カワサキ「750SS」全開走行問題ナシ!! 試行錯誤と改善でクラシックバイクレースが楽しい!?
自身もカワサキの2ストロークマシン「750SS」(マッハIV/H2)でサーキット走行を楽しむライターの後藤武さんによる、クラシックバイクレースについて。
バイクの楽しさが凝縮された、クラシックバイクレースのススメ
クラシックバイクレースに参加するのはとても楽しいものです。現行モデルのバイクと違って整備も頻繁に行わなければなりませんし、部品の入手だって簡単ではありません。レースのレギュレーションに合わせてマシンを作っていくのも手間がかかります。さらに言えば現行車とは違うライディングテクニックだって要求されます。マシンの特性を理解し、足りない部分をテクニックで補う必要があるのです。

「大変なことばかりじゃん」って言われるかもしれませんが、逆です。作る、いじる、めでる、走らせる、というバイクの楽しさが凝縮されているのです。
かくいう私、ライターのゴトー(筆者:後藤武)もクラシックバイクレースにどっぷりとハマっている1人。カワサキ「750SS」をベースにしたレーサーで「レジェンド・オブ・クラシック」と「テイスト・オブ・ツクバ」に参戦しています。
「750SS」は1972年に登場した時、量産車としては最速、最軽量を誇ったマシンです。2ストローク3気筒エンジンを搭載した「マッハ」シリーズの長兄としても知られています。
ワイルドなエンジン特性でとても楽しいマシンですが、その反面トラブルが多いことでも有名。ストリートでもトラブルが出ると言われているマシンなのに、レースで全開走行が続けばトラブルが発生するリスクが増大するのは当然のこと。ひとつずつ対策していかなければなりません。
と言っても、「マッハ」のチューニングパーツなんて皆無に近いので、色々な人達に協力していただきながら考え、パーツを作ってはテストしてデータを集めています。この過程がまた楽しいんですよ。

ちなみに、信頼性を向上させるうえで大きな役割を果たしている要因が2つあります。ひとつは井上ボーリングの「ICBM」です。鋳鉄のスリーブを削り取り、内側にメッキを施したアルミスリーブを入れる技術です。スリーブの摩耗がほとんどなく摺動抵抗も低減。放熱性が良いなど良いこと尽くめ。
もうひとつは「BEL-RAY」のオイル。オイルってものすごく進化しているんです。2ストロークオイルのH1-Rを使って感心しました。当時はクランクベアリングにオイルポンプを使って給油していましたが、ゴトーのマッハではオイルラインを取り外して混合のみとしています。つまりオイルを薄くしても十分以上の潤滑性能が発揮されているんです。混合比は30:1で、これでまったく問題ありません。
ミッションオイルのギアセイバーも、シフトタッチが良好で文字通りギアを保護してくれます。ミッションが壊れやすい(500と同じサイズなので強度的な余裕がない)マッハでは、これ無しではレースを走り切るのは難しいかも。
ハードブレーキングを繰り返してもレーシングブレーキフルードは安定したタッチのままなので安心できますし、サスペンションオイルもスムーズで適切なダンピングを維持してくれます。
他にも自分なりの改善を施して耐久性と信頼性を高め、決勝で全開走行を繰り返しても問題が出なくなりました。
セッティングで攻めすぎてしまってピストンを溶かしてしまうこともありましたが、濃い目のセッティングでガソリンによる冷却を考えるようになってからは、このトラブルも激減です。
とまあこんな感じで信頼性も高くなり、楽しくレースができるようになったマッハ。たまには違うことしてみるか、なんて2025年5月のテイスト・オブ・ツクバでは2台で参戦することにしました。
■協力/筑波サーキット(写真=POP近藤、多田浩志)
Writer: 後藤武
クラブマン誌や航空雑誌の編集長を経て現在はバイク、食、飛行機などのライターと
して活動中。飛行機とヘリの免許を所持しエアレースのTV解説も担当していたことも。2スト、旧車、V8のアメ車など多数所有。





