ヤマハ製のクルマが見てみたい? ~木下隆之の、またがっちゃいましたVol.179~

レーシングドライバーの木下隆之さん(筆者)は、ヤマハ製の自動車の誕生を期待しているユーザーもいるのでは、と言います。どういうことなのでしょうか?

ヤマハは4輪の技術もあるのに、なぜメーカーにならない?

 EV時代へ突入し、新興メーカーが増えた。その理由はつまり、膨大な予算と知識とノウハウが求められるエンジンを開発しなくても済むからである。電気モーターの構造化は簡単であり、サプライヤーが調達すればいい。誤解を恐れずに言えば、鉄骨を組み合わせてモーターと電池を積めば「いっちょ上がり……」なのである。内燃機エンジンの開発に比べたら、僕(筆者:木下隆之)としてはシンプルに思える。

ヤマハ発動機のデザインコンセプトカー「SPORTS RIDE CONCEPT」(2015年)第44回東京モーターショー出展
ヤマハ発動機のデザインコンセプトカー「SPORTS RIDE CONCEPT」(2015年)第44回東京モーターショー出展

 だというのに、ヤマハというメーカーは不思議である。トヨタブランドで発売する高性能モデルのほとんどには、ヤマハ製のエンジンが搭載されている。伝説的名車である「トヨタ2000GT」は、ヤマハ製の直列6気筒エンジンだった。

「セリカ1600GT」に積まれた直列4気筒DOHCエンジンも、レビン/トレノにもエンジンを供給している。国産初のスーパーカー「レクサスLFA」用にV型10気筒エンジンの開発もしている。さらに言えば、国内トップフォーミュラーを席巻。F1にまで挑戦した。だというのに、四輪には進出しない。「ヤマハ2000GT」が誕生しても全く不思議ではないのである。

 エンジンが開発できないからという理由で自動車生産への道を諦めたメーカーからすれば、宝の持ち腐れに見えるだろう。ホンダもスズキも自動車の世界で成功した。それでもヤマハはバイクに専念している。業界七不思議のひとつだ。

 ただ、じつは過去にもヤマハは何度も自動車に進出しかけたことがある。2015年の東京モーターショーでも、四輪のコンセプトカーを発表している。ただのデザインスタディではなく、実走行を繰り返しての発表だった。食指を伸ばしていたのである。

 結局は「投資コストと見合わない」という理由で断念している。トヨタとの関係性に配慮して、というのが真の理由だと噂もされているが、それでもヤマハ製の自動車の誕生を、今でも期待するユーザーは少なくない。

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Writer: 木下隆之

1960年5月5日生まれ。明治学院大学卒業後、出版社編集部勤務し独立。プロレーシングドライバーとして全日本選手権レースで優勝するなど国内外のトップカテゴリーで活躍。スーパー耐久レースでは5度のチャンピオン獲得。最多勝記録更新中。ニュルブルクリンク24時間レースでも優勝。自動車評論家としても活動。日本カーオブザイヤー選考委員。日本ボートオブザイヤー選考委員。

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