カワサキ初の量産モデル用4ストローク「Z2」エンジンいよいよエンジン組立!! 消耗品の手配は大丈夫!? 〜日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承〜Vol.30
メイド・イン・ジャパンのモーターサイクルを代表する一台として、誰もが認める存在と言えるのがカワサキ「Z1/Z2」シリーズです。バイク仲間の友人が、長年所有し続けてきた1975年式750RSを購入して、将来的にはフルレストアで仕上げてみようと考えているのが、この企画になります。いよいよエンジン腰下の組み立て作業に入ります。その前に、交換部品や消耗部品の再確認をしっかり行なわなくてはいけません。また、これまで使われ続けてきた旧部品と新部品を目視比較し、何処が、どのように「摩耗劣化」しているのか? 確認してみましょう。
いろいろありましたが、いよいよ組み立て目前!!
筆者が所有するカワサキ「Z2」エンジンのオーバーホールに際し、30数年来の夢でもあった「Z1クランク」を組み込むことにしました。各部の洗浄およびエアーブロー、そして注油後に、内燃機のプロショップへクランクシャフトを持ち込み、部品精度の確認測定を行って頂きました。
すると、全ベアリング支持部分に於いて2/100ミリ以下という、優秀なデータを持つクランクシャフトだと理解しました。事故車のエンジンから取り外したクランクシャフトを旧車ショップさんから購入しましたが、歪みや曲がりやベアリング摩耗などが無く、程度が良いクランクシャフトで安心しました。

ここでは、改めて内燃機加工メニューを振り返ります。圧入がゆるいことで知られる純正スリーブは、Z1用の純正スリーブに入れ換える時に、圧入公差を変更して頂き、スリーブの緩みを防止しました。
Z1スリーブへ入れ換えたZ2シリンダーには、ドリームタイマー製ピストンに合わせて、ボーリング&ホーニング加工を施しました。ボア×ストロークは69×66ミリで、総排気量は986ccになります。決して高圧縮ピストンではありませんので、ノーマルのカムシャフトと併せて、低速からトルクフルな走りを実現してくれるはずです。
シリンダーヘッドは、バルブガイド交換とシートカット、擦り合わせによって、より良い圧縮状況を確保できています。4ストエンジンを分解した際には、必ずバルブシートの当たり具合を確認し、必要に応じて調整しなくてはいけません。少しでも当たりが悪かったり、当たり幅が広く不安定に感じるときには、内燃機加工のプロショップへ依頼しましょう。
バルブシートの当たりが良くなることで圧縮低下が無くなり、エンジンの爆発燃焼が良くなります。結果的には、力強くアイドリングし、よりスムーズに回転上昇するエンジン特性となります。
慌てて組み立てず、その前にやるべきことを進めよう
エンジンの組み立て作業前に、交換すべき消耗部品に触れておきます。初代空冷Z系エンジンにとって「必須交換部品」と言えるのが、カムチェーンとその周辺部品になります。実は、このZ2エンジンも、分解前には何も異常なく、特に気になる異音なども一切無く、気持ち良くエンジンは回っていました。

ところが!? エンジンを分解して気が付きましたが、カムチェーンの前後に入るアイドルローラー支持部に、何とズレが生じていました。つまり、状況によっては、アイドルローラーが、左右に振れていたのかも知れません。
例えば、エンジンブレーキなどでカムチェーンが暴れたときなどには、チェーンラインがセンタリングされず、ややズレ気味になっていた可能性もあります。アイドルローラーがガタガタになり、カムチェーンがズッコケた状態のままで、走り続けていたエンジン部品を見たことがありますが、それらの部品と比べれば、このZ2のそれは、極上部品のようにも見えてしまいますが……。
しかし、現実を目の当たりにすると、いくら低走行の極上エンジンだからと言って、カムチェーンテンショナー関連のパーツを「新車当時の部品のままで走り続ける」というのは、間違い無く怖いことです。だからこそ、せめて「異音」に気が付いたときや、エンジン腰上を分解したような際には、早め早めに部品交換するように心掛けたいところです。
カムチェーンテンショナー関連の部品は、エンジン腰上を分解さえすれば、カムチェーンを除くその他すべての部品を交換できます。メンテナンス性が良いだけに、不安があるときには、問答無用で新品部品に交換することをお勧めします。もはや部品の中には純正部品が入手できないものもありますので、偶然に見つけた時や、コンストラクター製のリプレイス部品が入手できるうちには、将来のために確保しておきましょう。
Writer: たぐちかつみ
フリーランスライター。バイクも作る国内自動車メーカーの生産技術開発部門を経てから大人向けのバイク専門誌「クラブマン」誌へ合流。同誌のメンテナンスコーナーが縁で、1995年春には「モト・メンテナンス」誌を創刊し編集長を務めた。同誌休刊後の2019年秋からは、内外出版社にて「モトメカニック」誌を創刊。現在も同誌編集長を務めている。












