国産ではこれが“奔り”か!? V4エンジンがよく見えるホンダ「VFR400Z」はギョロメ2灯の“ストリートファイター”系!!

1986年に登場したホンダ「VFR400Z」は、レーサーレプリカブーム初期の排気量400ccクラスの水冷V型4気筒エンジンを搭載し、同時に発売されたフルカウルスポーツ「VFR400R」のカウルをはぎ取ったバリエーションモデルでした。

400ccクラスの第2世代「V4」エンジンを搭載した2モデル

 ホンダは1979年に世界GPへ復帰する際に、4ストロークV型4気筒エンジン搭載の「NR500」で参戦しています。「NR500」はオーバルピストンが注目されがちですが、そもそもスリムでコンパクトに設計できるV型4気筒を採用しています。

 現在のMotoGPでも多くのメーカーが採用するV4ですから、それだけ革新的でありながら普遍的な良さを持つエンジンレイアウトだったと言えます。

「NR500」の5年に渡るV4エンジンの開発で、ホンダは市販車でも並列4気筒エンジンに対して優位性があるとし、世界でどのメーカーも前例のないV4シリーズの開発をスタートさせます。

1986年に発売された、排気量400ccクラスの水冷V型4気筒エンジンを搭載する「VFR400Z」
1986年に発売された、排気量400ccクラスの水冷V型4気筒エンジンを搭載する「VFR400Z」

 ホンダは1982年に、量産モデルとしては世界初の水冷V型4気筒エンジンを搭載した「VF750セイバー」と「VF750マグナ」を発売し、世界中のバイクファンを驚かせます。同じ年の12月にはこの年2度めのサプライズとなる、同じく水冷V型4気筒エンジンを搭載した「VF400F」がデビューしました。

 中型限定二輪免許(現在の普通自動二輪免許)までしか持たない若手中心のライダー達にとって、大型バイクと同等の最新テクノロジーを持つバイクとしてヒット作となりました。

 この時期に各メーカーでは高性能化が一気に進み、おりからのレースブームの流れもあってレース用バイクを模したレーサーレプリカが登場します。ホンダも1984年には市販レーサーと同時開発の2ストロークマシン「NS250R」で追従しました。

 一方、4ストロークのV4シリーズは1986年に第2世代に進化し、国内TT-F3レースを制したファクトリーマシン「RVF400」から最新技術を投入した「VFR400R/Z」がデビューします。

 第2世代V4シリーズでは、DOHC4バルブの駆動にカムギアトレーン方式を採用しました。カムギアトレーンは4ストロークの超高性能エンジンに採用される、より精密なバルブ駆動を実現する切り札的メカニズムです。

 その最新技術が、400ccクラスの市販車にも採用されていました。最高出力は前作の「VF400F」に対して6PSアップの59PSを12500rpmで発揮しています。ちなみに、59PSは当時の馬力規制の限界値でした。

 車体には当時の最新技術であるアルミフレームを採用しています。しかもホンダのアルミフレーム第1世代のクレドールタイプから進化し、太いツインチューブを持ったダイアモンドタイプとなっています。

 スイングアームも押し出し材のリブ付きで軽量化、かつ高剛性の車体構成となっています。大型バイクも含めて当時の最先端技術が結集している400ccモデルでした。

ネイキットながらヘッドライトとメーターはフレーム側にマウントされているため、ハンドルを切るとこの通り
ネイキットながらヘッドライトとメーターはフレーム側にマウントされているため、ハンドルを切るとこの通り

 ライバル車は耐久レーサーの様なデュアルヘッドライト+ハーフカウルというスタイルでしたが、「VFR400R」は異形1灯ヘッドライトにフルカウルとなっています。デザインは後年のレーサーレプリカに比べると、軽快に走れるスーパースポーツという佇まいです。

 一方、デュアルヘッドライトだったのはバリエーションモデルの「VFR400Z」でした。「R」と同じエンジンと車体で、カウルがない分4kgほど軽量です。V4エンジンもアルミフレームも丸見えで、いわゆる「ストリートファイター」スタイルです。

 現代では、良くできたエンジンと車体でバリエーションモデルを展開するのは常套手段です。そういう目線で言うと、強烈な個性を持った「VFR400Z」もバリエーションモデルとしてアリだと思えますが、当時はレーサーに近い方が良く売れる時代だったため、大きなモデルチェンジもなくディスコンになります。

 さらにその後、レーサーレプリカはブームと共にエスカレートし、バリエーションモデル展開が難しいほど先鋭化してしまいます。

 ホンダ「VFR400Z」(1986年型)の当時の販売価格は62万9000円、フルカウル装備の「VFR400R」は65万9000円です。

■ホンダ「VFR400Z」(1986年型)主要諸元
エンジン種類:水冷4ストロークV型4気筒DOHC4バルブ
総排気量:399cc
最高出力:77PS/9500rpm
最大トルク:3.7kg-m/11000rpm
全長×全幅×全高:2010×705×1010mm
シート高:765mm
始動方式:セルフ式
燃料タンク容量:16L
車両重量:178kg
フレーム形式:ダイヤモンド
タイヤサイズ(前):100/90-16 54H
タイヤサイズ(後):130/70-18 63H

【取材協力】
ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内)

【画像】カウルを取ってもまだネイキッドとは違うような? ホンダ「VFR400Z」(1982年型)を画像で見る(11枚)

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Writer: 柴田直行

カメラマン。80年代のブームに乗じてバイク雑誌業界へ。前半の20年はモトクロス専門誌「ダートクール」を立ち上げアメリカでレースを撮影。後半の20年は多数のバイクメディアでインプレからツーリング、カスタムまでバイクライフ全般を撮影。休日は愛車のホンダ「GB350」でのんびりライディングを楽しむ。日本レース写真家協会会員

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