秀逸なハンドリングと扱いやすさ!! ヤマハの「実験機」 電動スクーター「E01」の現状
ヤマハの実証実験用電動スクーター「E01」に試乗して見えてきたのは、シティコミューターとしての高い性能でした。
優秀なシティコミューター、今後どうなる? 進化した姿を見たい
ヤマハ「E01(イーゼロワン)」が実証実験用電動スクーターとして導入されると発表があって以来、筆者(伊藤英里)はこの電動バイクに大きな関心を抱いてきました。

ヤマハの電動バイクとしては、すでに市販モデルとしてラインナップする「E-Vino」がありますが、ベースは原付1種区分(排気量50cc以下)のスクーター「Vino(ビーノ)」です。
一方の「E01」は、専用に開発された高回転型の空冷永久磁石埋込型同期モーター(IPMSM)を搭載し、専用設計の新開発バックボーンフレームなどが採用されています。実証実験用の電動スクーターとあって市販はされないものの、現時点でヤマハの電動バイクがどこに軸足を置き、どのような電動バイクを目指しているのか、その指針になるのだろうと思ったのです。
なお、実証実験は2022年7月から3カ月間、応募者にリースする形で行なわれ、実証実験第2期が2023年2月から予定されています。

「E01」の車格は、ヤマハの125ccクラスのスクーター「NMAX」に近いものです。しかし、走らせてみると大きな違いがあります。その最たるものがハンドリング。とても軽く、小回りも利きます。電動バイクはそのトルク特性からか、Uターンが大の苦手である筆者であっても比較的ラクな印象です。そして「E01」には、その印象をより色濃く感じました。
これはひとつに、トルクの現れ方が穏やかにコントロールされていることがあります。「E01」は3つの走行モード、「パワーモード」、「標準モード」、「エコモード」を備えています。「標準モード」と「エコモード」に関しては、アクセルを開け始めるとゆったりとトルクがやってくる印象で、低速域でも操作性の良さがあります。上述した小回りについては、この2つの走行モードで好印象を抱きました。

「パワーモード」に関しては、アクセルを開けた瞬間に後ろから「ドン」と押されるかのような力強い加速があります。味付けはそれぞれ異なっていますが、どの走行モードでも感じたのは、カーブの爽快感です。電動バイクらしい力強いトルクと軽快なハンドリングでカーブを駆け抜けていく感覚が心地良く、機動性と操作性の良さを感じます。ストップ&ゴーの多い街中での使い勝手に、好印象を抱きました。
これに加えて、重量が下部中央に集められているレイアウトも、ハンドリングに貢献していると言えるでしょう。「E01」のバッテリーはライダー着座位置の前方から真下あたり、モーターはその後方に収められており、とくにカーブでの安定性の良さにはこの重量バランスが要因であると感じられました。下部がどっしりとしていて、不安定さが感じられないのです。
回生ブレーキについては少し利きが緩やかかもしれません。ただ、「ハンドリングの良さ」「扱いやすくコントロールされたトルク」、そして「穏やかな回生ブレーキ」を総合して考えると、「E01」がどんな電動バイクなのかが伝わってきました。これは、これから電動バイクに乗ろうとする人が、扱いやすさ、乗りやすさを感じられるバイクだろう、と。

現在の電動バイクの多くは、シティコミューターのモデルです。現状の航続距離とバッテリー搭載量、車両重量のバランス、充電時間、充電方法というインフラ面を総合して考えると、その分野が今の電動バイクに適しているからです。「E01」は幅広い人にとって、そうした電動バイクのメリットを感じられる、日々の相棒として、日常の足としての役割に特化した電動バイクであるように思います。
一言でいえば、現状の「E01」は優秀なシティコミューターです。「電動バイク」という垣根を超えて、扱いやすいバイクだと感じました。
実証実験を経て、ヤマハの電動バイクは今後どのように進化するのでしょうか。引き続き注目したいと思います。
Writer: 伊藤英里
モータースポーツジャーナリスト、ライター。主に二輪関連記事やレース記事を雑誌やウエブ媒体に寄稿している。小柄・ビギナーライダーに寄り添った二輪インプレッション記事を手掛けるほか、MotoGP、電動バイクレースMotoE取材に足を運ぶ。
















