資格が無くてもオッケー!? バイクの整備・修理・カスタム 自分でどこまでやってイイの?
愛車を自分で整備・カスタムすればいっそう愛着が増すうえに、修理もできればもしもの時や費用的にも安心ですが、整備士の資格を持っていない一般ライダーが、整備をしても良いのでしょうか?
資格が無いとダメな気もするが……?
バイクを安全に走らせるための「日常点検」は、ライダー(バイクを運転する所有者)が行うように義務付けられています。
それでは点検した結果、ブレーキパッドの残量が無かったり、タイヤが減っていた場合に、交換作業は自分で行っても良いのでしょうか?
またカスタムでアフターパーツを購入した場合、自分で取り付けや交換作業を行っても良いのでしょうか?

自分で作業を行えば工賃が浮くし、「自分で愛車の面倒を見ている」ことでいっそう愛着がわくかもしれません。もっとも、昔は先輩ライダーから「自分で直せなかったら、ツーリング先で壊れたらどうするんだ!?」なんて言われたりもしました。まぁ、これは近年のバイクではあまり意味が無いかもしれませんが……。
とはいえ、なんとなく「整備士の資格を持っていない」一般ライダーは、やってはいけないような気もします。とくに「重要保安部品は絶対にイジっちゃダメ!」みたいなイメージもあり、「ここまではやって良いけれど、コレはダメ」みたいな取り決め(法律)があるのでしょうか?
趣味ならどれだけイジってもOK!!
先に答えから言ってしまうと、趣味で自分のバイクをイジるなら整備士の資格は不要で、整備や修理、カスタムも、どこを分解するのも自由です(※もちろん道路車両運送法に抵触するような違法改造などはNG)。
先に「重要保安部品」と書きましたが、これは法令による呼称ではありません。道路運送車両法で定められた「保安部品」の中でも、とくに安全性に関わる部分を実務的に呼ぶ際に使っている用語です。
……が、趣味として整備する分には保安部品も重要保安部品も関係なく触ってOKです。エンジンでもブレーキでも、バイクのすべての部分を分解して大丈夫なのです。
ちなみに愛車(自分のバイク)だけでなく、趣味(営利目的でない)ならば他人のバイクを整備しても問題ありません。

しかし「営利目的」になると、認証を得た整備工場内(認証工場)でしか「分解整備」を行うことができません。
まず「認証工場」ですが、在籍する整備士の人数や作業場の面積、指定された整備機器や計測機器を備えるなど多岐に渡る基準をクリアして、地方運輸局から認可を受ける必要があります。
ちなみにバイクの整備士の資格には、「二級二輪自動車整備士」(バイクに関するすべての整備作業が可能)と、「三級二輪自動車整備士」(一般整備が可能)があり、認証工場には1名以上の二級二輪自動車整備士がいます。
そのため、認証工場であれば整備士の資格を持たない人が分解整備を行うことも可能ですが、作業の確認を二級二輪自動車整備士(整備主任)が行う必要があり、管理責任も発生します。
そして認証工場であるか否かは、工場(ショップ)内の見えやすい場所に各地方運輸局が認証した黄色い看板が掲示されているので一目で判断できます。
「分解整備」ってナニ?
法令上では、バイクの整備は「分解整備」と「一般整備」(分解整備以外)の2種類に分かれています。
「分解整備」は、エンジンの脱着、クラッチ、トランスミッションなど伝達装置の脱着、フロントフォークの脱着、フロント/リア・アクスルの脱着、ブレーキキャリパーやディスク、ホースの脱着、緩衝装置の脱着などを伴う分解整備や改造を指します(排気量によっても異なる)。
そのためエンジンを車体から降ろさずに行える作業は「一般整備」に含まれ、ブレーキキャリパーを取り外さずにブレーキパッド交換が可能な構造の場合は、「一般整備」になります。

フロント/リア・アクスルの脱着を伴うタイヤ交換、サスペンションの交換(緩衝装置の脱着)やハンドル交換(かじ取り装置の脱着)などは「分解整備」になります。
厳密な取り決めはありますが、ザックリ言えばバイク整備の多くの作業が「分解整備」に相当するわけで、営利目的ならば認証工場でしか行えないことになります。
それなら「一般整備」(分解整備以外)ってナニ? と感じますが、基本的には日常点検と、それに伴う分解整備に相当しない整備作業(オイル交換やチェーンの張り調整など)になります。
ちなみに灯火類の脱着は分解整備に含まれないので、ヘッドライトやウインカーをカスタムする作業は「一般整備」の範疇と言えるでしょう。
様々なリスクを回避するなら認証工場へ!
というワケで、趣味で非営利ならば自分のバイクでも友達のバイクでも、どんな整備作業を行ってもOKです。
また営利目的であっても、分解整備以外なら行っても良いので、世の中には「趣味と実益を兼ねて」個人ガレージなどで整備やカスタムを請け負っている人もいるのではないでしょうか。費用面からも、整備や修理・カスタムを「バイクいじりが得意な知人」に頼るライダーも少なからずいるでしょう。

もちろん、これらは「営利目的の分解整備」を除けば法的にも問題ありません。ただし、もしその整備やカスタムを起因とするトラブルや事故が起こった場合は、責任の所在や補償においては難しい部分も考えられます。そうでなくても、良かれと思って請け負った整備作業が元でトラブルが起これば、人間関係にヒビが入ってしまうかもしれません……。
その点においても認証工場の場合は、とくに分解整備を行った際には「分解整備記録簿(2021年4月から「特定整備記録簿」に名称変更)」の記入と、2年間の保存義務があるため、トラブルの発生原因の特定や、内容によっては補償を受けることもできます。
自己責任において愛車をイジるのは、まったくやぶさかではありませんが、整備や修理・カスタムにおけるリスクを回避しつつ、安全で楽しいバイクライフを送るには、認証工場に依頼することを推奨します。
Writer: 伊藤康司
二輪専門誌『ライダースクラブ』に在籍した後(~2005年)、フリーランスの二輪ライターとして活動中。メカニズムに長け、旧車から最新テクノロジー、国内外を問わず広い守備範囲でバイクを探求。機械好きが高じてメンテナンスやカスタム、レストアにいそしみ、イベントレース等のメカニックも担当する。










