カワサキ「Z2」マフラーから白煙の原因を排気ポートから診断! 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.6
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキZ1/Z2シリーズです。バイク仲間の友人が、長年所有し続けてきた1975年式750RSを購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画になります。4ストエンジンなのに「マフラーから白煙を吹く」現実を見たことがありませんか? 白煙問題は大問題!! ですが、エンジンを分解しなくても「外側からある程度の原因を知る方法」があるのを、ご存じですか?
磨き込まれたバイクには、特有の美しさがあります
旧車を購入したときなどに、最初にやっておきたいと思う作業のひとつに、バイクの洗車や部品の磨き込みがあります。磨き込み作業を行う時には、パーツ表面の汚れをサクッと拭き取り、ワックス掛けするだけの作業ではなく、手軽に分解可能なパーツは、できる限り単体部品に分解してから磨き込むことで、その仕上がりには大きな違いが出るものです。ガソリンタンクもそのひとつ。車載状態で磨くのと、タンク単品にしてから磨くのでは、気が付くポイントも異なります。

バイク好き、特に、バイクいじり好きやカスタム好きの中には「あいつは“磨き魔”だよね!!」と呼ばれているバイク仲間がきっといるはずです。本人からすれば、バイクは常に磨いて「輝いているのが当たり前」と考えているのですが、現実問題、徹底的に磨き込まれたバイクと、普通にきれいなバイクを比較すると、明らかな違いを随所に見て取ることができます。そんなバイク仲間、身近にいませんか!?
分解した部品をしっかり磨き込んでから組み立てることで、単純に磨いた部品とは明らかに違った輝きになります。行き過ぎ、やり過ぎた磨き込みには、価値観としての違いが出てしまうものですが、単純な磨き込みでも、全体的な磨き込みと、単品部品にしてからの磨き込みでは、相当な違いが出るものです。
高速道路のサービスエリアなどで「キレイですね!! 大切に乗ってますね~」なんて声を掛けられると嬉しいものですよね。徹底した磨き込みによって、愛車の輝きは間違いなく増すものですから、そんな意味でも、磨きの基本は「パーツの分解から」とも考えることができます。

エンジン分解せずに目視外観から知ることもできる内部コンディション
分解洗浄と、磨き込みを行っておきたい筆頭部品が「マフラー」だと思います。そんな輝いていてこそ美しいマフラーを取り外すような際には「排気ポート内のコンディション」を、ついでに目視点検しておくのが良いと思います。

実走行5万キロ以上とか、なかには10万キロ以上も走り込んでいる空冷Zがあると思いますが、そんな車両の中には、マフラーから白煙を吹き出している例もあります。初代空冷シリーズに限ったことではなく、すべての4スト旧車に共通したことです。
なかには、煙が目に見えなかったとしても、走り去った直後にオイルが焼けたような臭いがするケースもあると思います。空吹かししたときも同様です。そんな状況に気が付いていたらバイクからマフラーを取り外したときには「排気ポート内を点検」してみると、気が付くことがあります。白煙が吹いていたエンジンなら、排気ポート内部がエンジンオイルでベトベトに湿っていることに気が付くこともあるでしょう。

カワサキZ1/Z2シリーズのノーマル車なら、ホンダの「CB750Kシリーズ」(OHC4気筒エンジンシリーズ)とは異なり、エンジンを車載搭載した状態で、シリンダーヘッドやシリンダー周りの「腰上メンテナンス」が可能です。車載状態でピストン交換できるエンジン設計が、カワサキ空冷Zシリーズに共通した大きな特徴でもあります。
オイルあがりやオイルさがりも白煙吹きの原因になります。オイルあがりとは、ピストンリングの摩耗や、特に、オイルリングの張力不足が原因で、白煙を吹き出すケースを過去に何度も見てきました。また、ピストンスカート部分の摩耗によるシリンダークリアランスの過大も、白煙吹きの原因になります。
対してオイルさがりとは、吸排気バルブのステムシャフト部分やバルブガイドの摩耗によって発生したガタ部分から、エンジンオイルが燃焼室に流れ込んでしまう症状です。単純に、ステムシールと呼ばれるオイルシールリップの摩耗が原因で、白煙を吹くこともあります。マスツーリングのときなどは、後方を走るライダー仲間に迷惑(オイル臭く目がチクチクするなどなど)をかけてしまうこともありますので、白煙が噴き出すような症状に至ってしまった時には、原因を特定し、対策メンテナンスを早めに施したいものです。
20240725__z2_05_taguchi_10.jpg,カワサキZ1/Z2の排気バルブ周辺部品。吸入バルブ周りの摩耗で、マフラーから白煙が出る症状を「オイルさがり」と呼びます。オイルさがり=ステムシールの摩耗が、原因のことが多いです
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。









