YOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOWで2連覇 「シュアショット」による渾身のカスタム・ハーレー

2021年12月5日に、アメリカン・カスタムの祭典「YOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOW(ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー)」が2年ぶりに開催されました。今回のショーでは前回(2019年)に引き続き千葉のショップ「シュアショット」が手掛けたカスタム・ハーレーがバイク部門のアワードの頂点に輝きました。

シンプルなシルエットの中に注がれた作り手の高い技術力

昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、中止となった我が国最大のアメリカン・カスタムカルチャーの祭典であるYOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOW(ヨコハマ・ホットロッド・カスタムショー:以下HCS)ですが、今年は2年ぶりに待望の開催。多くの人々が12月5日(日)に会場のパシフィコ横浜に訪れ、盛況を博したのですが、モーターサイクル部門の出展車両の頂点に輝いた1台がここに紹介する「シュアショット」によるマシンです。

1997年式ハーレーFXDLダイナローライダーをベースにリア周りがソフテイル化されたシュアショット製のカスタムバイク。2019年HCSチャンピオンマシン、『K2』に通じるシュアショットらしいフォルムで見事にまとめられています

 前回のHCS2019でもベスト・オブ・ショーモーターサイクルを獲得したシュアショットですが、カスタムを製作したビルダーである相川拓也氏に話を聞くと「今回はショーの審査対象となるジャッジペーパーの項目を意識し、カスタムの製作に取り組んだ」とのこと。

 ちなみにHCSでは、よりインターナショナルなショーの基準とすべく2019年から複数の審査員によるジャッジペーパーの記入と得点の集計によってアワードが決定されているのですが、その中で最重視されているのが“スタイルのバランス”と“オリジナリティ”。そうしたことを踏まえて眺めてもシュアショットのマシンが連覇を果たし、今回も頂点に輝いたのはやはり必然かもしれません。

 ちなみにこのマシン、ベースは’97年式ハーレー・FXDLダイナローライダーであり、エンジンをラバー(ゴム)を介してマウントする2本サスペンションのスイングアーム・フレームをあえてソフテイル化しているのですが、製作者の相川氏によると「その上で車体を可能な限りスリムにしたかった」とのこと。

車体左サイドから見るとドゥカティ用を流用したスイングアームが印象に残りますが、アルミ丸パイプの溶接には労を費やしたとのこと。全体のバランスも絶妙です

 それを実現すべくこのマシンはリアスプロケットがスリムに収まるドゥカティ用スイングアームを装着し、狙いのフォルムが獲得されているのですが、ドライブからドリブンへのチェーンラインやフレームのディメンションを正しくキープし、審査項目のひとつである「ライダビリティ(走行性能)」を意識した造り込みが与えられるに至っています。また、これに併せて車体右サイドにも強度を意識し、アルミ丸パイプで製作したサブフレーム的なスイングアームが備えられているのですが、ここは脱着式とすることでタイヤ交換時の作業効率と実用性も考慮されているとのことです。
 
 また、リアまわりと共にルックスにインパクトを与えているタンク後部に装着されたサスペンションはマウント・ロッドを延長することで、あえてこの箇所に設置されているのですが、この箇所にしても本来なら現行ハーレーのミルウォーキーエイト・ソフテイルと同じ構造のシート下ではなく、「ショーでマシンを魅せるには?」という部分を考え、この位置でマウントすることを決定。

 さらにそのサスペンションが収められるタンクは、審査項目にある“シートメタル&メタルワーク”を見せる為、「ノーパテでフィニッシュ」となるよう製作されているとのことで、アルミ地にヘアライン仕上げを施した上で半艶のカラーを吹き、「ペイントワーク」といった項目をクリア。塗装と金属加工の技術の評価点、両方を意識したとも相川氏は語ります。

2019年のHCSに続き、2年ぶりの開催となったHCSで連覇を果たしたシュアショットの面々。中央に座る相川拓也代表を中心に5名のスタッフでショップが運営されています。2006~2007年のヒデモーターサイクルや2016~2017年の平和モーターサイクルの2連覇はもとより、2012~2014年のチェリーズカンパニーの3連覇に、いよいよ並ぶか来年の作品に注目が集まります

 これまでのHCSでのベスト・オブ・ショーモーターサイクル受賞歴を振り返ると、2連覇を果たしたショップは2004年・2008年「ケンズファクトリー」、2011年・2018年「カスタムワークス・ゾン」、2006年・2007年「ヒデモーターサイクル」、2016年・2017年「平和モーターサイクル」の4軒、2012年から2014年にかけては「チェリーズカンパニー」が3連覇を成し遂げていますが、今回のシュアショットの結果は今や世界のカスタムシーンでも名を轟かす日本のトップビルダーたちに並び、もはやその背中に手をかけるもの。来年のHCSで3連覇となるか注目を集めることになりそうです。

 たとえば基本的にオーナーそれぞれが満足しさえすれば、カスタムバイクに順位の優劣をつける必要はないのでしょうが、しかし、日本のシーンの中で「コンペティション」という形式を採用したHCSというショーが我が国のカスタム・レベルを一段上に押し上げたことは否定しようのない事実です。

 ここで「タラ・レバ話」をしても仕方がないのかもしれないですが、来年こそは新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、“30周年”を迎えるYOKOHAMA HCSでシュアショットのような珠玉のマシンたちがパシフィコ横浜の会場で火花を散らすことを、イチ・カスタムファンとして心から期待するばかりです。

【了】

【画像】シュアショット製作の珠玉のカスタム・ハーレーを画像で見る(12枚)

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Writer: 渡辺まこと(チョッパージャーナル編集長)

ハーレーや国産バイクなど、様々な車両をベースにアメリカン・テイストのカスタムを施した「CHOPPER」(チョッパー)をメインに扱う雑誌「CHOPPER Journal」(チョッパージャーナル)編集長。カスタム車に限らず、幅広いバイクに対して深い知識を持つベテラン編集者。

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