カワサキ「Z2」に搭載された4ストエンジンの大動脈「油圧測定」してみた 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.13
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキZ1/Z2シリーズです。バイク仲間の友人が、長年所有し続けてきた1975年式750RSを購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画になります。4ストエンジンだからこそ、油圧コンディションは気になるものです。初代カワサキ空冷Zシリーズは、オイルポンプトラブルが少ないことでも知られていますが、測定できる機会があるときには「油圧測定」によって現状把握してみましょう。
オイルプレッシャーゲージで実測した油圧コンディション
4ストロークエンジンにとって、仮にエンジンオイルが血液ならば、オイルポンプは、まさに「心臓」と呼べるパーツになります。そのように表現されることが多いオイルポンプは、極めて重要なパーツです。だからといって、無意味な分解メンテナンスは必要ありません。

特に、初代カワサキ空冷4気筒エンジンは、油圧コントロールをしっかり行いエンジン開発が進められたようです。その証拠に、よっぽどの間違いが無い限り(エンジンオイルに不純物を混入させてしまうなどなど)、オイルポンプが故障すると言ったトラブルは聴くことがありません。それでも心配な時や現状コンディションを知りたい時には、まずは特殊工具の「オイルプレッシャーゲージ」で吐出圧力を点検してみるのが良いです。

ここでは、現状コンディションを知りたかったので、オイルプレッシャーデータを測定しました。カワサキの初代空冷Zシリーズは、クランクシャフトに「組み立て式」を採用しています。クランクジャーナルの軸受けやコンロッドのビッグエンドを支持するクランクピン部には、ローラーベアリングが組み込まれています。
現代のエンジンのように、高い油圧が必要不可欠なプレーンメタル式の軸受けではありません。プレーンメタルを採用したクランクシャフトの場合は、高い吐出圧力と吐出量を維持しないと、クランクのジャーナルメタルやコンロッドメタルにオイルが行き届かなくなってしまい、焼き付きなどのトラブルに及んでしまう可能性もあります。

カワサキ純正=メーカー発行のサービスマニュアルによるプレッシャーデータは、3000rpmで0.2kg/cm2が標準値のようです。
今回の実測では、3000rpmで0.25kg/cm2だったので、ほぼ許容範囲と言えます。仮に、著しくプレッシャーが低かったり、あるいは高かったりする時には、オイルポンプの分解点検やオイル通路汚れによる詰まりなども想定し、クリーニングが必要になります。この750RS/Z2に関しては、特に、問題無い数値データを得られました。これでひと安心です!!
このオイルギャラリープラグへ取り付けるカスタムパーツにもオイルプレッシャーゲージがありましたが、転倒や立ちゴケ時にゲージが折れてしまい、エンジン始動するとエンジンオイルが吹き出してしまうシーンに何度か遭遇したことがありました。エンジンにとっては一大事なので、カスタムパーツの取り付け時には、十分な注意が必要です。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。






