いままで勘違いしていたかも? バイクのバッテリーの電圧は12ボルトじゃない!?

バイクのセルモーターを回したり、ライトやウインカーを点灯するために必要な「バッテリー」は、昔から電圧は12V(ボルト)と言われてきましたが、じつはちょっと違います。そしてその「ちょっと」が、結構重要なのです。

バッテリーの種類で、電圧は異なる

 近年のほとんどのバイクのバッテリーは「12V(ボルト)」と言われています。……が、じつはこの「12V」は、バイクの電装部品(セルモーターやヘッドライトなど)を稼働するために必要な電圧のことで、バッテリーの電圧自体は12Vではありません。ちなみに昔の原付スクーターや古いオフロード車は6V電装ですが、こちらもバッテリーの電圧が6Vということではありません。

セルスターター(セルモーター)を装備する市販バイクのバッテリーは、12V(ボルト)……ではない
セルスターター(セルモーター)を装備する市販バイクのバッテリーは、12V(ボルト)……ではない

 多くのバイクが装備するバッテリーは、正しくは「鉛バッテリー」と呼びます。1990年代頃まではバッテリー液の量のチェックや補充が必要な「開放型バッテリー」が主流で、それ以降はバッテリー液の補充の必要が無い「密閉型バッテリー」に切り替わってきました。

 ちなみに、密閉型バッテリーは「メンテナンス不要」という意味で「MFバッテリー(メンテナンスフリー・バッテリー)」とも呼ばれています。

 どちらのタイプも、鉛で作られた電極版と希硫酸(バッテリー液)の化学反応によって電気を充電・放電するため「鉛バッテリー」になります。

 そして12Vの鉛バッテリーの中身は6個のセルに分かれており、1セルが約2.1Vで直列に繋がれています。そのため、正常に充電された状態のバッテリーの電圧は約12.6Vになります(6V電装の昔の原付スクーターやオフロード車の鉛バッテリーは2.1V×3セル=6.3V)。

 また、近年は一部のスーパースポーツ系のバイクが標準装備したり、アフターパーツで販売される「リチウムバッテリー」も登場しています。じつはリチウムバッテリーにも種類があり、バイク用だと「リチウムイオン・フェライトバッテリー」になります。

 これは鉛バッテリーと構造が異なり、鉄材の電極とリン酸の化学反応で充電・放電を行ないます。さらに1セルの電圧が約3.3Vで、直列に4個繋いでいるので、バッテリー電圧は約13.2Vになります。

バイク側の充電電圧が12Vだと、バッテリーは充電しない!?

 このように、バイクのバッテリーの電圧は古くからの鉛バッテリーも最新のリチウムバッテリーも、どちらも12Vではありません。とはいえ「それって誤差みたいなものでは?」と感じるかもしれません。しかし、この「12Vとの差」が結構重要なのです。

エンジンに備えたACジェネレーターが交流の電気を発電し、レギュレータレクチファイアが直流に整流して電圧を13~15V(車両によって異なる)に整える。経年劣化で充電電圧が下ったり、過剰に電圧が高くなることもある
エンジンに備えたACジェネレーターが交流の電気を発電し、レギュレータレクチファイアが直流に整流して電圧を13~15V(車両によって異なる)に整える。経年劣化で充電電圧が下ったり、過剰に電圧が高くなることもある

 多くの市販バイクはエンジンにACジェネレーター(交流発電機)を備え、エンジンがかかっていると発電します。そしてレギュレータレクチファイアという部品で直流の電気に整流し、かつ充電電圧を13~15Vくらいに整えてバッテリーに充電します。

 電気は「水」と似ており、高い方から低い方に流れます(水の場合は標高、電気の場合は電圧)。そのため、バイク側が発生する充電電圧がバッテリーの電圧より高ければ充電できますが、バッテリーの電圧より低いと正しく充電することができないのです。

 ちなみに近年のバイクだと、充電電圧はアイドリングでも14V前後あるので、鉛バッテリーでもリチウムバッテリーでも問題なく充電できます。

 ただしACジェネレーターやレギュレータレクチファイア、およびそれらの電気配線などに不調があると、充電電圧が12Vを下回っていることも少なくありません。というより、生産から相応に年数を経たバイクは、経年劣化によって充電電圧が低くなっているケースが多々あります(過剰に電圧が高い場合もアリ)。

充電電圧をチェックしてみよう!

 バッテリーは消耗部品なので、いずれ寿命を迎えます。そこで新品バッテリーに交換したのに、セルモーターの回り方が弱かったり、バッテリー上がりを起こすと「このバッテリー、不良品だ!」と思うかもしれませんが、まずはバイク側の充電電圧が正常か確認しましょう。

 簡易的なポケットテスターでOKなので、まずはエンジンをかけない状態でバッテリー端子にテスターを繋ぎ(赤を+端子、黒を-端子。ショートに注意)、13V前後ならバッテリー自体は基本的に正常です。

 次にエンジンをかけて、アイドリングで14V前後なら充電系統も正常です。

近年のバイクの充電電圧は、14V前後が正常値
近年のバイクの充電電圧は、14V前後が正常値

 エンジンをかけた状態で13Vを下回っていたら、リチウムバッテリーは正常に充電しない可能性が高く、12Vを下回っていたら鉛バッテリーでも充電不良を起こし、この状態で走り続けると、いずれバッテリーが上がってしまいます。

 というワケで、「バッテリーは12V」という先入観を持っていると、トラブルの原因を見逃したり見誤ってしまうかもしれません。繰り返しになりますが、鉛バッテリーは約12.6V、リチウムイオン・フェライトバッテリーは約13.2Vというコトをお忘れなく。

 ちなみに、充電電圧がおおむね18Vを超えると、過充電によって鉛バッテリーは水素ガスを発生し、燃えたり爆発する危険があり、リチウムバッテリーも発熱して破損します。

 充電不良の疑いがある時だけでなく、バッテリー交換前には充電電圧をチェックすることをオススメします。もちろん、メンテナンスや整備が苦手な人や、テスターを用意できない場合は無理をせず、バイクショップなどプロにチェックを依頼しましょう。

【画像】バイクに使われるバッテリーの種類や構造、分かりやすく見ると?(8枚)

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Writer: 伊藤康司

二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。

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