気温が高い日に起こりやすいトラブル!? バイクの「オーバーヒート」って一体なに?
夏場に多く発生すると言われているバイクの「オーバーヒート」。いったいどのようなトラブルなのでしょうか。
夏には要注意!オーバーヒートって何?
記録的な猛暑が続く日本。ツーリングを楽しむライダーは、厳しい暑さを克服しながら走らなければなりません。それは高温で稼働するエンジンにも同じことが言え、暑い夏はバイクにとっても非常に厳しい季節です。
そんな暑い日に多いバイクのトラブル症状として、「オーバーヒート」が挙げられます。オーバーヒートとは、エンジンの温度が上がりすぎた状態になり、冷却性能を超えてしまったときに起こるエンジントラブルのこと。
オーバーヒートが起こる要因はさまざまですが、年間を通して気温が一番高くなる夏場がもっとも発生しやすく、これは気温の上昇に比例して、エンジンの熱も高くなりやすく、冷めにくいというのが要因。なお過熱したまま走り続けると、エンジンが大きなダメージを受けて最終的には壊れてしまうこともあるため適切な対処が必要です。
では、オーバーヒートになるとどのような前兆があらわれるのでしょうか。

まず、水温計が急に上昇したり、水温警告灯が赤く点灯したり点滅します。これは、冷却水の温度が異常値まで上昇していることを知らせているサインです。
また、走行中に急激に加速が悪くなったり、エンジンからカリカリ、コロコロといった異音がすることも。そのほか、焦げたような臭いがしてマフラーから白煙がでたり、アイドリングが不安定になって頻繁にエンストするような症状も前兆の一つです。
このような症状がでたまま走り続けると、エンジン内部のパーツが膨張して変形し、致命的なダメージを負うことも。高額な修理費用がかかったり、エンジンそのものを交換というケースもあります。
いずれにせよオーバーヒートの前兆があったら、迷わず早めに対処することが大切です。
オーバーヒート症状が現れた際の正しい対応とは?
オーバーヒートの前兆がみられたら、ただちにバイクを停められる安全な場所を探し、エンジンを切りましょう。そして、エンジンが冷えるまで待つしかありません。このとき急いで冷やそうとして、エンジンに水をかけるのはNGです。急激な温度変化によってエンジンが破損してしまうおそれがあるので、絶対にやめましょう。
そもそも現在のバイクは、昔に比べて性能が向上しているので、しっかりメンテナンスさえしていればオーバーヒートはほとんど起こりません。そのため普段から愛車の点検・整備をおこない、対策をしておくことが大切です。
では、どのように対策しておけば良いのでしょうか。

対策はバイクの冷却方法によって異なります。
水冷の場合は定期的に冷却水のリザーバータンクの量を確認し、水面がLOWとHIの間の適正値にあるかを確認してください。もし不足しているようなら、市販の冷却水を補充。また古い冷却水は性能が落ちてしまうので、2、3年使っているようなら交換したほうがよいでしょう。
そして、ラジエーターのフィンの汚れもチェックします。ゴミや泥などで詰まっているようなら、ブラシで軽くこすったり、水で流して清掃して風がよく通るようにしてください。
油冷エンジンや一部の空冷エンジンの場合は、ラジエーターの代わりにオイルクーラーという部品がついています。ラジエーターと同じようにフィンがついているので、汚れをチェックすると良いでしょう。
なお、オイルクーラーのない通常の空冷エンジンにとって最も大事なのは、エンジンオイル。エンジンオイルが規定量まで入っているか、劣化していないかを確認しましょう。劣化したオイルは十分な潤滑性能を発揮できず、最悪の場合エンジンが焼きついてしまうため、古くなっているようなら交換してください。
エンジンオイルが大事であるのは水冷や油冷のバイクにとっても同様。メーカーの指定に沿って定期的に点検、交換するようにしましょう。

ちなみに、エンジンオイルが不要なEVバイクも炎天下の場所などに長時間放置しておくとオーバーヒートしてしまう可能性がありますが、オーバーヒートしないための機能が備わっているモデルも存在。
例えばヤマハ「E-Vino」には、オーバーヒートになる前にバッテリーやコントローラーを保護するための温度保護機能が備わっています。
バッテリー温度が規定以上になると、メーター上部に「HEAT」と点滅表示され、放電電流を制限するために駆動力が低下します。その際に、故障してしまったのか不安になる人もいるかもしれませんが、故障したわけではない事を覚えておきましょう。
またE-Vinoの説明書には「夏季の気温が高いときに長時間走行した場合や、直射日光の当たる場所長時間放置した後に走行した場合、長い上り坂を連続で走行した場合に、HEAT表示になる場合がある」と記載されています。
そういった状態にならないためにもなるべく渋滞を避けたり、長時間の走行では休憩を多くとったりするなどして、エンジンに熱がこもらないように心がけることが大切です。