じつは危険な首都高 “事故啓発に本腰” バイク事故の死傷率はそれ以外の約23倍!? 単独事故ばかりじゃない事実に注目
年末年始に相次いだライダーの転落事故を受け、首都高速がバイク事故啓発に本腰を入れています。春の交通安全運動期間を中心に、ライダーが持ち帰りやすいようコンパクトに折りたたんだ注意ビラや、4輪ドライバー向けにバイク事故防止を呼びかけるチラシを配布するなど、今できる対策に着手しました。
急カーブ、激しい傾斜――首都高速が抱えるリスク
1962年に開通した首都高速は、高速走行の安全対策が十分とは言えない時代に建設されました。
今では一般道との接続は左側からが常識とされていますが、首都高速では左右どちらから接続するかは実際に走ってみないとわかりません。
直角に近い急カーブ、サーキットを思わせるほど激しく傾斜した路面――これらは首都高速の特徴である一方、高度な運転技術を必要とする側面でもあります。
安全に走り抜けるには、首都高速の構造と交通状況をあらかじめ把握した上で、正確なライディングを心がけることが不可欠です。
しかし、そうした説明だけでは片付けられない重大事故に目を向けることで、首都高速も変わりつつあります。4輪ドライバーへの呼びかけや、首都高速に固有の事故傾向についても、利用者に積極的に訴えるようになりました。
2026年4月の春の交通安全運動期間中には、首都高速が約1850人を対象にバイク事故とタイヤ空気圧点検を呼びかける交通安全活動を実施しました
ライダー向けの啓発では、A4両面の注意喚起チラシを約10cm四方に折りたたみ、自宅に持ち帰って読んでもらえるよう工夫しています。
チラシには、2輪車の2024年における死傷事故率として「首都高速のバイク事故はバイク以外と比較して約23倍」という警告が盛り込まれています。この数値は他の高速道路と比較しても群を抜いており、都心部での2人乗り規制が今なお続く背景のひとつとなっています。
走る前に知っておきたい、5つの注意点
チラシには、首都高速走行における5つの注意点も挙げられています。
■無駄な力を抜いてリラックス。バイクと一体になって走りましょう
■出かける前に、道路状況やルートを確認
■充分な車間距離
■進路・車線変更時のウインカー早めの表示
■カーブ手前で減速、シフトダウンでカーブへ
どれも当たり前のことですが、高架橋の上を走る首都高速では重要です。カーブの多い首都高速では、バイクと一体となった走りができなければ安全を保つことができません。

分岐が多いため、案内標識だけに頼っていると車線変更が遅れることもあります。走行速度が高めであることも、運転を難しくする要因のひとつです。
特にバイクの場合、スピードに乗ったままカーブに突入することで高架橋からの落下事故も発生しています。4輪車であれば側壁に弾かれて止まることもありますが、バイクにはその受け止めが期待できません。運転ミスを道路構造がカバーしてくれない環境も、死傷事故率が高止まりする一因です。
2026年春の首都高速の啓発活動は、ライダーへの呼びかけにとどまりませんでした。4輪ドライバー向けには、車両火災の防止を訴えるチラシの裏面に「みんなで防ごう! バイク事故」というメッセージを盛り込みました。受け取ったドライバーが持ち歩くだけで、他の高速利用者の目にも触れるよう工夫された内容です。
首都高速では、バイク単独の事故だけでなく、4輪車の不用意な車線変更を避けきれずライダーが死亡するケースも起きています。
ライダー個人の責任に帰するだけでなく、高速利用者全体を対象とした事故防止へ――首都高速の交通啓発は、確実に変わりつつあります。
Writer: 中島みなみ
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。









