォルト3つに加え、調整可能なユーザーモードがあることは大きな武器なのです。
また、プリロードも自動調整してくれるオート、デフォルト設定で1人、1人プラス荷物、2人と、合計4つのモードが選択出来ることも大きなポイントでしょう。オートを選択すれば自動で車体姿勢も整えてくれます。
いずれにしても、わからなくなったら減衰もプリロードもすぐにデフォルトにボタンひとつで戻れる機能があるから、その点も安心なのです。
「GSX-S」シリーズのどのモデルもそうであるように、コーナリングが得意でありつつ、しっかりと大らかさも併せ持つような、オトナな走りをするのです。

じつは今回、装備を触って体験するのに忙しく、300kmほど走ってもその全てを味わい尽くすことは出来なかったかも知れません。
そのなかで見つかった数少ない気になるポイントは2つ。フロントブレーキのマスターシリンダーの操作感がもう少し上質になれば嬉しいな、という点です。好みのレバー位置にセットすると無効ストロークがやや気になる、というものです。
そして多くのライバルが採用するハンズフリーキーが欲しい、という点です。手動でのウインドスクリーン調整、ハンズフリーキーはコストの兼ね合いで採用しなかったそうですが、他所が採用しているものが全部揃って価格が安い、はお値打ちですが、200万円寸止めの価格からすれば期待は高まります。
ウインドスクリーン(取り付け位置の変更で高さ変更は可能)は快適性が高いのでまだしも、装備で勝負というプレミアムゾーンに向けたグランドクロスオーバーというセグメントだけに、今後の進化にも期待したいバイクです。
いや、それほどすでに素晴らしい乗り味だからこそ、のお願いなのです。
Writer: 松井勉
モーターサイクル関係の取材、 執筆、プロモーション映像などを中心に活動を行なう。海外のオフロードレースへの参戦や、新型車の試乗による記事、取材リポートを多数経験。バイクの楽しさを 日々伝え続けている。

















