軽くて場所を選べず走れる! フルカバーの電動オフローダーは遊びの可能性無限大! 『GOWOW ORI試乗』
近い将来、こんなカワイイ電動バイクだけの競技がスタートするかもしれない。乗れば、高い運動性能を存分に味わえ、そんな期待をせずにはいられません。10代の頃にスーパークロスをテレビで観て以来、オフロードバイクを愛車にし、ダート走行を好む青木タカオさんが乗りました。
直線基調と面構成のスタイルがオシャレ!
直線的にデザインされたスタイルは、見た目こそ可愛らしいものですが、走りは侮れません! わずか73kgしかない軽量な車体に、走破性に優れる足まわりを持つ電動バイク『GOWOW ORI(ゴーワオ・オーリ)』です。

本格的なオフロード走行にも耐えられるよう「IPX7」相当の耐水・防塵性を獲得していることからもわかるとおり、乗ればスポーツマインドが刺激されてやみません。

高剛性のアルミニウム合金製フレームは、ロードスポーツのようなツインスパー式で堅牢な構造。シートレールやダウンチューブへの剛性の分散をこなしつつ、最高出力9kw(約12.1PS)/駆動軸トルク420Nmを発揮する電動モーターやリチウムイオンバッテリー(73.8V 38.4Ah)を搭載し、丸々フルカバーしています。
カバーしているのは車体側面だけでなく、下部や前輪の後ろも飛び石や泥から守るようしっかりガード。ハードな走りにも対応していることがわかります。
跨った途端に感じる操作性の良さ
ダートでの走破性を考慮し、長いストロークを持つ足まわりとし、280mmの最低地上高を確保。シート高は890mmと高めとなり、身長175cmの筆者(青木タカオ)がまたがって両足をおろすと、つま先立ちに。

ただし、片足ならお尻が自然とずり動いてカカトまで地面に届きます。車体が軽いので、取り回しを苦にしませんし、足つき性に不満はありません。
ハンドルはアルミ製のテーパータイプで、オフロードライディングに集中できるもの。クラッチ操作は不要で、ハンドル左右のレバーでブレーキをコントロールします。
充実の足まわり
重量物をシャシーの中心に置いて、マスの集中化を達成。フロント19/リヤ18インチのスポークホイールにブロックパターンのタイヤを履き、倒立式のフロントフォークとリヤのモノショックはサスペンショントラベル200mmを誇ります。

ゴールドアルマイトの倒立フォークをはじめ、リザーバータンク付きのリヤショックといい、溶接の美しいアルミスイングアームといい、足まわりの充実ぶりに目を見張るものがあります。モノサスのリンク部を、より効果的にプログレッシブな特性が得られる4リンクデザインとしているのも見逃せません。
4ピストンキャリパーにディスクローターが組み合わされたブレーキは効きやコントロール性に優れ、リヤはブレーキを車体左、チェーンドライブ(420HO/13x48T)が右にレイアウトされました。
EVならではのダッシュ力
最大登坂角は55度で、最高速は100km/h。ギャップを余裕で乗り越え、広く本格的なオフロードコースも気持ちよく楽しめそうです。

小さな車体を活かしつつ、タイトコーナーでは小回りが効き、電動ならではの加速力の良さで、立ち上がりも力強くダッシュできます。速度が上がってからはフラットな出力特性で、車体の挙動は落ち着きます。

また、アウトドアに限らず、屋内でのアリーナクロスなどエクストリーム系EVスポーツにも最適でしょう。可能性は無限大ではないでしょうか。
満充電で航続距離100km(WLTCモード)を実現し、4つの走行モードを備えたアプリも用意。フロントのゼッケンプレート上にはLEDヘッドランプが備わり、クルマに積んでいろいろな場所へ出かけたくなります。

車体本体価格は税込み121万円で、ランブレッタやファンティック、SYMなどの輸入元として知られるモータリスト合同会社(東京都大田区)が取り扱います。
『GOWOW』は2007年に中国・北京で創業したMODE社の電動モデルブランド。同社はビジネスの60%以上が海外との取引であることから、ヨハネスブルグやニューヨークにも事務所を開設するなど海外進出に積極的です。
Writer: 青木タカオ(モーターサイクルジャーナリスト)
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。自らのモトクロスレース活動や、多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク技術関連著書もある。