ヤマハの自動変速機構「Y-AMT」搭載車に注目が集まるが…… 「MT-09」の最上級モデル「SP」は何が凄い?
自動変速機構「Y-AMT」をヤマハとして初搭載したことで話題となった「MT-09」ですが、先駆けて販売されていたシリーズで最もハイエンドな「SP」の実力はどれほどのものなのでしょうか。モーターサイクルジャーナリストの伊丹孝裕さんがその実力を検証します。
「MT-09」の最上位モデル
クラッチレバーとシフトペダルを廃したヤマハの新型ロードスポーツ「MT-09 Y-AMT」に話題が集まっているところですが、ひと足先にリリースが始まっていた兄弟モデル「MT-09 SP」にも乗りました。

以前お届けしたMT-09 Y-AMTの試乗記では、ハンドシフトの操作性や、それがもたらすライディングの変化に注力し、それ以外はばっさり排除。基本的なことを何ひとつ報告しておりませんでした。
MT-09 SP(以下、SP)は、シリーズの最上位グレードです。ベースになったスタンダードモデル「MT-09」は、2024年3月にモデルチェンジを受け、デザインを一新。この時、ライディングポジションが見直されたり、メーターが新しくなったり、電子デバイスの充実が図られたり……と大小様々な改良が施されています。

では、スタンダードモデルとSPの違いはなにか。その差は主に足まわりにあり、フロントにKYBの倒立フォークとブレンボのモノブロックキャリパー、リアサスペンションにはオーリンズのモノショックを装備。また、スマートキーの採用、スイングアームのバフ仕上げとクリア塗装、電子デバイスのメニュー追加といったアップデートを受けています。SPは走りのパフォーマンスを引き上げたスポーツ仕様と言ってよく、今回そのハンドリングをサーキットで体感することができました。

以前のモデルと比較してすぐにわかるのは、よりナチュラルになったライディングポジションです。ハンドルは低くなり、ステップは後退したとはいえ、前傾を強いられるようなものではなく、スポーツライディングにちょうどいい感じ。
コーナーの進入で車体をクイックにバンクさせたり、スロットルを開けながら旋回するような場面でもフロントのバタつきは抑えられ、タイヤの接地感をしっかり感じながらコーナリングを楽しむことができます。

この特性自体はスタンダードモデルでも同様ですが、サスペンションやブレーキに強く入力した時の余力は、あきらかにSPに分があります。剛性感と言い換えてもよく、特にブレーキを軽く引きずりながら倒し込んでいくようなコーナーでは、フロントフォークがひとまわり太くなったように感じられるほど、頼もしい手応えが伝わってきます。
これによって、狙ったラインをトレースしやすく、コーナリング中のスタビリティも向上。それらの効果が合わさって、さらにペースが上がっていく……という流れの中で、スポーツライディングの醍醐味を堪能できるはずです。

コーナーの立ち上がりでは、フルアジャスタブルになったオーリンズのリアショックと、より開けやすくなったリンク特性がトラクションをアシスト。これ以上あるとかなり乗り手を選ぶことになる、120PSの最高出力をきっちりと路面に注ぐことができます。
だからといって、その出力を野放しにしているわけでもありません。パワーモード、トラクションコントロール、スライドコントロール、リフトコントロール、ブレーキコントロールといった従来の電子制御に加え、エンジンブレーキマネージメント(エンブレの強弱を調整)とバックスリップレギュレータ(エンブレによる挙動の乱れを抑制)が、車体の安定性に貢献。逆に、自分の意志で振り回したいライダー向けには、リアのABSをオフにできる機能もあるなど、これまで以上に高い自由度が確保されているのです。



























