案内標識に使用されているフォントが一般道と高速道路で違う?一体なぜなのか?
高速道路と一般道の案内標識の見た目は大きく違います。まず多くの人が思いつく代表的な違いは色でしょう。しかし、使われているフォントも違うことに気がついた人はあまり多くないはず。なぜ高速道路では一般道と違うフォントが使われているのでしょうか?
高速道路のフォントが違うのは、見やすくするため
特徴的な緑色のおかげで、ひと目見て一般道とは違うとわかる高速道路の案内標識。高速道路に乗って長い距離をツーリングするたびに目にすることになる標識でもあるので、記憶に残っている人もいるでしょう。

実は高速道路の案内標識は、一般道の案内標識と色だけでなくフォントも異なるものが使用されているようです。これには何か理由はあるのでしょうか。
道路標識を制作している株式会社アークノハラの担当者は、次のように話します。
「確かに一般道の標識と高速道路の標識で使用されているフォントは違います。一般道で使用されているフォントは丸ゴシック体である一方、高速道路で使用されているフォントは角ゴシック体です。高速道路の標識に角ゴシック体を採用しているのは、高速走行時でも視認しやすくするためです」

もちろん、一般道と高速道路で共通の標識もあります。例えば「止まれ」に代表される規制標識のデザインは公安委員会が決定しており、一般道と高速道路で共通のデザインになっています。
一方高速道路における案内標識のフォントはNEXCOが決定しており、一般道の案内標識のフォントは国や各自治体のマニュアルで指定されています。NEXCO東日本によると、2010年7月以降に角ゴシック体を採用した標識を設置し始めたようです。
かつての高速道路では、特殊なフォントが使われていた
では、それ以前の高速道路ではどのようなフォントが採用されていたのでしょうか。
高速道路の案内標識は、速い速度で走行しながらでも読むことができるよう、一般道の標識と比べてより視認しやすいことが求められます。現在の角ゴシックが採用される前は、読みやすさを第一にデザインされた「公団文字」と呼ばれるフォントが使われていました。

公団文字はNEXCOの前身となる日本道路公団という特殊法人によって開発されました。1963年、名神高速道路の開通と同時に採用されて以降50年近く採用され続けてきたフォントで、視認しやすくするために複雑な文字の一部を省略していることが大きな特徴です。
採用された当時は日本語のフォントがあまり流通しておらず、一つひとつを手作業でデザインしていたようです。そのため現場の独自の判断で漢字の一部が省略されており、誤字なのではないかと指摘されることもあったとのこと。

その他フォント全体の統一感に欠けていることや視認性に優れたフォントが多く市販され始めたことなどを背景に、NEXCO東日本、NEXCO中日本、NEXCO西日本の3社は案内標識のデザイン変更に踏み切ったようです。
新設や改修などで今後設置される案内標識には角ゴシック体が採用されることになったため、公団文字の案内標識は今後どんどん姿を消していくでしょう。
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一般道と高速道路の案内標識で使われているフォントが違うのは、高速道路の標識の視認性を向上させるためでした。また、かつては高速道路で公団文字というフォントが採用されていましたが、市販の視認しやすいフォントの登場などを背景にどんどん姿を消しているようです。バイクで高速道路を走る機会があれば、どのようなフォントが使われているか確認してみると面白いかもしれません。