【MotoE第5戦オランダ大会】レース1は、転倒とペナルティ続出の展開に
2024年シーズンの電動バイクレース『FIM Enel MotoE World Championship』の第5戦オランダ大会が、6月28日から29日にかけて、TT・サーキット・アッセンで行なわれました。
波乱に満ちたレース展開に
電動バイクレース『FIM Enel MotoE World Championship』(以下、MotoE)第5戦オランダ大会のレース1は、波乱のレースとなりました。転倒のほか、ペナルティを科されるライダーが続出したのです。

MotoEは、毎戦2レースが行なわれます。土曜日の昼にレース1が、MotoGPクラスのスプリントレースが終わった後の夕方に、レース2というスケジュールです。
レース1がどのように「波乱」だったのか、まとめてみましょう。
まず、転倒を喫したのは合計5名のライダーです。1周目で交錯したアンドレア・マントヴァーニ選手とマッテア・カサデイ選手。最終ラップで交錯したエリック・グラナド選手とケビン・ザンノーニ選手。そして、ニコラス・スピネッリ選手が6周目に単独で転倒を喫しています。MotoEは全18名のライダーがエントリーしているので、約3分の1のライダーが転倒したことになります。
さらに、今回はそのクラッシュによって、マントヴァーニ選手とグラナド選手がペナルティを受けました。マントヴァーニ選手はレース2でのダブル・ロングラップ・ペナルティ、グラナド選手はレース2でのロングラップ・ペナルティです。(※ロングラップ・ペナルティ:レース中、コースに設定された特定のエリアを通過しなければならない。通常のコースよりも大回りとなるため、ペナルティを消化するとラップタイムは数秒ロスとなる。「ダブル」は、それを2回行なわなければならない)
さらに、2位表彰台を獲得したアレッサンドロ・ザッコーネ選手は、タイヤの空気圧が、ミシュランが推奨した範囲を下回っていたため、失格となりました。
このレース1で転倒や接触が多かった理由として、優勝したエクトル・ガルソ選手は「僕はフロントタイヤとかなり格闘していたんだけど、たぶんそれで多くのライダーが転倒したんじゃないかな」と語っており、ガルソ選手はフロントタイヤのマネージメントの難しさがあったと考えています。

こうしたレース展開で、オスカル・グティエレス選手の表彰台は印象的なものでした。今季、MotoEにフル参戦を開始したグティエレス選手は、レース1では3番手でゴールし、ザッコーネ選手の失格によって2位を獲得。レース2でも2位を獲得しました。どちらも4列目11番手という後方から追い上げ、ポジションを上げてポディウムを獲得したのです。
電動バイクレースで争われるMotoEは、内燃エンジンのバイクのレースとは異なる走り方、そして非常に短いレース周回数(今回のオランダ大会は7周で行なわれました)で争われます。参戦1年目のMotoEルーキーは苦戦することが多いのですが、グティエレス選手は今季の序盤からオランダ大会までに、すでに1勝を含む6度の表彰台を獲得しています。
グティエレス選手はレース1後のパルクフェルメのインタビューで、こう答えています。
「昨日はちょっと難しい日だったので、今日ここにいられて嬉しいよ。でも、トップ争いができるペースがあるのはわかっていたんだ。1コーナーはちょっとしたカオスでクレイジーだったけど、うまく切り抜けたと思う」
なお、レース1で2番手でゴールしながらも失格になったザッコーネ選手は、レース2で見事に優勝を飾り、オランダ大会での速さを結果に結びつけました。レース2は2位がグティエレス選手、3位はガルソ選手が獲得しています。
MotoE第6戦ドイツ大会は、MotoGP第9戦ドイツGPに併催で、7月5日から6日にかけてザクセンリンクで行なわれます。
■FIM Enel MotoE World Championshipとは
2019年にスタートした電動バイクによるチャンピオンシップ。2019年から2022年まではWorld Cup(ワールドカップ)として開催されていたが、2023年よりWorld Championship(世界選手権)となった。MotoGPのヨーロッパ開催グランプリのうち数戦に併催され、各土曜日に2レース開催で全8戦16レースが行なわれる。バイクはドゥカティ「V21L」のワンメイクで、タイヤはミシュラン。9チーム18名のライダーが参戦している。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。





