カワサキ「Z2」基本コンディションの良し悪しはあるけどまずは調整ありき 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.14
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキZ1/Z2シリーズです。バイク仲間の友人が、長年所有し続けてきた1975年式750RSを購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画になります。4気筒エンジンの好調不調を大きく左右するパーツのひとつにキャブレターがあります。特に、旧車のキャブレターには不調なものが多く、その不調原因も多岐に渡るのが、現実的なお話しです。ここでは、カワサキ750RS/Z2-A後期モデルの4連バキューム調整を実践してみました。
単純洗浄だけでも効果的なキャブ性能の維持
旧車モデルのエンジンコンディションを大きく左右するのがキャブレターです。特に、4気筒モデルともなると、メンテナンスが複雑な上に、経年変化や劣化、また、長年に渡る連続的な使用によって、各作動摺動部が磨耗し、本来のコンディションをキープできていない例が数多くあります。

一見では、コンディション良さそうに見えるキャブレターでも、実は、各作動摺動部が擦り減って、もはやスカスカ状態になっていて、エンジン始動後の調整作業時に、思うようにコンディションが定まらず、苦労してしまう例が多くあります。
そんな現実の裏付けとも言えるのが「スペシャルキャブレターの普及率の高さ」とも言えます。
例えば、ノーマル然としたレストア車には、丸筒バルブのケーヒンCRスペシャルをチョイス。パフォーマンス系を目指したカスタムマシンには、ケーヒンFCRやミクニTMRを装着する例が多く見られます。仮に、純正キャブレターが補修部品として通常購入できる状況なら「迷わず純正新品キャブを装着したい!!」と語る旧車ファンも、実はここ数年で数多くなっています。まさに純正回帰、ノーマル回帰の時代なのです。

絶版旧車に強いコンストラクターやショップからは、純正キャブを対象にしたオーバーホールキットやガスケットセット、さらには燃調キットなども販売されています。しかし、そのようなパーツを使ってオーバーホールしても、キャブ本体の主要パーツ、例えば、スロットルバルブやキャブボディそのものが磨耗している状態では、本来の性能を取り戻すことができないのが現実と言えます。
「針金」でおおまかな4連バランスを決めよう
だからこそ、好調な純正キャブを装着しているマシンオーナーならば、今後のことや将来のことを見据えたメンテナンスを実践しておくべきだと思います。単なる汚れ落としのような単純作業でも、それが長い目で見たときには、効果的なケースも多々あるのがキャブレターのメンテナンスです。エアクリーナーエレメントの清掃や交換も、キャブコンディションの将来を占う重要な項目のひとつでもあります。
今回、4連バキューム調整作業で気が付いたのは、やはりこのシリーズのキャブにも個体的なクセがあることでした。気筒間バランスの調整時には、そのクセをつかむまでに苦労の繰り返しでした。
そもそも、大きな狂いが無かったのは良かったです。しかしながら、僅かな違い=ズレを、ビシッと一律調整するのは、想像以上に難しかったのがこの750RS/Z2-A後期モデルの4連キャブでした。
仮に、ゲージ接続時に大きく狂っていれば、バキューム調整前にキャブレターを取り外して、4つのスロットルバルブの「閉じ位置」を確実に目視確認してから、微調整=バキューム調整に入らなくてはいけません。大きく狂っているのに、微調整ではどうにも補正できません。

ちなみに、スロットルバルブを目視確認する際に便利なのが「針金」です。メインベンチュリ(キャブボディ本体のメイン通路)に対して、スロットルバルブの開き具合を確認する際に、隙間寸法を測定するのは難題でもあります。
そんなときに、針金をベンチュリ通路の底とスロットルバルブエッジ間に差し込めば、相対比較で隙間の寸法を4気筒共にほぼ同一に調整することができます。
2連キャブ以上なら、バタフライバルブ仕様も含めて、この「針金作戦」は、すべてのモデルに有効です。マルチキャブの「バランス調整時のはじめの一歩」として、覚えておくのが良いと思います。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。

















