マフラーから炎を噴くのは「アフターファイヤー」です! えっ? 「バックファイヤー」じゃないの?

バイクのロードレース中継などで目にする、マフラーから炎を噴くシーンは、「アフターファイヤー」と呼ばれる現象です。「バックファイヤーじゃないの!?」と思った人もいるかもしれませんが、呼び方のカン違いはともかく、市販バイクではどちらも問題アリです。

昔から混同される「バック」or「アフター」

 レーシングマシンがコーナー進入時にマフラーから炎を吐いたり、市販バイクでも「パーンッ!!」という破裂音と共にマフラーから火を噴くことがあります。これは「アフターファイヤー」、または「アフターバーン」と呼ばれる現象です。

レーシングマシンの「アフターファイヤー」
レーシングマシンの「アフターファイヤー」

 ところがなぜか、この現象を「バックファイヤー」と呼ぶ人も少なくありません……と言うより、むしろバックファイヤーの呼び方が有名かもしれません。昔からカン違いというか混同されがちですが、その理由は不明です。

 とはいえバックファイヤーは、マフラーからではなく、キャブレターやスロットルボディの付近で炎や破裂音が起こる現象で、アフターファイヤーとは異なります。

 バックファイヤーは、キャブレターやエアクリーナーボックスの中で発生するので炎は見えません。アフターファイヤーの場合も、自分が乗って走っている状態ではマフラーから噴き出す炎は見えません。

 そのためビックリするような破裂音がしても、どちらなのか分かりにくいかもしれませんが、バックファイヤーは、基本的にアクセルを開けたタイミングで発生します。反対にアフターファイヤーは、基本的にアクセルを閉じた時に起こります。

バイク炎上の危険もある!?

 文言として有名(?)なバックファイヤーですが、これは「逆火」現象とも呼ばれ、ガソリンと空気を混ぜるキャブレターやスロットルボディ側に、エンジンから燃焼ガスが逆流して火が着く現象です。

「バックファイヤー」は、エンジンからキャブレター側に燃焼ガスが逆流する現象
「バックファイヤー」は、エンジンからキャブレター側に燃焼ガスが逆流する現象

 原因としては、混合ガスの空燃比(空気とガソリンの比率)が異常に薄かったり、点火プラグの点火時期が異常に遅い時に起こりやすいと言われています。

 キャブレターやエアクリーナーを交換・改造したバイクや、点火プラグが傷んでいると起こる可能性がありますが、近年の電子制御式燃料噴射(FI)のノーマルのバイクだと、バックファイヤーを起こすことはあまりないでしょう。

 とはいえ、キャブレターやスロットルボディはガソリンンが入った燃料タンクの直下にあるため、エアフィルターに火が着いて延焼する危険があります。

 もし、それなりの頻度でバックファイヤーを起こすようなら、そのまま乗り続けずにバイクショップで点検・修理してもらうのが得策です。

アフターファイヤーの原因が、バイクを傷める

 マフラーからのアフターファイヤーですが、こちらはエンジン内で未燃焼のガスがマフラー内に溜まり、高温になったマフラーの熱などで着火して燃焼する現象です。

キャブレターやスロットルボディなど、エンジンから戻って(Back)炎を噴くのが「バックファイヤー」で、エンジンより後(After)のマフラーから炎を噴くのが「アフターファイヤー」
キャブレターやスロットルボディなど、エンジンから戻って(Back)炎を噴くのが「バックファイヤー」で、エンジンより後(After)のマフラーから炎を噴くのが「アフターファイヤー」

 こちらも混合ガスの空燃比の異常が原因となるケースが多く、どちらかと言うと、空燃比が濃すぎる時に発生しやすいのですが、薄すぎる場合も相応にアフターファイヤーを起こします。これはキャブレターを交換した時や空燃比のセッティングが合っていない場合が多いでしょう。

 近年の電子制御式燃料噴射(FI)も、サブコンなどで燃調セッティングを変えた際にも、同様の症状が出ることがあります。

 ちなみに、近年のレーシングマシンのアフターファイヤーは、スロットルレスポンスの良さや減速時のフィーリング、加速時のトルク特性等を重視したFIセッティングによって起こるため、いわゆるトラブルの類ではありません。

 また、いわゆる「抜けの良いマフラー」に交換すると、排気抵抗が下ることで結果的に混合ガスが薄くなり、点火限度を下回る(着火しにくくなる)ことで、マフラー内に未燃焼ガスが増加してアフターファイヤーが発生する場合もあります。

 他にも、エアフィルターが汚れたことで空気の吸気量が落ち、相対的に混合ガスが濃くなることもありますし、点火プラグの劣化で火花が弱くなれば、やはり燃焼不良で未燃焼ガスが増加します。

 またキャブレターとエンジンを繋ぐゴム製のインシュレーターが劣化(ヒビ割れなど)して、そこから空気を吸い込んで薄くなったり、マフラーのフランジ部のガスケットが傷んで密閉性が低下して「二次エア」を吸い込むこともあります。

 このように、ノーマルのバイクでも(キャブレター車に限らずFI仕様のバイクでも)、経年劣化が原因でアフターファイヤーは起こります。

 バックファイヤーと異なり、バイクが炎上する危険は少ないと言えますが、空燃比が薄過ぎたまま乗り続けるとエンジンがオーバーヒートしたり、最悪のケースではピストンが焼き付く危険があります。

 反対に、濃すぎると点火プラグがカブったり、燃焼室やバルブにカーボンが堆積しやすくなります。

 もし頻繁にアフターファイヤーが起こるようなら、セッティング不良や経年劣化を疑って、点検・修理を行ないましょう。

【画像】いずれにしてもよろしくない!? 炎を噴く原因、疑うべきはココ!(8枚)

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Writer: 伊藤康司

二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。

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