新機構の前輪サスペンションを採用したホンダ「ゴールドウイング」 大胆な変化を求める意図とは

ホンダが2018年4月に発売した「ゴールドウイング」では、これまでのオートバイでは一般的ではない新機構が採用されています。充分なほど高性能となっている現代のオートバイ、それでも大胆な変化を求める意図とは…!? ホンダのチャレンジを紹介しましょう。

ここにきて新しい前輪サスペンションを新採用

 1975年に発売して以来、ホンダ二輪車のフラッグシップモデル(最上級機種)として君臨してきた「ゴールドウイング」。当初1000ccだったエンジンの排気量も現在では1800ccにまで拡大され、2006年には二輪車初のエアバッグシステムも搭載しました。オーディオやナビゲーションシステムも標準装備され、安全性を含む高性能と豪華さで、名実ともに最高峰のオートバイとして認められています。

ホンダ二輪車の最上級モデル新型「ゴールドウイング」来春発売

 新型ゴールドウイングでは、前輪側に従来のオートバイとは異なるサスペンション(緩衝装置)およびステアリング機構(操舵装置)を備えることでバイクファンの間では大きな話題となりました。

 まず、これまでのオートバイのフロントサスペンションについて少し説明しましょう。簡単に言うと、前輪を支えつつ路面からの衝撃を吸収し、さらにハンドルと直に繋がっているため操作感にも大きく関わります。

 重なり合った筒が上下に伸びたり縮んだりする構造で、内部にはバネとオイルなどからなるショックアブソーバ(動きを減衰=次第に減少させる装置)が入っています。これを「テレスコピック式フロントフォーク」と呼び、1950年代頃から現在に至るまでほとんどのオートバイが採用してきました。

 ところが新型ゴールドウイングのフロントサスペンションは、テレスコピック式ではありません。上下一対のアームでタイヤを支持する「ダブルウィッシュボーン式」と呼ばれる、四輪自動車に見られる構造としているのです。ホンダはオートバイ用として、これを新たに設計しなおしました。

写真中央:ゴールドウイング開発責任者 中西 豊さん(本田技術研究所 二輪R&Dセンター)

 ホンダの開発担当者に理由を聞きました。

——–どうして新機構を開発したのですか?

 これまでのテレスコピック式では、路面からのショックを吸収する際にアウターチューブとインナーチューブ(外側の筒と内側の筒)のスライド、また両者のたわみによる摺動抵抗(滑らせながら動くときの抵抗)が発生します。これに対しダブルウィッシュボーン式では、衝撃を吸収するクッション機能とハンドルを操るパートを分けることで、クッションの摺動抵抗を低減させ、路面からハンドルに伝わるショックを従来より約30%減らしました。

——–衝撃を和らげる部分とハンドルを操縦する部分が一緒だったのを、それぞれ分けたのですね。

 はい。この構造にしたことで、フォーク部(前輪を支える部分)の慣性マス(回転する物=ここでは前輪が、その回転を持続しようとする運動の力)を40%低減し、走行時のハンドリングをより軽快にしました。また、タイヤとハンドル双方の転舵軸(動く際の軸)をロッドで繋ぐ構造としたことで、グリップ位置がシートに着座したライダー側へ近づき、乗車姿勢にも好影響をもたらします。

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