カワサキ「Z2」走行僅かでも「排気バルブガイド」にはガタが発生!! 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.26
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキZ1/Z2シリーズです。内燃機加工は、Z1Eエンジン化に向けたて必須項目になります。ここでは、ガンコートペイントの実践前に、あらかじめ内燃機加工依頼していた、エンジン腰上部品の内燃機加工メニューをリポートします。
ガンコートペイント前に施しておいた内燃機加工
筆者の所有するカワサキ「Z2」に搭載されたエンジンは、Z1E仕様+αのパワーアップを目論見、完全分解しました。
実は、バラバラに分解したもうひとつの理由は「薄汚いエンジンのリペイント」でした。ブラックペイントが剥がれ、場所によっては腐食でパリパリ割れて、白い粉が発生……。特に、エンジンナンバーの打刻周辺は腐食が酷く、肉眼で「Z2E-」以降の打刻数字が読みとりにくい状況となっていました。

そこで、完全分解したエンジン部品にはDIYでサンドブラスト処理を施し、ペイント前の下地作りを実施してから、内燃機加工を依頼しました。このブラスト処理に関しては、地肌が汚れずに済むので、内燃機加工後に実施した方が良いケースもあります。
しかし、アルミ地肌を輝かせるガラスビーズ仕上げの時でも、ペイント仕上げの時でも、いずれの場合でも、アルミナメディアによるサンドブラスト処理=下処理を施した後に、内燃機加工を依頼するようにしています。ある程度まで下仕上げしておくことで、後々の本仕上げが、圧倒的に楽になるのがその理由になります。

また、ペイント剥がれや汚れを落とすことで、汚れていたときには気が付かなかったような、何らかのトラブル要素を見つけることもできます。
特に、燃焼室などは、カーボンやオイルスラッジが付着した状態では、クラックなどなど、細部のトラブルを発見しにくいことが多いです。ひとそれぞれで考え方は異なると思いますが、ぼくの場合は、仕上げ前の段取り状況まで進めてから、内燃機加工を依頼します。そして、加工終了後に表面仕上げ(ペイントなりガラスビーズショットなり)を行うようにしています。
内燃機加工の世界も日進月歩
内燃機加工はiB井上ボーリングさんへ依頼しました。シリンダーヘッドは、吸排気バルブガイドの入れ換えとシートカットになります。吸排気バルブは再利用しますので、バルブシートと当たるバルブフェースの研磨加工をお願いしました。

シリンダーに関しては、Z1E用の純正スリーブ(中古部品を購入しました)を圧入し直すために、シリンダーバレル(ブロック)をボーリング拡大し、その後に、スリーブの圧入とφ69mmピストンに合わせたボーリング&プラトーホーニングを依頼しました。
さらにシリンダーの仕上げとして、シリンダーヘッドガスケット面の平面研磨も依頼しました。この内燃機加工メニューは、エンジン腰上オーバーホール時の「定番メニュー」と呼べる内容です。

現在はアルミメッキスリーブでシリンダーを仕上げるICBMが圧倒的に普及しています。カワサキ初代空冷4気筒エンジンのオーナーさんは、機械遺産のオーナーでもあり、圧倒的なモダナイズが可能になるICBMで加工依頼する方が増えています。
アルミスリーブに、ニッケル・シリコン・カーバイトの特殊めっきを施したのがICBMシリンダーは、圧倒的な熱伝導性と放熱性を誇り、摺動抵抗の低減によって、ピストンリングの摩耗も抑制されます。
技術名称こそ異なりますが、各バイクメーカー、自動車メーカーが最新のエンジンに施しているメッキシリンダー技術を、旧車エンジンにも採用することができるのがiB井上ボーリングてす。
外観的な見た目が同じでも、現代のエンジン技術を内部へ採用することで、エンジン性能の向上と寿命向上に大きく貢献するのがICBM技術になります。愛車を長く走らせたと考える方にはうってつけのメニューといえるでしょう。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。








