フォルクスワーゲン「ザ・ビートル」とカワサキ「W800」2台のネオクラシックモデルの共通点は「ゆとり」!!

生産が終了したフォルクスワーゲン「ザ・ビートル」とカワサキの新型「W800」。ネオクラシックモデル2台の共通点は、世界観を楽しみ焦らず走りを楽しめる事!

長い歴史を持つ2台のモデル、ネオクラシックモデルの真の意味とは?

 W(ダブル)というネーミングは大型バイクのカワサキというイメージを確立したモデルの名前であり、進化をさせながら現在でもそのストーリーを続ける伝統的なモデルです。今回は「ネオクラシック」をテーマに、自動車界を代表してフォルクスワーゲン「ザ・ビートル」を取り上げ、Wの視点も織り交ぜながらご紹介させていただきます。

フォルクスワーゲン「ザ・ビートル」とカワサキ「W800」

 ビートルの歴史をさかのぼると、1人の天才エンジニアの名前が出てきます。その方の名前はフェルディナンド・ポルシェ博士です。ポルシェ博士は、1930年代半ばにかけて次のようなテーマを掲げて1台のクルマを設計します。「家族が安全第一に乗れ、操縦性に優れ、最高速度を犠牲にすることなく十分な登坂能力も合わせ持ち、室内と荷室が十分にあること。そしてそれら条件を満たしながらも、多くの人々の手に届く価格に設定すること」そうして登場したのが、1945年から生産を開始する初代ビートル・タイプⅠ(以降タイプⅠ)であり、フォルクスワーゲンのピープルズカーとしてのブランドテーマを世界に広めて行くモデルとなります。

 カワサキのイメージを決定づけたWと同じく、フォルクスワーゲンにとって「ビートル」というネーミングは、とても大切なモノだと言えるでしょう。その後、ニュービートル、そして現在のザ・ビートルとなり3代目に至っています。

ザ・ビートルはタイプⅠを意識したデザインを採用

 ザ・ビートルのルックスですが、2代目ニュービートルでは「マルを3つ使えばニュービートルになる」と言われたくらいに丸いデザインが売りでしたが、ザ・ビートルはそこまで丸くはありません。ザ・ビートルを真横から見てみると、ルーフラインがタイプⅠに似ていることに気が付かれると思います。ザ・ビートルはタイプⅠを色濃く意識したデザインが採用され、丸さの中にクールさを存在させています。ここにはタンク、サイドカバー、シートなどもエッジの無い丸いデザインを採用しながら、クールさを表現しているWと通じるモノを感じます。インテリアは、タイプⅠにあった助手席前の「ビートルボックス」(小物入れ)を復活させた、クラシカルな演出にも注目です。

 そしてタイプⅠは、Wと同じく空冷のOHVからスタートしたエンジンですが、現在のベーシックなモデルを例に上げると1200cc水冷直列4気筒ターボエンジンが搭載されています。Wのように空冷のダイレクトなエンジンサウンドないのは寂しくもありますが、ボディの中にエンジンを格納してしまうクルマの場合は、特に熱処理の問題や同時にその温度管理が排ガスにも影響してしまうというポイントなどから、空冷は絶滅状態になっています。ちなみにSOHCは今のWと同じです。

1197cc直列4気筒SOHCインタークーラー付きターボエンジン搭載

 このボディサイズで1200ccとなると排気量が小さいイメージを持つ方もいらっしゃいますが、近年の技術の1つとして、ピークパワーを目指す為にターボを使うのではなく、排気量を小さくし、それを補うためにターボを使う。そこにターボの過給技術の進化もあり、低回転からターボを効かせることができるので1500回転も回っていれば最大トルクを発生させることが可能です。全体としてのバランス、効率、そして軽量化にもメリットがあるという考えから、この様なエンジン選択が行われています。

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